日本人における便秘と心血管疾患死のリスク

提供元:ケアネット

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公開日:2016/01/13

 

 大阪大学の久保田 康彦氏らは、排便頻度および下剤使用と心血管疾患(CVD)との関連について、日本人の大規模コホート研究であるJACC(Japan Collaborative Cohort)Studyで検討した。その結果、便秘はCVD危険因子への曝露を示すマーカーとなる可能性があり、下剤使用は冠動脈疾患と虚血性脳卒中による死亡の危険因子となりうることが示唆された。Journal of epidemiology誌オンライン版2015年12月26日号に掲載。

 本研究では、1988~90年にCVDやがんの既往のない7万2,014人(40~79歳、男性2万9,668人、女性4万2,346人)について、排便頻度(毎日・2~3日に1回・4日以上に1回)と下剤使用(はい・いいえ)に関する情報を含むライフスタイルのアンケートを開始時に実施し、2009年まで追跡した。

 主な結果は以下のとおり。

・116万5,569人年のフォローアップの間に死亡した参加者は、冠動脈疾患が977人(男性561人、女性416人)、脳卒中全体が2,024人(男性1,028人、女性996人)、虚血性脳卒中が1,127人(男性606人、女性521人)、出血性脳卒中が828人(男性388人、女性440人)であった。
・CVDの危険因子(糖尿病、ストレス、うつ病、運動不足など)の保有率は、下剤使用者と排便頻度の低い人で高かった。
・多変量解析による下剤使用者のハザード比(95%CI)は以下のとおり。
 冠動脈疾患:1.56(1.21~2.03)
 脳卒中全体:1.27(1.08~1.49)
 男性における虚血性脳卒中:1.37(1.07~1.76)
 女性における虚血性脳卒中:1.45(1.17~1.79)
・追跡期間初期の死亡を除外しても同様の結果が認められた。
・排便頻度とCVDによる死亡の間に有意な関連は認められなかった。

(ケアネット 金沢 浩子)