心血管健康の変化と、その後のCVD発生の関連/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2018/11/21

 

 心血管の健康状態が理想的であることと心血管疾患(CVD)発生の低さの関連には、首尾一貫したエビデンスがある。しかし大部分の試験は、心血管健康の単回評価指標を用いたものであったことから、フランス・パリ第5大学のThomas T. van Sloten氏らは、心血管健康が時間とともにどれくらい変化したかを調べ、それらの変化とCVD発生の関連を複合的に調べた。その結果、整合性がとれた関連は認められなかったという。JAMA誌2018年11月6日号掲載の報告。

心血管健康「低」「中」「高」分類の変化を調べ、その後のCVD発生を評価
 検討は、英国の公務員が参加する前向きコホート試験「Whitehall II試験」の参加者データを分析して行われた。同試験は、1985/88年(ベースライン)に開始され、以後2015/16年まで5年ごとに心血管健康の評価が行われている。CVD発生については2017年3月までフォローアップされていた。

 研究グループは参加者を、米国心臓協会の7つの測定基準(非喫煙、理想的なBMI値、身体活動度、食事、血圧値、血糖値、総コレステロール値)を用いて、理想的な測定基準の該当項目数で「0~2」「3~4」「5~7」に分類。それぞれを心血管健康の程度が「低い群」「中程度群」「高い群」とした。

 1985/88年(ベースライン)から1997/99年の10年間に心血管健康がどのように変化したかを再評価・再分類し、1997/99年からCVDおよび死亡のフォローアップを開始した。

 主要評価項目は、CVD(冠動脈疾患[CHD]と脳卒中)発生であった。

心血管健康「高い→高い」維持がベストではない?
 試験には、CVD非既往の9,256例(ベースライン時の平均[SD]年齢44.8歳[6.0]、女性2,941例[32%])が包含された。このうち6,326例から心血管健康の変化に関するデータを入手できた。

 1997/99年後のフォローアップ中央値18.9年間で発生したCVDイベントは、1,114件であった。

 多変量解析および心血管健康が一貫して低かった参加者(全体の13.5%、CVD発生率:1,000人年当たり9.6、95%信頼区間[CI]:8.4~10.9)との比較において、CVDリスクとの関連に有意性は認められなかった。心血管健康が低い→中程度に変化した被験者群(全体の6.8%)は絶対発生率差:1,000人年当たり-1.9(95%CI:-3.9~0.1)でハザード比(HR)0.84(95%CI:0.66~1.08)、低い→高いに変化群(全体の0.3%)は-7.7(-11.5~-3.9)で0.19(0.03~1.35)、中程度→低いに変化群(全体の18.0%)は-1.3(-3.0~0.3)で0.96(0.80~1.15)だった。

 また、次の群では、CVDリスクが低いことが観察された。一貫して中程度の参加者群(全体の38.9%)は絶対発生率差:1,000人年当たり-4.2(95%CI:-5.5~-2.8)でHRが0.62(95%CI:0.53~0.74)、中程度→高いに変化群(全体の5.8%)は-6.4(-8.0~-4.7)で0.39(0.27~0.56)、高い→低いに変化群(全体の1.9%)は-5.3(-7.8~-2.8)で0.49(0.29~0.83)、高い→中程度に変化群(全体の9.3%)は-4.5(-6.2~-2.9)で0.66(0.51~0.85)、そして一貫して高かった群(全体の5.5%)は-5.6(-7.4~-3.9)で0.57(0.40~0.80)であった。

(ケアネット)