循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:257

非虚血性収縮不全の心不全例に対する予防的ICDは予後を改善しない(解説:今井 靖 氏)-591

植込み型電気除細動器(ICD)は、虚血性・非虚血性心不全のいずれにおいても、心室細動・血行動態の破綻を伴う心室頻拍の既往例の再発予防(2次予防)として、また既往がなくともそのリスクが高い症例の予防(1次予防)として適応され、国内外いずれのガイドラインでも推奨・考慮される治療法として掲げられている。

第Xa因子阻害薬の中和薬、急性大出血の79%を止血/NEJM

 第Xa因子阻害薬に関連する急性大出血において、andexanet alfaは抗第Xa因子活性を大幅に低減し、高い止血効果をもたらすことが、カナダ・マクマスター大学のStuart J. Connolly氏らが実施したANNEXA-4試験で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2016年8月30日号に掲載された。第Xa因子阻害薬は、心房細動患者の静脈血栓塞栓症の治療や予防および脳卒中の予防に有効であるが、大出血や致死的出血のリスクがある。andexanet alfaは、遺伝子組換えヒト第Xa因子デコイ蛋白で、第Xa因子阻害薬の作用を特異的に、直接かつ間接に中和する。

非虚血性心不全への予防的ICDは有益か?/NEJM

 冠動脈疾患に起因しない症候性収縮期心不全患者への予防的植込み型電気除細動器(ICD)の施行は、通常ケアと比較して、長期的な全死因死亡の低下には結び付かないことが明らかにされた。デンマーク・コペンハーゲン大学のLars Kphiber氏らが、556例を対象に行った無作為化試験の結果で、NEJM誌オンライン版2016年8月27日号で発表した。同患者への予防的ICDについては、これまでサブグループ解析によるエビデンスが主であった。

DES vs.BMS、留置から6年時点のアウトカム/NEJM

 経皮的冠動脈インターベンション(PCI)で使用する留置ステントの長期有効性について、薬剤溶出ステント(DES)vs.ベアメタルステント(BMS)を検討した結果、追跡6年時点の複合エンドポイント(全死因死亡・非致死的自然発症心筋梗塞)の発生について有意差は認められなかった。一方で、血行再建術の再施行率は、DES群の有意な減少が認められたという。ノルウェー・トロムソ大学のK.H. Bonaa氏らが同国でPCIを受けた9,013例について行った無作為化試験の結果、明らかにした。NEJM誌オンライン版2016年8月30日号掲載の報告。

冠動脈疾患疑い、非侵襲的検査が不要な血管造影を減らす/JAMA

 冠動脈疾患が疑われる患者において、英国立医療技術評価機構(NICE)ガイドラインに基づく治療方針より心血管磁気共鳴(CMR)検査を用いた治療のほうが、12ヵ月以内の不必要な血管造影を減らせることが明らかとなった。CMR検査と心筋血流シンチグラフィ(MPS)検査とで統計的有意差はなく、主要有害心血管イベント(MACE)の発生率も差はなかった。英国・リーズ大学のJohn P. Greenwood氏らが、Clinical Evaluation of Magnetic Resonance Imaging in Coronary Heart Disease 2(CE-MARC2)試験の結果、報告した。冠動脈疾患が疑われる患者に対しては、非侵襲的画像診断の利用や推奨が拡大しているにもかかわらず、診断初期には侵襲的血管造影が一般的に用いられている。現在のガイドラインで推奨されている異なる画像診断の有効性を比較する大規模試験はこれまでなかった。JAMA誌オンライン版2016年8月29日号掲載の報告。

非STEMIの死亡率は10年間で改善、その要因とは/JAMA

 イングランドおよびウェールズにおいて、非ST上昇型心筋梗塞(NSTEMI)で入院した患者の全死亡率は2003年から2013年に改善していることが確認された。この改善は、冠動脈侵襲的治療の実施と有意に関連しており、ベースラインの臨床リスク減少や薬物療法の増加とはまったく関連していなかったという。英国・リーズ大学のMarlous Hall氏らが、Myocardial Ischaemia National Audit Project(MINAP)のデータを用いたコホート研究の結果、報告した。急性冠症候群後の死亡率は世界的に低下しているが、この低下がガイドラインで推奨されたNSTEMIの治療とどの程度関連しているかは不明であった。JAMA誌オンライン版2016年8月30日号掲載の報告。

転ばぬ先の杖:TAVIに対する脳血管保護デバイス(解説:香坂 俊 氏)-590

脳血管系の合併症は、だいたい1.5~2.0%の心臓外科手術に起こるとされていて、頻度はそれほど高くないのだが、個人的には避けたい合併症No.1である。実は、頻度からすると「心不全」のほうが術後合併症として起こる確率は高いのだが、こちらはなんとか対応できるイメージなのに対して、脳血管系の合併症は起こってしまうと「本当にどうにもならない」という拭い難いネガティブなイメージが付いてまわる。

ステント留置後のプラスグレル投与、血小板機能検査は必要か/Lancet

 急性冠症候群(ACS)で冠動脈ステント留置術後の75歳以上ハイリスク患者に対してP2Y受容体拮抗薬プラスグレル(商品名:エフィエント)を投与する際、5mg/日投与後に血小板機能検査によるモニタリングを実施し用量調整を行っても、同検査をせずに5mg/日を投与し続ける場合と比べ、1年後までの心血管イベント発生率は変わらないことが明らかにされた。フランス・モンペリエ大学のGuillaume Cayla氏らが、877例を対象に行ったエンドポイント盲検化による非盲検無作為化比較試験「ANTARCTIC」試験の結果、明らかにしLancet誌オンライン版2016年8月28日号で発表した。

冠動脈疾患患者への降圧治療、Jカーブリスクに留意が必要/Lancet

 安定冠動脈疾患で降圧治療を受ける患者において、収縮期血圧120mmHg未満、拡張期血圧70mmHg未満と、それぞれ140mmHg以上、80mmHg以上で、死亡を含む有害心血管イベント発生リスクが増大するという「Jカーブ」を描くことが確認された。フランス・パリ第7大学のEmmanuelle Vidal-Petiot氏らが、45ヵ国、約2万3,000人を対象に行った前向きコホート研究の結果、明らかにした。至適降圧目標についてはなお議論の的であり、とくに冠動脈疾患患者では、拡張期血圧が低すぎる場合に心筋の血流低下が起きることが懸念されている。結果を踏まえて著者は、「所見は、冠動脈疾患患者に対する降圧治療は注意深く行うべきことを示すものだった」とまとめている。Lancet誌オンライン版2016年8月26日号掲載の報告。