循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:220

血中カルシウム濃度に関連する遺伝子多型が冠動脈疾患・心筋梗塞発症に関与するか(解説:今井 靖 氏)-708

カルシウム濃度あるいはカルシウム経口補充に伴うカルシウム血中濃度上昇が、冠動脈疾患・心筋梗塞に関連するとするいくつかの疫学研究がある。しかし、ヒトの長い生涯におけるカルシウム濃度上昇が、冠動脈イベント発症に関連するか否かについては明らかではない。

高齢糖尿病患者の降圧薬アドヒアランスと効果の関連

 米国Kaiser Permanente Institute for Health ResearchのMarsha A. Raebel氏らによる約13万例の高齢糖尿病患者の後ろ向きコホート研究で、85歳以上もしくは複数の併存疾患を持つ糖尿病患者では、アンジオテンシン変換酵素阻害薬/アンジオテンシンII受容体遮断薬(ACEI/ARB)の服薬アドヒアランスと血圧低下が関連しないことが示された。一方、スタチンのアドヒアランスはLDLコレステロール(LDL-C)の低下と関連していた。Pharmacotherapy誌オンライン版2017年7月28日号に掲載。

溶けて消えるステントを消しても良いのか?消さないためになすべきこと(中川義久 氏)-707

エベロリムス溶出生体吸収性スキャフォールド(BVS)の現状を、5年前に予見できた者はいたであろうか? 希望に満ちあふれた新規デバイスとして、みんなの注目を集めて輝いていたね、スキャフォールドくん。学会会場でBVS関連の発表は聴衆であふれていたね、けれども今は……。

2次予防のLDL-C管理が厳格に―動脈硬化性疾患予防ガイドライン2017

 日本動脈硬化学会が、先般「動脈硬化性疾患予防ガイドライン」を改訂した。2012年から5年ぶりとなる。今回の改訂のポイントとしては、従来、NIPPON DATE80を使用していた絶対リスク評価を吹田スコアに変更したことと、動脈硬化性疾患の2次予防のLDL-C管理目標値が100mg/dLから70mg/dLに変更され、より厳格化されたことなどが挙げられる。  以下、主だった改訂点を紹介する。

遺伝素因の血清Ca上昇で冠動脈疾患リスク増/JAMA

 遺伝子変異による血清カルシウム濃度上昇が、冠動脈疾患/心筋梗塞のリスク増加と関連していることが明らかとなった。ただし、冠動脈疾患と生涯にわたる遺伝子曝露による血清カルシウム濃度上昇との関連が、カルシウム補助食品(サプリメント)による短期~中期的なカルシウム補給との関連にもつながるかどうかは不明である。スウェーデン・カロリンスカ研究所のSusanna C. Larsson氏らが、血清カルシウム濃度上昇に関連する遺伝子変異と、冠動脈疾患/心筋梗塞のリスクとの間の潜在的な因果関係をメンデルランダム化解析により検証し、報告した。先行の観察研究において、血清カルシウムは心血管疾患と関連していることが認められており、無作為化試験でも血清カルシウム濃度を上昇させるサプリメントが心血管イベント、とくに心筋梗塞のリスクを増加させる可能性が示唆されていた。JAMA誌2017年7月25日号掲載の報告。

イダルシズマブはダビガトラン中和薬として有用/NEJM

 イダルシズマブ(商品名:プリズバインド)の、ダビガトラン(商品名:プラザキサ)の中和薬としての有効性、安全性について検討した臨床試験「RE-VERSE AD」のフルコホート解析の結果が発表された。緊急時においてイダルシズマブは、迅速、完全かつ安全にダビガトランの抗凝固作用を中和することが示されたという。イダルシズマブの有用性は、同試験の登録開始90例の時点で行われた中間解析で示されていたが、今回、米国・トーマス・ジェファーソン大学のCharles V. Pollack氏らが全503例の解析を完了し、NEJM誌オンライン版2017年7月11日号で発表した。

生体吸収性スキャフォールドの2年転帰:7試験メタ解析/Lancet

 エベロリムス溶出生体吸収性スキャフォールド(BVS)は、エベロリムス溶出金属ステント(EES)に比べ、2年時のステントに起因する有害事象の発現頻度は約1.3倍で、ステント血栓症は約3.4倍であることが示された。また、ステント留置後1~2年の間の両発症リスクも、BVS群がEES群に比べて高率だった。米国・コロンビア大学のZiad A. Ali氏らが、追跡2年以上の無作為化試験7件を対象に行ったメタ解析で明らかにしたもので、Lancet誌オンライン版2017年7月18日号で発表した。BVSは生体に完全に吸収されることでPCI後の長期アウトカムを改善する。これまでの無作為化試験で、1年時点の安全性・有効性の複合アウトカムについて、BVSの薬剤溶出金属ステントに対する非劣性は示されていたが、標的病変の心筋梗塞やデバイス血栓症の発現頻度の増大が確認されていた。また、BVS留置後1年を超えたアウトカムは明らかではなかった。

20歳頃~中年での体重増、慢性疾患リスクを増大/JAMA

 20歳前後から55歳にかけて体重が2.5~10.0kg増加した人は、ほぼ安定していた人に比べ、2型糖尿病や高血圧症、心血管疾患などの発症リスクが有意に高く、慢性疾患や認知機能・身体的障害などを有さずに健康な状態で年を重ねられる割合は低減することがわかった。米国・ハーバード大学公衆衛生大学院のYan Zheng氏らが、看護師健康調査(Nurses’ Health Study:NHS)と医療従事者追跡調査(Health Professionals Follow-Up Study:HPFS)を基に行ったコホート研究の結果で、JAMA誌2017年7月18日号で発表した。

心不全の鉄補充治療において、経口剤ではフェリチンが上昇せず運動耐容能も改善しない(解説:原田 和昌 氏)-701

心不全はしばしば心臓外の臓器に合併症(併存症)を持つ。欧州心不全学会の急性、慢性心不全の診断と治療ガイドライン2012年版には、「ほとんどの併存症は心不全の状態が不良であることや予後不良因子と関係する。したがって貧血など一部の併存症はそれ自体が治療対象となる」と記載された。

妊娠高血圧症候群後の高血圧リスクの詳細が明らかに/BMJ

 妊娠高血圧症候群(HDP)と関連する高血圧症のリスクは出産直後ほど高く、20年以上経ってもリスクは高いままであることが、デンマーク・Statens Serum Institut(SSI)社疫学研究部門のIda Behrens氏らによる同国民対象の登録コホート研究の結果、明らかにされた。HDP妊産婦の最大3分の1が、出産後10年間に高血圧症を発症する可能性があり、著者は「HDP妊産婦について心血管疾患の予防対策として、出産直後からの血圧モニタリングを実施すべきである」と提言している。HDPを有した女性は、出産後に本体性高血圧を発症するリスクが2~4倍高いとされている。しかしHDP妊産婦の出産直後の高血圧症リスクがどれくらい増大するのかは不明であり、また、出産後のリスクの経年変化も明らかではなく、これらの女性の臨床におけるフォローアップのエビデンスはなかった。BMJ誌2017年7月12日号掲載の報告。