循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:243

家族性高コレステロール血症、親子への検診は有効か/NEJM

 プライマリケア診療での定期予防接種時に、親子に家族性高コレステロール血症(FH)のスクリーニングを実施することは可能であり、有効であることが、英国・ロンドン大学クィーンメアリー校のDavid S Wald氏らの検討で示された。研究の成果は、NEJM誌2016年10月27日号に掲載された。遺伝性の若年性心血管疾患の高リスク者を同定するために、親子へのFHのスクリーニングが提唱されているが、有効性に関するデータは少ないという。

心臓CT検査は冠動脈造影に代わり得るか/BMJ

 冠動脈疾患が疑われる患者への心臓CT検査は、冠動脈造影の施行率を抑制して診断率を改善するとともに、入院期間を短縮し、放射線被曝量や長期的なイベントを増加させないため、冠動脈造影の安全なゲートキーパーとなる可能性があることが、ドイツ・シャリテベルリン医科大学のMarc Dewey氏らの検討で示された。研究の成果は、BMJ誌2016年10月24日号に掲載された。従来、閉塞性冠動脈疾患の最終診断は冠動脈造影で行われる。同時にステント留置が可能、CABGの計画が立てられるといった利点があるが、診断率が低いとのエビデンスがあり、過剰施行の可能性が指摘されている。CTは、正確で非侵襲的な選択肢とされるが、非定型的な胸痛のため冠動脈疾患が疑われ、冠動脈造影の適応となる患者におけるリスクおよび利点は知られていないという。

off-pump CABG vs.on-pump CABG、5年後も有意差なし/NEJM

 off-pump冠動脈バイパス術(CABG)は、on-pump CABGと比較して5年後の死亡・脳卒中・心筋梗塞・腎不全・再血行再建術の複合アウトカムに差はなく、両手法の有効性や安全性が同等であることが示された。カナダ・マクマスター大学のAndre Lamy氏らが、CABG Off or On Pump Revascularization Study(CORONARY)試験の最終結果を報告した。CORONARY試験では、off-pump CABGとon-pump CABGとで、30日後および1年後のいずれも臨床アウトカム(死亡・脳卒中・心筋梗塞・腎不全)に有意差はないことが報告されていた。NEJM誌オンライン版2016年10月23日号掲載の報告。

高血圧に関する川柳・標語 2017年版を募集 【日本高血圧学会/日本高血圧協会からのご案内】

 日本高血圧学会と日本高血圧協会は2016年12月1日から、2017年版の「高血圧」に関する川柳と標語の募集を開始する。同企画は、日本高血圧学会と日本高血圧協会の共同企画で、一般市民の血圧と健康に関する意識を高める目的で、昨年度より毎年の恒例企画として展開されている。川柳・標語のお題はともに「高血圧」で、減塩・減量・運動などの生活習慣、医師・患者関係、家族関係、社会風刺などユーモアやウイットに富んでインパクトのある、多くの人に親しまれる作品が集まることが期待される。

冠動脈手術時のトラネキサム酸はアウトカムを改善するか/NEJM

 合併症リスクのある冠動脈手術患者に対し、トラネキサム酸を投与しても、死亡や血栓性合併症のアウトカムは改善しない。トラネキサム酸を投与した群では、プラセボ群に比べ、大出血や再手術を要する心タンポナーデのリスクは減少したものの、痙攣発生率は増大が示された。オーストラリア・モナシュ大学のPaul S. Myles氏らが行った、無作為化プラセボ対照二重盲検試験の結果、明らかにした。トラネキサム酸は、冠動脈手術の際に出血リスクを減少することは知られていたが、アウトカムを向上するかどうかは不明だった。また、トラネキサム酸の持つ血栓形成促進性や痙攣誘発性効果についての懸念も指摘されていた。NEJM誌オンライン版2016年10月23日号掲載の報告。

LDL-C低下に関与する遺伝子変異は2型糖尿病のリスク増加と関連(解説:小川 大輔 氏)-606

脂質異常症の治療としてスタチン薬が動脈硬化性疾患の予防のために用いられることが多いが、これまでにスタチン薬の使用は体重増加や2型糖尿病の新規発症と関連することが報告されている。一方、LDLコレステロールトランスポーターNiemann-Pick C1-Like 1(NPC1L1)の阻害薬であるエゼチミブの糖代謝に対する影響については不明である。今回、LDLコレステロールの低下に関与するNPC1L1遺伝子の変異と2型糖尿病の発症リスク増加との関連が報告された。

失神入院患者は肺塞栓症有病率が高い?/NEJM

 失神の初回エピソードで入院した患者は、約6例に1例の割合で肺塞栓症を有することが、イタリア・パドヴァ大学のPaolo Prandoni氏らが行ったPESIT試験で示された。研究の成果は、NEJM誌2016年10月20日号に掲載された。失神は、急激に発症し短時間(<1分)で自然に解消する一過性の意識消失と定義され、一時的な脳の低灌流に起因すると考えられている。多くの教科書では、肺塞栓症は失神の鑑別診断に含まれるが、厳格な試験デザインで有病率を検証した研究はなく、欧州心臓病学会(ESC)や米国心臓協会(AHA)などの現行のガイドラインでは、これらの患者で肺塞栓症の診断を確定するための精査にはほとんど注意が払われていないという。

腹部大動脈瘤、ステントグラフトの長期有用性は?/Lancet

 腹部大動脈瘤の治療において、ステントグラフト内挿術(EVAR)は外科的人工血管置換術(open repair)に比べ、早期の生存ベネフィットをもたらすものの長期生存は劣ることが、英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのRajesh Patel氏らが進めるEVAR trial 1で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2016年10月12日号に掲載された。すでに、合併症のない腹部大動脈瘤へのEVARはopen repairに比べ、短期的な生存ベネフィットが優れることが無作為化試験で確認されているが、この早期の生存ベネフィットは数年で失われることが知られている。