高齢者のSU薬とワルファリンの併用、低血糖リスク増大/BMJ

提供元:ケアネット

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公開日:2015/12/24

 

 高齢者のワルファリンとスルホニル尿素薬(SU薬)の同時服用は、SU薬単独服用時に比べ、低血糖による病院救急部門受診・入院リスクを約1.2倍に増大することが、また、転倒リスクも約1.5倍に増大することが明らかにされた。米国・南カリフォルニア大学のJohn A. Romley氏らが、65歳以上のメディケア出来高払いプラン加入者の保険請求データを基に後ろ向きコホート試験を行った結果、示されたという。著者は、「結果は、これら薬物間の重大な相互作用の可能性を示唆するものだ」と指摘している。BMJ誌オンライン版2015年12月7日号掲載の報告。

2006~11年の保険請求データを基に併用群 vs.SU薬単独群を分析
 研究グループは、メディケア出来高払いプラン加入者の20%に相当する保険請求データを基に、SU薬(glipizideまたはグリメピリド)服用高齢者において、ワルファリンの併用が、低血糖などによる病院救急部門受診または入院リスク増大と関連するのかを調べた。被験者は、2006~11年にSU薬を処方されていた46万5,918例。そのうちワルファリンを処方されていたのは、7万1,895例(15.4%)だった。

 主要評価項目は、ワルファリンとSU薬を同時処方されていた四半期(併用群)と、SU薬のみ処方されていた四半期(単独群)とで比較した、低血糖による病院救急部門受診または入院の発生率だった。多変量ロジスティック回帰法にて各被験者特性を補正し分析した。

併用群で低血糖1.22倍、転倒1.47倍、精神状態関連1.22倍
 結果、低血糖による病院救急部門受診または入院の発生は、併用群1,903件/393万8,939人・四半期、単独群は294件/41万6,479人・四半期で、併用群が有意に高率だった(補正後オッズ比[OR]:1.22、95%信頼区間[CI]:1.05~1.42)。

 その中でも同時服用による低血糖発症リスクは、ワルファリンを初めて服用する人や、65~74歳の人で高かった。

 また、ワルファリンとSU薬の同時服用時は、転倒(補正後OR:1.47、95%CI:1.41~1.54)や変性意識状態・精神状態関連(同:1.22、1.16~1.29)の病院救急部門受診や入院リスクについても、SU薬単独服用時に比べて有意に高率だった。なお、結果について著者は、ワルファリン使用と重症低血糖の関連については交絡因子の存在が否定できないこと、また今回の所見をもって高齢者全般について言えるものではないとしている。

(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)