循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:194

地中海食は心血管イベントを抑制する/NEJM

 心血管リスクが高い集団を対象とした試験で、低脂肪食事療法に割り付けた群よりも、エキストラヴァージンオリーブオイル(EVOO)またはナッツを一緒に補充する地中海式食事療法に割り付けた群のほうが、主要心血管イベントの発生率は低いことが、スペイン・バルセロナ大学のRamon Estruch氏らによる多施設共同無作為化試験「PREDIMED試験」の結果、示された。これまで行われた観察コホート研究や2次予防試験では、地中海式食事療法の順守状況と心血管リスクについて負の相関が示されている。PREDIMED(Prevencion con Dieta Mediterranea)試験の結果は2013年にジャーナル発表されたが、無作為化割り付けに関する分析方法の不備から著者らが同論文を取り下げ、今回あらためて修正解析の結果を発表した。NEJM誌オンライン版2018年6月13日号掲載の報告。

臨床試験も「中国の時代!」(解説:後藤信哉氏)-874

1990年代は日本の時代であった。経済は躍進し、医学研究も積極的であった。日本は長期の経済停滞の時代に入り医学者も内向きとなって論文数も減少した。筆者は国際雑誌CirculationのEditorをしているので、中国の臨床医学研究の量と質の改善に日々圧倒されている。かつて、日本が「世界の奇跡」とされ注目されたが、今は中国が「世界の中心」として注目されつつある。

80歳以上の収縮期血圧、死亡リスク最低は129mmHg/BMJ

 中国で行われたコミュニティベースの長期前向き試験で、80歳以上の超高齢者では、収縮期血圧値と全死因死亡リスクとの関連はUカーブを示し、収縮期血圧値が129mmHgで同リスクが最低であることが示された。中国疾病管理予防センターのYue-Bin Lv氏らが、同国22省に居住する80歳以上4,658例を対象に行った試験で明らかにし、BMJ誌2018年6月5日号で発表した。Uカーブの関連結果については、収縮期血圧値107~154mmHgを基準に、同値よりも高値では心血管死リスクの上昇が、低値では非心血管死リスクの上昇が関与している可能性があるという。著者は「今回の結果は、超高齢者では高血圧治療が再び重要になり、同年齢群のガイドラインを整備する重要性を強調するものである」とまとめている。

ウエアラブル技術と遠隔コーチングを用いた家庭での運動療法は、末梢動脈疾患患者の6分間歩行距離を延ばさなかった(解説:佐田政隆氏)-872

現在、循環器疾患患者の生命予後、生活の質を改善するうえで、心臓リハビリテーションが非常に注目されている。末梢動脈疾患患者においても、監視下の運動療法が歩行距離を延ばすことが報告され、ガイドラインでも推奨されている。しかし、そのためには頻回に医療機関に通院しないといけないが、それは遠方在住者や末梢動脈疾患患者にとってはしばしば困難なことである。

飲酒と心血管疾患・脳卒中、関連は逆?/BMJ

 アルコール摂取は、非致死的な冠動脈疾患(CHD)と負の相関がみられた一方、複数の脳卒中サブタイプとは正の相関が認められたことが、WHO国際がん研究機関のCristian Ricci氏らによる検討の結果、明らかにされた。著者は、「示された結果は、アルコール摂取と心血管疾患(CVD)の関連は種々存在することを強調するものであり、アルコール摂取の低減方針のエビデンスを強化するものである」とまとめている。BMJ誌2018年5月29日号掲載の報告。

新薬と旧薬の絶妙な組み合わせにより費用対効果を高める ~医療技術評価(HTA)の観点から(解説:中澤達氏)-866

股関節および膝関節の人工関節全置換術後にリバーロキサバンの術後5日投与を受けた患者では、その後アスピリンに切り替えても、リバーロキサバンを継続した場合と比較して、症候性静脈血栓塞栓症の予防効果に差はないことが明らかとなった。アスピリンは、安価で、副作用プロファイルが十分に確立されており、医療技術評価(health technology assessment:HTA)の点から大変興味深い結果だ。

心臓手術中の左心耳閉鎖、脳卒中リスクを減らせるか/JAMA

 心臓手術を受ける患者において、左心耳閉鎖(left atrial appendage occlusion:LAAO)の併施群は非併施群と比較して、その後の脳卒中および全死因死亡リスクが有意に低いことが、米国・メイヨー・クリニックのXiaoxi Yao氏らによる後ろ向きコホート研究の結果、明らかにされた。LAAOは、心臓手術中に行われる可能性があるが、長期的な脳卒中リスクとの関連に関するデータはほとんど存在せず、一方で術後の心房細動(AF)との関連を示唆するエビデンスが示されていた。今回の結果を受けて著者は、「無作為化試験を含む検討を行い、外科的LAAOの役割を明確にする必要がある」と述べている。JAMA誌2018年5月22日号掲載の報告より。