循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:186

高リスク心臓手術の輸血戦略、6ヵ月後の転帰は?/NEJM

 死亡リスクが中等度~高度の心臓手術を受ける成人患者において、制限的赤血球輸血は非制限的輸血と比較し、術後6ヵ月時点でも複合アウトカム(全死因死亡、心筋梗塞、脳卒中、透析を要する新規腎不全)に関して非劣性であることが認められた。カナダ・セント・マイケルズ病院のC. David Mazer氏らが、多施設共同無作為化非盲検非劣性試験「TRICS III」の最終解析結果を報告した。同試験の術後28日時の解析でも、退院または術後28日までの複合アウトカムについて、非制限的輸血戦略に対する制限的赤血球輸血の非劣性が報告されていた。NEJM誌オンライン版2018年8月26日号掲載の報告。

安定胸痛への標準治療+CTA、5年アウトカムを改善/NEJM

 安定胸痛の患者に対し、標準治療に加えCT冠動脈造影(CTA)を行うことで、5年間の冠動脈疾患死または非致死的心筋梗塞の発生リスクは約4割低下することが示された。侵襲的冠動脈造影や冠血行再建術の5年実施率は、いずれも増加は認められなかったという。英国・エジンバラ大学のDavid E. Newby氏らによる、Scottish Computed Tomography of the Heart(SCOT-HEART)試験の結果で、NEJM誌2018年9月6日号で発表された。安定胸痛の患者への評価では、CTAにより診断の確実性が増すことが示されていたが、5年後の臨床アウトカムに及ぼす影響は不明であった。

末梢静脈カテーテル留置は世界中で毎年20億回も行われている(解説:中澤達氏)-911

この論文を読んで、早朝7時の病棟を思い出した。同じ経験をされている方々も多いと思うが、朝食前の採血と末梢ライン留置は研修医の仕事だった。容易に静脈が確認できる患者さんでは失敗はしなかったが、静脈が表面から見えないときは緊張した。先方もこちらが医師1年生であることは認識しているのだから、失敗してsecond tryともなると、気まずい雰囲気にならないようなコミュニケーションが必須だった。手技を習得するというより、コミュニケーション能力の向上のためのトレーニングと思っていたほどだ。それは、手技時間だけで構築されるものではなく、日々の回診や処置や雑談から(信用・信頼、本当だろうか?)獲得されていたのだ。

高血圧患者への降圧と脂質低下療法、その長期的効果は?/Lancet

 高血圧患者における、降圧療法および脂質低下療法が心血管死、全死因死亡に及ぼす長期的な効果は十分には検証されていないという。英国・ロンドン大学クイーンメアリー校のAjay Gupta氏らは、ASCOT試験終了後に10年以上の長期フォローアップを行い(ASCOT Legacy試験)、Ca拮抗薬ベースの治療レジメンによる降圧療法と、スタチンによる脂質低下療法は、高血圧患者の死亡を長期に改善することを示した。Lancet誌オンライン版2018年8月26日号掲載の報告。

ACS疑い例の高感度心筋トロポニン測定は、心筋梗塞を抑制するか/Lancet

 心筋トロポニンIの高感度アッセイは、心筋障害または心筋梗塞の約6分の1を再分類するが、1年以内の心筋梗塞または心血管死の発生には影響を及ぼさないことが、英国心臓財団Centre for Cardiovascular ScienceのAnoop SV Shah氏らが行ったHigh-STEACS試験で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2018年8月28日号に掲載された。心筋梗塞のUniversal Definitionは、トロポニン測定値の健常基準集団の99パーセンタイル以上への上昇を、心筋梗塞の診断の閾値とするよう推奨しているが、この推奨値が臨床アウトカムを改善するかは不明だという。

先発配合剤の承認は医療費削減に逆行しているのではないか(解説:折笠秀樹氏)-909

本邦の医療用医薬品の中で、後発医薬品の数量ベースのシェアは70%と言われている。ちなみに、米国での同シェアは90%を超えている。売上ベースのシェアで見ると、30%より少し高い程度のようである。数量的には70%を占めていても、単価が先発医薬品に比べて安いのでこのようになるのだろう。

臨床研究法施行で何が変わったか~メリット・デメリット

 今年4月1日に「臨床研究法」が施行された。降圧薬に関する臨床研究でのデータ操作への疑念や、メーカーの関与といった問題の発覚から制定されたこの法律に、戸惑っている研究者も多いのではないだろうか。今回、今月末に日本で初めて開催されるICPM(International Conference on Pharmaceutical Medicine:国際製薬医学大会)2018の大会長である今村 恭子氏(東京大学大学院薬学系研究科ファーマコビジネス・イノベーション特任教授)とICPM組織委員会の広報担当である松山 琴音氏(日本医科大学研究統括センター副センター長/医療管理学特任教授)に、臨床研究法の要点、メリット・デメリット、研究を行う医師への影響などを伺った。なお、この法律については、ICPM2018と同時開催される第9回日本製薬医学会(JAPhMed)年次大会のセッションでも取り上げられる予定だ。

冠動脈炎を非侵襲的に検出する新バイオマーカー/Lancet

 血管周囲の脂肪減衰指数(FAI)は、冠動脈の炎症を非侵襲的に検出する新たな画像バイオマーカーである。英国・オックスフォード大学のEvangelos K. Oikonomou氏らは、CRISP CT試験のアウトカムデータの事後解析を行い、血管周囲FAIは、冠動脈炎を定量的に測定することにより、冠動脈CT血管造影(CTA)における現行の最高水準の評価に加えて、心臓リスクの予測や再層別化の質の向上をもたらすことを示した。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2018年8月28日号に掲載された。冠動脈の炎症は、隣接する血管周囲の脂肪細胞における脂肪生成を阻害する。血管周囲FAIは、冠動脈CTA画像上で、血管周囲の脂肪減衰の変化を空間的にマッピングすることで冠動脈炎を捉えるが、その臨床アウトカムの予測能は不明であった。

心不全への遠隔管理の併用で予後が改善/Lancet

 明確に定義された心不全患者(心不全による最近の入院歴あり、大うつ病なし)では、通常治療に加えて構造化された遠隔患者管理による介入を行うと、予定外の心血管系の原因によって病院で過ごす時間が短縮し、全死因死亡も低減することが、ドイツ・ベルリン大学附属シャリテ病院のFriedrich Koehler氏らが行った「TIM-HF2試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2018年8月25日号に掲載された。心不全患者の遠隔患者管理は、心代償不全の早期の臨床所見の検出に役立ち、それゆえ代償不全に陥った心不全が完全に出現する前に、適切な治療や処置を迅速に開始することが可能になるという。