循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:187

“酒は百薬の長されど万病の元”という故事は飲酒の健康への利害を端的に語っており、認知症も例外にあらず!(解説:島田俊夫氏)-908

高齢者の認知症が大きな社会問題としてクローズアップされている。2018年8月1日にBMJ誌に掲載されたフランス・パリ・サクレー大学のSeverine Sabia氏らの「Whitehall IIコホート研究」の結果は、飲酒と認知症の関連を取り上げた時宜にかなう論文で興味深く、この小稿で取り上げた。これまで過度な飲酒が身体に悪影響を及ぼすことは広く周知されている。一般的に適量の飲酒は認知症に関して低リスク1)と考えられてきたが、詳細については不明な点も多い。

3mm未満の冠動脈病変へのDCBvs.DES/Lancet

 小径の固有冠動脈疾患において、12ヵ月までの主要有害心イベント(MACE)の発生率は、薬剤コーティングバルーン(DCB)と薬剤溶出性ステント(DES)で類似しており、DESに対するDCBの非劣性が認められた。スイス・バーゼル大学のRaban V. Jeger氏らが、多施設共同非盲検無作為化非劣性試験「BASKET-SMALL 2」の結果を報告した。DCBは小径の固有冠動脈疾患に対する新たな治療法であるが、DESと比較した場合の安全性と有効性は明らかではなかった。結果を踏まえて著者は、「前拡張に成功した小径の固有冠動脈疾患は、DCBで安全に治療できる可能性がある」とまとめている。Lancet誌オンライン版2018年8月28日号掲載の報告。

チカグレロル併用DAPT1ヵ月+単剤23ヵ月を標準DAPTと比較/Lancet

 経皮的冠動脈インターベンション(PCI)後2年の全死因死亡あるいは新規Q波心筋梗塞の抑制という点で、チカグレロルとアスピリンによる抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)1ヵ月→チカグレロル単剤療法23ヵ月は、標準的DAPT 12ヵ月→アスピリン単剤療法12ヵ月と比較し優越性は認められなかった。ベルギー・ハッセルト大学のPascal Vranckx氏らが、18ヵ国130施設で実施した無作為化非盲検優越性試験「GLOBAL LEADERS」の結果を報告した。アスピリンとの併用において、チカグレロルはクロピドグレルより主要有害心イベントと全死亡率を有意に低下するが、アスピリン150mg/日以上がチカグレロルの治療効果を弱めることが示唆されていた。Lancet誌オンライン版2018年8月24日号掲載の報告。

溶出ステント、シロリムスとエベロリムスの5年の評価/Lancet

 超薄型ストラット生分解性ポリマー・シロリムス溶出ステント(Orsiro)は、薄型ストラット耐久性ポリマー・エベロリムス溶出ステント(Xience)と比べ、5年時点の標的病変不全発生リスクは同等であることが、スイス・ベルン大学のThomas Pilgrim氏らによる多施設共同無作為化非劣性単盲検試験「BIOSCIENCE」の結果、示された。一方で、OrsiroはXienceに比べ全死因死亡および非心血管死が有意に高かったことから、著者は「試験を継続し、注意深く観察する必要がある」と述べている。同試験では、1年時点の安全性・有効性アウトカムについて、OrsiroはXienceに対し非劣性であることが示されていた。Lancet誌オンライン版2018年8月28日号掲載の報告。

中等度CVDリスクへのアスピリン1次予防効果は?/Lancet

 心血管疾患リスクが中等度の55~60歳以上の患者に対し、アスピリン100mgを毎日投与しても、プラセボと比較して心血管イベントの発生率に有意差は認められなかったという。米国・ブリガム&ウィメンズ病院のJ. Michael Gaziano氏らが、7ヵ国の約1万3,000例を対象に5年間追跡したプラセボ対照無作為化比較試験「ARRIVE試験」の結果を、Lancet誌オンライン版2018年8月26日号で発表した。心血管イベント1次予防におけるアスピリン投与については、なお議論の的となっている。ARRIVE試験では、中等度リスクを有する患者におけるアスピリンの有効性と安全性の評価が行われた。

FHの発掘は内科と皮膚科・小児科の連携がカギ

 わが国における家族性高コレステロール血症(FH)の患者総数は、25万人以上と推定され、意外にも、日常診療において高頻度に遭遇する疾患と言われている。2018年8月22日に日本動脈硬化学会主催のプレスセミナー「FH(家族性高コレステロール血症)について」において、斯波 真理子氏(国立循環器病研究センター研究所病態代謝部部長)が登壇した。

心房細動アブレーション後の肺静脈狭窄、ステント留置術でより良好な成績【Dr.河田pick up】

 心房細動のアブレーションに伴う肺静脈狭窄(pulmonary vein stenosis:PVS)に対するカテーテルインターベンションは、無作為化試験のデータやガイドラインがないため、いまだに難しい領域である。ドイツ・ライプチヒ大学のSchoene K氏らが、PVSに対するカテーテルインターベンションでの治療について、単施設後ろ向き研究の結果を報告した。JACC Cardiovascular interventions誌オンライン版2018年8月27日号に掲載。

7つの生活習慣、心血管にも認知機能にも好影響/JAMA

 フランス・ボルドー大学のCecilia Samieri氏らは、米国心臓協会(AHA)が推奨する7つの生活習慣(ライフ シンプル7)を用いて定義した心血管の健康レベルと、高齢者の認知症および認知機能低下のリスクとの関連性を検証する65歳以上の地域住民を対象としたコホート研究(The Three-City[3C] Study:3C研究)において、ライフ シンプル7の実行項目数の多さと心血管健康スコア高値は、認知症リスクおよび認知機能低下率の低さと関連していることを明らかにした。著者は、「認知機能低下や認知症と関連するリスク因子を予防するため、心血管の健康増進が望まれる」とまとめている。これまで、心血管の健康レベルと認知症リスクとの関連に関するエビデンスは限られていた。JAMA誌2018年8月21日号掲載の報告。

配合錠、後発品への変更で可能となる節約額/JAMA

 2016年において、米国で販売される先発品の配合錠29種のメディケア支出額は、同用量の後発品と比べて9億2,500万ドル高かったことが、米国・ハーバード・メディカル・スクールのChana A. Sacks氏らにより明らかにされた。結果を踏まえて著者は、「処方者への教育を通じた後発品使用や変更を推進すること、および合理的な変更の指針が、メディケアにおける医薬品支出を抑えるために重要である」と述べている。JAMA誌2018年8月21日号掲載の報告。