循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:280

仮説検定としては意味があるが独創的とは言い難い(解説:野間 重孝 氏)-415

本研究は、急性ST上昇型心筋梗塞(STEMI)患者に対して、プライマリ経皮的冠動脈インターベンション施行前にシクロスポリンを静脈内投与することにより、1年時点で評価した有害事象(全死因死亡、初回入院中の心不全の悪化、心不全による再入院、左室拡張末期容積15%以上増加のリモデリング)の発生を軽減することができるという仮説を検定したものである。

たこつぼ心筋症、9割が女性、6割で神経・精神障害/NEJM

 たこつぼ心筋症の患者は、その9割弱が女性で、神経・精神障害の有病率は約6割と急性冠症候群(ACS)に比べ有意に高率であることが明らかになった。スイス・チューリッヒ大学病院のC. Templin氏らが、欧州・米国の協同によるたこつぼ患者レジストリからの患者1,750例と、急性冠症候群のマッチング患者について行った試験の結果、判明した。たこつぼ心筋症の経過やアウトカムについては十分に解明されていなかった。NEJM誌2015年9月3日号掲載の報告より。

心不全患者へのASV陽圧換気療法は死亡を増大/NEJM

 左室駆出率が低下し、多くが中枢性睡眠時無呼吸症候群を有する心不全患者を対象とした無作為化試験において、Adaptive servo-ventilation(ASV)陽圧換気療法の死亡や予後不良改善の有意な効果は認められず、同治療群の全死因死亡および心血管系による死亡の増大がみられたことが報告された。英国インペリアル・カレッジ・ロンドンのMartin R. Cowie氏らが、1,325例を対象とした試験の結果、明らかにした。心不全患者において、中枢性睡眠時無呼吸症候群は予後不良や死亡との関連があることが知られており、ASV陽圧換気療法は、非侵襲的な睡眠時無呼吸症候群の治療法であり、心不全患者に対する有効性が期待されていた。NEJM誌オンライン版2015年9月1日号掲載の報告。

多枝冠動脈疾患へのFFRガイド下PCI、5年後も転帰良好/Lancet

 多枝冠動脈疾患患者に対する血流予備量比(FFR)ガイド下の経皮的冠動脈インターベンション(PCI)の長期安全性が確認された。オランダ・Catharina Hospital EindhovenのLokien X van Nunen氏らが、無作為化試験FAMEの5年間の追跡調査の結果、報告した。著者は今回の結果を踏まえて「この手技を大半の患者の標準ケアとすべきであることが示唆された」と述べている。これまでに同試験のフォローアップ2年間の報告でアウトカムの改善が示されていた。Lancet誌オンライン版2015年8月28日号掲載の報告より。

血圧管理は脳出血の再発を抑制するか/JAMA

 脳出血(ICH)発症後の生存例では、適切な血圧管理により再発リスクが改善することが、米国・マサチューセッツ総合病院のAlessandro Biffi氏らの検討で明らかとなった。ICHは、主に細動脈硬化と脳アミロイド血管障害(CAA)によるものに分けられ、細動脈硬化関連ICHのほとんどが脳の深部構造で発症するのに対し、CAA関連ICHは皮質~皮質下領域(脳葉)にほぼ限定される。ICH生存例は再発リスクが高く、一般に再発ICHは初発ICHよりも重症であるため、2次予防戦略の改善が重要とされる。一方、非脳葉型ICHの再発の予防では血圧管理が重要とされるが至適な降圧に関するデータはほとんどなく、脳葉型ICHにおける降圧の役割はほとんど知られていないという。JAMA誌2015年9月1日号掲載の報告。

急性STEMIへのPCI前シクロスポリンは効果なし/NEJM

 急性ST上昇型心筋梗塞(STEMI)患者に対するプライマリ経皮的冠動脈インターベンション(PCI)前のシクロスポリン静注投与は、1年後の臨床的アウトカム改善には結び付かず、有害な左室リモデリングを予防しないことを、フランス・Arnaud de Villeneuve大学付属病院のThien-Tri Cung氏らが、多施設共同二重盲検プラセボ対照無作為化試験の結果、報告した。先行研究により、PCI前のシクロスポリン投与により、再灌流傷害の軽減および心筋梗塞のサイズ縮小が期待されていた。NEJM誌2015年9月10日号(オンライン版2015年8月30日号)掲載の報告より。

狭心症「安定期」でのトロポニンの役割(解説:香坂 俊 氏)-411

トロポニンは急性心筋梗塞(AMI)の考え方を根底から変えた。AMIの診断にあたって、以前は「症状」と「心電図」と「バイオマーカー」がきっちりと三権分立しており“三つのうち二つが当てはまればAMIと診断する”とされていた(WHO基準)。ただ、トロポニンが出てきてからは、その高い感度と特異度のため「陽性ならAMI、陰性なら違う」という、誠に味気のない基準に変わってしまった(別に悪いことではないのだが)。

CHA2DS2-VAScスコア、心不全患者にも有用/JAMA

 心房細動(AF)患者の脳卒中リスク層別化に有用なCHA2DS2-VAScスコアが、AFの有無を問わない心不全(HF)患者にも有用であることが明らかにされた。デンマーク・オールボー大学のLine Melgaard氏らによる検討の結果、同患者でスコアと虚血性脳卒中、血栓塞栓症、死亡のリスクとの関連がみられたという。また、非AF患者のほうがAFを有する患者と比べて、同スコアが高いほど血栓塞栓症の合併絶対リスクが高いことも認められた。一方で、予測精度は中程度であり、HF患者におけるスコアの臨床的な有用性は確定的なものではないと著者は述べている。JAMA誌2015年8月30日号掲載の報告より。

ジゴキシンは本当に死亡を増大するのか/BMJ

 ジゴキシン(商品名:ジゴシンほか)使用と死亡との関連は認められず、一方で入院減少との関連が認められたことを、英国・バーミンガム大学循環器サイエンスセンターのOliver J Ziff氏らが報告した。ジゴキシンは心不全患者の症状軽減や心房細動患者の心拍数コントロールに用いられる頻度が高いが、最近の観察研究で死亡増大との関連が指摘されていた。研究グループは、すべての観察研究、無作為化試験を対象に試験デザインや方法を考慮しつつ、ジゴキシンの死亡および臨床的アウトカムへの影響を明らかにするシステマティックレビューとメタ解析を行った。BMJ誌オンライン版2015年8月30日号掲載の報告。

小児の院内心停止、アドレナリン投与早いほど転帰良好/JAMA

 小児院内心停止に対するエピネフリン(アドレナリン)の早期投与は、生存退院率や自己心拍再開率など、アウトカムを有意に改善することが示された。米国のベス・イスラエル・ディーコネス医療センターのLars W. Andersen氏らが、約1,600例の小児患者について行った試験の結果、明らかにした。これまでの検討では、成人患者について、院内心停止患者に対するエピネフリン投与の遅延が生存率低下に関与していることは知られていたが、小児患者については不明であった。JAMA誌2015年8月25日号掲載の報告より。