麻酔科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:13

CDC「手術部位感染予防のためのガイドライン」18年ぶりの改訂

 米国疾病管理予防センター(CDC)は、「手術部位感染予防のためのガイドライン」を1999年以来18年ぶりに改訂し、エビデンスに基づく勧告を発表した。手術部位感染(SSI)治療のための人的および財政的負担の増加を背景に、専門家の意見を基に作成された1999年版から、エビデンスベースの新たなガイドラインに改訂された。著者らは「これらの勧告に基づく手術戦略を用いることで、SSIのおよそ半分が予防可能と推定される」と記している。

慢性疼痛患者に対する医療用大麻、オピオイドとの比較

 慢性疼痛患者では、抑うつや不安を高率に合併している。オピオイド(OP)の処方は、疼痛の薬理学的治療において一般的な方法の1つであるが、米国および世界のいくつかの国において、疼痛管理のための医療用大麻(medical marijuana:MM)が増加している。イスラエル・アリエル大学のDaniel Feingold氏らは、OPおよびMMを処方された疼痛患者の、抑うつおよび不安レベルの比較を行った。Journal of affective disorders誌オンライン版2017年4月21日号の報告。

オピオイド依存、代替維持療法で全死亡リスク減/BMJ

 オピオイド依存症患者に対する、メサドン(商品名:メサペイン)やブプレノルフィン(商品名:レペタン)を用いた代替維持療法は、全死因死亡および過剰摂取死亡のリスクを大きく低下させる。スペイン・国立疫学センターのLuis Sordo氏らが、コホート研究を対象にしたシステマティックレビューとメタ解析により明らかにした。検討では、メサドンの治療導入期と治療中止直後は、死亡リスクが高いことも明らかにされた。著者は、「こうしたリスクを減らすためには、公衆衛生と臨床戦略の両輪で対処する必要がある」と述べたうえで、「今回の所見は重要であると思われるが、さらなる検討で、死亡リスクとオピオイド代替療法の比較ならびにそれぞれの治療期との比較における潜在的交絡や選択的バイアスを明瞭にすることが求められる」とまとめている。BMJ誌2017年4月26日号で発表された。

術前デキサメタゾン追加で術後24時間の嘔吐が低減/BMJ

 大腸および小腸の手術では、麻酔導入時にデキサメタゾン8mgの静脈内投与を追加すると、標準治療単独に比べ術後24間以内の悪心・嘔吐が抑制され、72時間までの制吐薬レスキュー投与の必要性が低減することが、英国・オックスフォード大学のReena Ravikumar氏らが実施したDREAMS試験で示された。デキサメタゾン追加による有害事象の増加は認めなかったという。研究の成果は、BMJ誌2017年4月18日号に掲載された。術後の悪心・嘔吐(PONV)は、最も頻度の高い術後合併症で、患者の30%以上にみられる。腸管の手術を受けた患者では、PONVは回復を遅らせることが多く、術後の栄養障害を引き起こす可能性もあるため、とくに重要とされる。デキサメタゾンは、低~中リスクの手術を受ける患者でPONVの予防に有効であることが示されているが、腸管手術を受ける患者での効果は知られていなかった。

オピオイドとベンゾジアゼピンの併用はリスクか?/BMJ

 米国・スタンフォード大学のEric C Sun氏らは、民間医療保険の支払いデータから、オピオイドとベンゾジアゼピン系薬の併用使用の傾向、および併用使用とオピオイド過剰摂取との関連を調べるレトロスペクティブな分析を行った。その結果、2001~13年の間に両薬の併用は1.8倍に急増しており、併用がオピオイド過剰摂取の全リスクに有意に関与していることが明らかになったと報告した。多くの国で、処方オピオイドの使用増大と、その結果としてオピオイド中毒や過剰摂取が起きている可能性が公衆衛生上の懸念として増している。米国では、オピオイドの致死的過剰摂取の30%でベンゾジアゼピン系薬の併用が認められており、同併用の増大がオピオイド関連死の増大を招いているのではないかと懸念されている。しかし、これまでに行われたオピオイドとベンゾジアゼピン系薬の併用に関する試験は退役軍人を対象としたもので、一般集団である民間保険加入者の使用傾向や影響については明らかにされていなかったという。BMJ誌2017年3月14日号掲載の報告。

緩和ケアの患者・介護者それぞれへの効果は?/JAMA

 末期患者への緩和ケアは、患者QOLや症状負担を改善する可能性があるが、介護者の転帰への効果は明確ではないことが、米国・ピッツバーグ大学のDio Kavalieratos氏らの検討で示された。研究の成果は、JAMA誌2016年11月22・29日号に掲載された。重篤な病態の患者のQOL改善は国際的な優先事項とされ、緩和ケアの焦点は、QOLの改善と、患者および家族の苦痛の軽減に置かれている。米国では、65%以上の病院が緩和ケアの入院プログラムを持ち、地域および外来ベースの緩和ケア提供モデルも増加しているが、実際の効果はよく知られていないという。

血栓除去術の鎮静管理は、全麻に比べ早期の神経学的改善をもたらさない(解説:中川原 譲二 氏)-620

Heidelberg大学病院神経科のSchonenberger氏らは、血栓除去術が行われた前方循環の急性虚血性脳卒中患者において、鎮静管理群と全身麻酔管理群を無作為に比較したところ、鎮静管理は24時間後の神経学的改善をもたらさなかったことを示した。この研究結果から、鎮静管理の利点を支持しないと結論した(JAMA誌オンライン版2016年10月26日号掲載の報告)。

脳梗塞の血栓除去術、全身麻酔 vs.意識下鎮静法/JAMA

 前方循環系の急性虚血性脳卒中患者に対する血栓除去術において、意識下鎮静法は全身麻酔と比較し24時間後の神経学的状態を改善しない。ドイツ・ハイデルベルク大学病院のSilvia Schonenberger氏らが単施設で行った、無作為化非盲検比較試験SIESTA(Sedation vs Intubation for Endovascular Stroke Treatment)試験で示された。急性虚血性脳卒中に対する血栓除去術中の適切な鎮静と気道の管理については、無作為化試験のエビデンスが少なく、議論の的となっていた。著者は、「今回の結果は、意識下鎮静法の使用を支持しないものであった」と結論している。JAMA誌オンライン版2016年10月26日号掲載の報告。

骨粗鬆性脊椎骨折への椎体形成術、急性期が至適/Lancet

 発症後6週未満の急性期有痛性骨粗鬆性脊椎骨折に対する椎体形成術は、偽処置より除痛効果に優れていることが認められた。オーストラリア・St George Private HospitalのWilliam Clark氏らが、多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果、報告した。椎体形成術の至適時期については議論の的となっており、発症後12ヵ月までの骨粗鬆性脊椎骨折患者を対象とした2件の無作為化二重盲検プラセボ対照試験では有益性が認められなかった。しかし、これらの研究で6週未満の患者は少なく、急性期患者に対する椎体形成術の有効性の評価は不十分であった。著者は今回の結果から、「椎体形成術は、急性疼痛を伴う骨粗鬆性脊椎骨折患者の新たな疼痛コントロール法となりうる」とまとめている。Lancet誌オンライン版2016年8月17日号掲載の報告。