循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:244

複雑なPCI症例ではDAPTを延長すべきか?

 薬剤溶出ステント(DES)留置を行った複雑な経皮的冠動脈形成術(PCI)後、抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)の最適期間は定まっていない。Gennaro Giustino氏ら研究グループは、PCIの複雑性に応じ、短期間(3~6ヵ月)と長期間(12ヵ月以上)におけるDAPTの有効性および安全性を比較検討した。Journal of the American College of Cardiology誌2016年10月25日号に掲載。

冠動脈de novo病変に対する「ステントレスPCI」

 薬剤溶出ステント(以下、DES:Drug Eluting Stent)の再狭窄率は低い。しかし、ステント血栓症、ステントフラクチャー、neo-atherosclerosisなどいくつかの問題が残る。一方、バルーン単独の経皮的冠動脈インターベンション「ステントレスPCI」はいまだに根強く、薬物溶出バルーン(DCB:Drug Coated Balloon)の臨床応用により注目されており、その有効性を支持する臨床試験もある。獨協医科大学 循環器内科の西山直希氏らは、de novo冠状動脈狭窄病変の治療におけるDCBの有効性を評価することを目的とした研究を行っている。International Journal of Cardiology誌2016年11月1日号の報告。

低体温療法、院内心停止例に有用か/JAMA

 院内心停止蘇生後患者に対する低体温療法の施行は、通常ケアと比較して生存退院率および良好な神経学的予後について、いずれも低い可能性が、米国・Saint Luke's Mid America Heart InstituteのPaul S. Chan氏らによるコホート研究の結果、示唆された。低体温療法は、院外および院内の心停止蘇生後患者に対して施行されるが、院内心停止患者に関する無作為化試験は行われておらず、有効性に関するデータは限定的である。JAMA誌2016年10月4日号掲載の報告。

LDL-C低下に関与する遺伝子変異、糖尿病リスクと関連/JAMA

 NPC1L1など低比重リポ蛋白コレステロール(LDL-C)の低下に関与する遺伝子変異が、2型糖尿病のリスク増加と関連していることが確認された。英国・ケンブリッジ大学のLuca A. Lotta氏らが、脂質低下薬の標的分子であるNPC1L1などの遺伝子変異と、2型糖尿病や冠動脈疾患との関連性を評価するメタ解析を行い報告した。著者は、「所見は、LDL-C低下療法による有害な影響の可能性について洞察を促すものである」と結論している。エゼチミブおよびスタチンの標的分子であるNPC1L1やHMGCR近傍の対立遺伝子はLDL-C低下と関連しており、これら脂質低下薬の有効性の検討で代理指標として用いられている。一方で、臨床試験においてスタチン治療による糖尿病新規発症の頻度増加が示されており、HMGCR近傍の対立遺伝子は2型糖尿病のリスク増加とも関連していることが知られていた。しかし、NPC1L1近傍の対立遺伝子と2型糖尿病との関連は不明であった。JAMA誌2016年10月4日号掲載の報告。

LDL-コレステロール低下による心血管イベント抑制はスタチンだけではない!(解説:平山 篤志 氏)-600

動脈硬化の原因として、LDL-コレステロールの関与は実験的、疫学的にも20世紀初頭から明らかにされ、コレステロール低下によるイベント抑制試験も行われてきた。しかし、1994年に4S試験で全死亡をはじめとした心血管死、心筋梗塞の発症の抑制が示されたことを契機として、数多くのスタチンによる大規模臨床試験が発表されるようになった。

心房細動は心筋症の原因か、結果か?

 孤立性心房細動(AF)は隠れた心筋症を反映しており、洞調律復帰しても残存する心筋症によりAFが再発するのではないか―。この仮説を検証するため、英国・オックスフォード大学の研究グループが、左室に関与する病態を有しない孤立性AF患者において、カテーテルアブレーション後の洞調律復帰が左室の機能およびエナジェティクスに及ぼす影響を調べた。この研究では、アブレーション前後の左房および左室の容量と機能の評価にMRIを用いた。また、心筋症のマーカーとしてエネルギー代謝が有用なことから、エナジェティクスの評価にはPhosphorus-31 MRスペクトロスコピー(31P-MRS)を使用した。Circulation誌オンライン版9月14日号掲載の報告。

心筋梗塞後の平均余命、病院パフォーマンスで格差/NEJM

 急性心筋梗塞の入院30日死亡率が低い(高パフォーマンス)病院に入院した患者は、同死亡率が高い(低パフォーマンス)病院に入院した患者に比べ、平均余命が0.74~1.14年長いことが明らかにされた。米国・ボストン小児病院のEmily M. Bucholz氏らが、患者約12万例を17年間追跡したデータを分析し明らかにしたもので、NEJM誌2016年10月6日号で発表した。病院の質を評価する際に、心筋梗塞入院患者の30日リスク標準化死亡率が用いられるが、今回の検討により、同指標が患者の長期生存率にも関連することが示された。

重症大動脈狭窄症への生体弁SAVRの予後、93試験のメタ解析/BMJ

 生体弁による外科的大動脈弁置換術(SAVR)を施行された重症大動脈狭窄症患者は、同年代の一般人口に比べ生存期間がわずかに短いが、長期的には脳卒中の発生率が低減し、20年後までに約半数が弁劣化を経験することが、カナダ・マクマスター大学のFarid Foroutan氏らの調査で示された。研究の成果は、BMJ誌2016年9月28日号に掲載された。重症大動脈狭窄に対する生体弁を用いたSAVRでは、周術期や長期的な死亡率は許容範囲とされることが多いが、統合データに基づく予後は明らかにされていない。SAVR後1年以内の弁劣化はまれだが、それ以降は増加することが知られているという。

今のところ順調なapo(a)アンチセンス療法(解説:興梠 貴英 氏)-599

2015年に、心血管イベントおよび石灰化大動脈弁狭窄症のリスク因子であるLp(a)の血中濃度を低下させる、アンチセンス薬(IONIS-APO[a]Rx)の第I相試験の結果が報告された。本試験は、その続き(第II相試験)および元の薬剤にリガンドを結合させて特異的に肝細胞に取り込まれるように改変したもの(IONIS-APO[a]-LRx)の第I/IIa相試験の報告である。