わが国の職域多施設研究(Japan Epidemiology Collaboration on Occupational Health Study:J-ECOHスタディ)で、労働人口における喫煙・禁煙の死亡率への影響を調べたところ、喫煙が全死亡・心血管疾患(CVD)死亡・タバコ関連がん死亡のリスク増加と関連していた。また、この死亡リスクは禁煙後5年で減少していた。Circulation Journal誌オンライン版2018年9月12日号に掲載。
本調査の対象は、J-ECOHスタディに参加した20~85歳の日本人労働者7万9,114人で、死亡診断書や病気休暇書類などから、死亡および死亡原因を同定した。ハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)はCox比例ハザード回帰により推定した。
主な結果は以下のとおり。
・最大6年間の追跡期間中、252人が死亡した。
・現在喫煙者の非喫煙者に対する全死亡・CVD死亡・タバコ関連がん死亡の多変量補正HR(95%CI)は順に、1.49(1.10~2.01)、1.79(0.99~3.24)、1.80(1.02~3.19)であった。
・現在喫煙者では、全死亡・CVD死亡・タバコ関連がん死亡のリスクは、タバコ消費量の増加に伴って増加した(傾向のp<0.05)。
・過去喫煙者の非喫煙者に対する全死亡のHR(95%CI)は、ベースラインまでの禁煙期間が5年未満で1.80(1.00~3.25)、5年以上で1.02(0.57~1.82)であった。
(ケアネット 金沢 浩子)