循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:336

地中海式食事療法、高リスク集団の心血管イベント1次予防に有用/NEJM

 地中海食(エネルギー制限はしない)とオリーブオイルまたはミックスナッツを組み合わせた食事療法が、心血管リスクの高い集団の心血管イベントの1次予防において相対リスクを約30%低減することが、スペイン・バルセロナ大学病院のRamon Estruch氏らの検討で明らかとなった。地中海食は、オリーブオイル、果物、ナッツ、野菜、シリアルの摂取量が多く、魚や鶏肉の摂取量は中等度、乳製品、赤身肉、加工肉、菓子類の摂取量は少ないことが特徴とされる。地中海式食事療法の遵守状況と心血管リスクは逆相関を示すことが、観察コホート試験や2次予防試験で確認されている。NEJM誌オンライン版2013年2月25日号掲載の報告。

SYNTAXスコアII開発でCABGかPCIかの予測能がより高く/Lancet

 複雑な冠動脈疾患の血行再建術の選択について、解剖学的な複雑さを考慮しただけのSYNTAXスコアよりも、同スコアに左室駆出率などの臨床因子を加えたSYNTAXスコアIIが有効であることが報告された。オランダ・エラスムス大学メディカルセンターのVasim Farooq氏らが行った試験で明らかにしたもので、Lancet誌オンライン版2013年2月23日号で発表した。SYNTAXスコアは、欧米のガイドラインで至適な血行再建術選択ツールとして提唱されているが、予測能に限界があることが指摘されていた。そこで同研究グループは、8つの予測因子から成るSYNTAXスコアIIを開発し検証試験を行った。

〔CLEAR! ジャーナル四天王(63)〕 SYNTAX試験の5年追跡結果、CABGのPCIに対する優位性が確認されるも、全死亡・脳卒中に有意差なし

 SYNTAX試験は,左主幹部疾患および3枝疾患を、心臓外科医とPCI施行医がどちらの治療法でも施行可能と判断すればPCIかCABGに無作為に割り付け比較した研究である。PCIは第1世代の薬物溶出性ステントであるTaxusA を用いている。1年の追跡結果からの主論文では、「再血行再建も含めた主要エンドポイントについてTaxusを用いたPCIはCABGに対して非劣性を達成することができなかった」が結論である。

〔CLEAR! ジャーナル四天王(62)〕 第二世代ステントの中期成績の比較試験、その名もCOMPARE II

 循環器のカテーテル治療で薬剤溶出性ステント(Drug-Eluting Stent; DES)が用いられるようになってから久しい。第1世代のCypher/Taxusから始まり、現在は第2世代のXience(Promus)/Endeavorが用いられるようになっている。その第2世代のDESの中で、corrugated ring構造を採用し、非常に柔軟性に富んだDESとして注目されているのが、COMPARE II試験で対象となったNoboriである。

SYNTAX中・高スコア患者の標準治療はCABGとすべき/Lancet

 左冠動脈主幹部病変および3枝病変を有する患者を対象として、冠動脈バイパス術(CABG)と経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を比較した無作為化試験「SYNTAX」の最終5年フォローアップの成績が、ドイツ・Herzzentrum Universitat LeipzigのFriedrich W Mohr氏らにより発表された。同試験についてはこれまで、1年時点(主要エンドポイントMACCEについてPCI群はCABG群に対して非劣性を達成せず)、3年時点(MACCEほか心筋梗塞発生、血行再建術がPCI群で有意に高い)の各成績が示されていた。今回の5年時点でも両群のイベント発生率の格差が認められたこと、とくに心筋梗塞発生、血行再建術がPCI群で有意に高いことなどが示された。研究グループは「SYNTAXスコアが中あるいは高の複雑病変患者の標準治療はCABGとすべきである」と結論し報告をまとめている。Lancet誌2013年2月23日号の掲載報告。

〔CLEAR! ジャーナル四天王(60)〕 The WOEST study:長期間抗凝固療法を受けている患者にPCIを行う際には、アスピリンは不要でクロピドグレルのみの併用で良い

 PCIを施行する際には、血栓症を予防するためにアスピリンとチエノピリジン系の抗血小板薬を併用することが標準とされてきた。一方、65歳以上の年齢層の8%に非弁膜症性の心房細動が発症することが知られている。心房細動の治療は、心原性血栓による脳塞栓症と心房細動性頻拍症の持続による心不全の予防が基本であり、抗凝固薬とβ遮断薬の併用が標準治療とされている。抗凝固薬を服用中の患者にPCIを行う際の抗血小板薬の組み合わせは、臨床上きわめて重要な問題である。

抗凝固薬服用PCI患者にはクロピドグレル単独追加が出血リスクを有意に減少/Lancet

 経口抗凝固薬を服用中で経皮的冠動脈インターベンション(PCI)が必要とされる患者には、アスピリンやクロピドグレル(商品名:プラビックス)の抗血小板薬療法が推奨されている。その場合3剤併用療法は深刻な出血リスクを招くが、オランダ・Twee Steden HospitalのWillem J M Dewilde氏らの研究グループは、クロピドグレル単独と、クロピドグレル+アスピリンを併用した場合の有効性および安全性を調べる非盲検無作為化比較対照試験を行った。その結果、クロピドグレル単独追加群では出血性合併症が有意に減少し、血栓性イベントが増加しなかったことを報告した。Lancet誌オンライン版2013年2月13日号より。

皮膚筋炎患者の心筋梗塞リスクは約4倍、脳梗塞リスクは約1.8倍

 皮膚筋炎(DMS)患者では、心血管イベントおよび脳血管イベントのリスクが高いことが、台湾・国立台湾大学病院のY.-T. Lai氏らが行った住民ベースの長期追跡調査の結果、明らかになった。自己免疫疾患に関連する慢性炎症性疾患は心血管リスクを増大することは知られているが、脳血管リスクについてはこれまで不明であった。British Journal of Dermatology誌オンライン版2013年1月21日号の掲載報告。

レニン・アンジオテンシン系阻害薬の併用は死亡率の低下をもたらさない/BMJ

 レニン・アンジオテンシン系(RAS)の二重遮断は、心不全を主とする入院を減らし一見ベネフィットがあるように見えるが、死亡率の低下には結びついておらず、有害事象の超過リスクとの関連が認められることが、米国・コロンビア大学付属St Luke's Roosevelt HospitalのHarikrishna Makani氏らによるメタ解析の結果、報告された。RAS二重遮断は、治療抵抗性の心不全、高血圧症、糖尿病性腎症、蛋白尿症と幅広く用いられているが、有効性と安全性については議論が続いていた。今回の解析で示されたリスク・ベネフィットの結果を踏まえて著者は、「RAS二重遮断のルーチンな使用の反証が示された」と結論している。BMJ誌オンライン版2013年1月28日号掲載より。