循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:217

CETP阻害薬、冠動脈イベントを抑制/NEJM

 コレステリルエステル転送蛋白(CETP)阻害薬anacetrapibは、強化スタチン療法を受けているアテローム動脈硬化性血管疾患患者の主要冠動脈イベントを抑制することが、HPS3/TIMI55-REVEAL Collaborative Groupの検討で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2017年8月29日号に掲載された。CETPは、血中のHDL粒子とアポリポ蛋白B含有アテローム促進性粒子との間で、コレステリルエステルとトリグリセライドの転送を促進する。CETPを薬理学的に阻害すると、HDLコレステロール(HDL-C)が増加し、非HDL-C(とくにLDL-C)が低下するが、これまでに行われた3つのCETP阻害薬の無作為化試験は、いずれも約2年のフォローアップ後に無効または有害事象のため中止されている。

PCI施行心房細動患者の抗血栓療法、2剤 vs.3剤/NEJM

 経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を受けた心房細動(AF)患者において、ダビガトラン(商品名:プラザキサ)+P2Y12阻害薬による2剤併用抗血栓療法は、ワルファリン+P2Y12阻害薬+アスピリンの3剤併用抗血栓療法と比較して、出血リスクは低く、血栓塞栓イベントリスクは有意差がないことが確認された。米国・ベイム臨床研究所のChristopher P. Cannon氏らが、日本を含む41ヵ国414施設で実施された国際共同無作為化非盲検比較試験「RE-DUAL PCI試験」の結果を報告した。ワルファリン+2剤併用抗血小板薬を用いた3剤併用抗血栓療法は、PCI後のAF患者に対する標準治療であるが、出血リスクが高く新たな治療戦略が求められていた。NEJM誌オンライン版2017年8月27日号掲載の報告。

持続性AFと心機能低下を有する患者に有益なのは?カテーテルアブレーションvs.薬物レートコントロール

 心房細動(AF)と左室収縮不全は、十分なレートコントロールが行われていても頻繁に併存する。しかしながら、AFおよびさまざまな要因に伴う左室収縮不全に関するこれまでのランダム化研究では、リズムコントロールの有益性を裏付ける十分なエビデンスがない。そこでオーストラリア・メルボルン大学のSandeep Prabhu氏ら研究グループが、AFを有する原因不明の左室収縮不全において、AFに対するカテーテルアブレーションが、薬物によるレートコントロールと比べて左室収縮不全を改善するかについて検討を行った。Journal of American College of Cardiology誌2017年8月22号に掲載。

カナキヌマブは心血管イベントリスクの抑制に有益か/NEJM

 インターロイキン-1βを標的とするヒトモノクローナル抗体のカナキヌマブ150mgを、心筋梗塞既往、高感度CRP値2mg/L以上の患者に毎3ヵ月投与することで、脂質値が低下せずとも心血管イベントの再発を長期にわたり抑制する効果があることが示された。米国・ブリガム&ウィメンズ病院のP.M.Ridker氏らが、患者1万61例を対象に行ったプラセボ対照無作為化二重盲検試験で明らかにした。これまでの実験・臨床データから、脂質値の低下に依らず炎症を抑えることで、心血管疾患リスクが低下する可能性が示されていたが、アテローム血栓症における炎症抑制の効果については検証されていなかった。NEJM誌オンライン版2017年8月27日号掲載の報告

扱っている題材は大変真面目なものであるが(解説:野間 重孝 氏)-726

多くの先進国においては、ガイドライン上に今でも記載はされているものの、実臨床の場で急性心筋梗塞に対する経静脈的血栓溶解療法は、何らかの理由で救急センターへの搬送が容易でないような例外例を除いては、すでに行われなくなっているといってよいと思われる。しかしながら一方で、医療資源の乏しい環境下での機械的再灌流の代替え療法として、発展途上国などではいまだに重要な役割を担っていることも事実であるといえる。

認知症発症への血圧の影響、ポイントは血圧変動:九州大

 これまでの研究では、診察室血圧変動の大きさが、認知障害や認知症のリスク因子であることが報告されている。しかし、家庭での血圧測定によって評価された日々の血圧変動と認知症発症との関連を調べた研究はなかった。九州大学の大石 絵美氏らは、久山町研究に登録されている日本人高齢者の日常血圧変動と認知症リスクとの関連を調査した。Circulation誌2017年8月8日号の報告。

網膜動脈閉塞症、民族性や心血管・腎疾患との関連は?

 これまでアジアにおける、網膜動脈閉塞症に関する住民ベースのデータは限られていたが、シンガポール・国立眼科センターのNing Cheung氏らによるシンガポール眼疾患疫学研究において、中国人、インド人およびマレー人の計約1万人中、網膜動脈閉塞症の有病率は約1%、インド人で有病率が最も高く、従来から指摘されている心血管リスク因子、脳卒中のほか、慢性腎臓病との関連が明らかとなった。網膜動脈閉塞症の存在は、脳のみならず腎臓での血管の塞栓性イベントおよび損傷の徴候である可能性を示唆する結果であり、著者は「これらが長期的な研究で確認されれば、網膜動脈閉塞症を有する患者では心血管および腎臓の評価が必要となるだろう」とまとめている。JAMA Ophthalmology誌オンライン版2017年8月24日号掲載の報告。

NT-proBNPガイド心不全治療の無益性が明らかに/JAMA

 駆出率が低下した心不全(HFrEF)患者において、NT-proBNPガイド治療戦略のアウトカム改善効果は、標準治療によるものと変わらないことが、米国・デューク臨床研究所(DCRI)のG. Michael Felker氏らによる大規模無作為化試験「GUIDE-IT試験」の結果、示された。ナトリウム利尿ペプチドは、HF重症度のバイオマーカーであり、有害アウトカムの予測因子である。これまで小規模試験で、ナトリウム利尿ペプチド値をベースに調整を行うHF治療(ガイド治療)の評価は行われているが、結果は一貫していなかった。JAMA誌2017年8月22日号掲載の報告。

新たな僧帽弁治療デバイス、初期成績は良好/Lancet

 重症僧帽弁閉鎖不全症(MR)に対し、新たに開発された経カテーテル僧帽弁修復(TMVr)デバイス「エドワーズPASCAL TMVrシステム」は、手術終了時点の成功率が96%、30日時点のデバイス成功率は78%と高いことが示された。スイス・ベルン大学病院のFabien Praz氏らによる、ヒトでは初となる多施設共同前向き観察試験の結果で、「今回の試験で実用可能性は立証された。さらなる試験を行い、デバイスの手技上および長期の臨床的アウトカムへの影響を明らかにする必要がある」と報告している。新デバイスは、従来デバイスの限界を見据えて左心房でのナビゲーションを容易なものとし、セントラルスペーサーの実用化でMRの改善を向上するなどしたものだという。Lancet誌2017年8月19日号掲載の報告。