循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:335

非緊急PCI、心臓外科部門のない施設でもアウトカムは非劣性/NEJM

 非緊急の経皮的冠動脈インターベンション(PCI)について、心臓外科部門のない病院(非専門施設)での実施のアウトカムが、同部門がある病院に劣らないことが、米国・ボストン大学医学部のAlice K. Jacobs氏らによる多施設共同の前向き無作為化非劣性試験「MASS COMM」の結果、明らかにされた。PCI後に緊急手術を要する事象の発生はまれになったが、最良のアウトカムを得るためには、PCI実施は専門施設を基本とするべきかについては不明であった。MASS COMMは、政策へのエビデンス提供を目的に州公衆衛生局と共同で2006年に企画された研究であった。NEJM誌オンライン版2013年3月11日号掲載の報告。

75歳以上高齢者に対するCABG、off-pumpとon-pumpに有意差なし/NEJM

 75歳以上の高齢者に焦点をあてoff-pump冠動脈バイパス術(CABG)のベネフィットについて検討した、ドイツ・ヘルツ&ゲファスクリニックのAnno Diegeler氏らによる無作為化試験「GOPCABE」の結果が発表された。on-pump CABGと比べて、30日時点、12ヵ月時点ともに死亡や脳卒中など複合アウトカムに関する有意差は認められなかったという。off-pump CABGについてはその有用性はなお議論の的である。これまで低リスク患者や異なるリスク背景をもつ患者を対象とした試験は行われているが、高齢者については確認されておらず、Diegeler氏らは、高リスク患者におけるoff-pump CABGの有効性を明らかにできることを確信して本検討を行った。NEJM誌オンライン版2013年3月11日号の掲載報告より。

収縮期心不全患者に対するESA製剤、臨床アウトカムを改善しない:RED-HF試験/NEJM

 軽症~中等度の貧血を有する慢性収縮期心不全患者について、ダルベポエチンアルファ(商品名:ネスプ)による治療は臨床アウトカムの改善には結びつかなかったことが、スウェーデン・イェーテボリ大学のKarl Swedberg氏らによる無作為化二重盲検試験「RED-HF」で示された。収縮期心不全患者において貧血はよくみられる症状で、腎機能やRAS阻害薬服用との関連が示されている。同患者では症状や運動耐容能の悪化や、入院、死亡などの転帰が貧血のない患者と比べて高率であり、先行研究においてESA製剤の腎性貧血治療薬ダルベポエチンアルファによる造血効果が運動耐容能の改善や貧血による入院を低下する可能性が示唆されていた。一方でESA製剤は、慢性腎臓病患者の心血管アウトカムは改善しないこと、ヘモグロビン高値を目標とする治療においてアテローム血栓性イベントのリスクを増大したといった試験報告もあった。NEJM誌オンライン版2013年3月10日号掲載報告より。

〔CLEAR! ジャーナル四天王(69)〕 慢性心不全と貧血を考える際のlandmark studyとなるか?!

慢性心不全の定義は研究者により異なるが、「慢性心疾患のため心臓のポンプ機能が低下し、結果として容易にうっ血性心不全状態に陥ったり重症不整脈の発生がみられる予後不良の状態」というコアな部分においては異論がないと思われる。心血管系の第一の役割は諸臓器に酸素を送り届けることである。したがって、その運搬媒体であるヘモグロビンの不足(=貧血)の存在は、脆弱化した循環系に対して慢性的に過運動を強いるものであり、予後不良因子になると推測されたのは一見自然なことであったように思われるであろう。

心筋線維化、拡張型心筋症の新たな予後因子に/JAMA

 非虚血性拡張型心筋症患者の新たな独立の予後因子として、心筋線維化が有用である可能性が、英国・王立ブロンプトン病院のAnkur Gulati氏らの検討で示された。左室駆出率(LVEF)と組み合わせれば、さらに強力な予後予測能が得られることも示唆された。非虚血性拡張型心筋症のリスク分類は主にLVEFに基づいて行われるが、よりよい予後因子が同定されれば、植込み型除細動器(ICD)などが適応となる患者の選定に役立つ可能性があるという。JAMA誌2013年3月6月号掲載の報告。

小型の腹部大動脈瘤、至適な超音波検査の間隔とは?/JAMA

 瘤の直径が3.0~5.4cmの小さな腹部大動脈瘤(AAA)の破裂の予防に要する超音波検査は数年に一度で十分である可能性が、英国・ケンブリッジ大学のSimon G Thompson氏らRESCAN Collaboratorsの検討で示された。AAAは破裂後の生存率が20%と低く、通常は破裂するまで無症状である。欧米では、瘤径<5.5cmのAAAは破裂のリスクが手術に伴うリスクよりも低く、多くは成長も遅いため超音波による監視検査が行われるが、破裂前の瘤の増大を検出する適切な検査間隔についてはコンセンサスが得られていないという。JAMA誌2013年2月27日号掲載の報告。

左室駆出率保持の心不全、スピロノラクトン長期投与で左室拡張能改善/JAMA

 左室駆出率が保存された左室拡張機能障害の認められる心不全患者に対する、抗アルドステロン薬スピロノラクトン(商品名:アルダクトンAほか)の長期投与は、左室拡張機能を改善することが示された。一方、最大運動耐容能の改善効果は認められなかった。ドイツ・ゲッチンゲン大学のFrank Edelmann氏らによる、400例超について行ったプラセボ対照無作為化二重盲検試験「Aldo-DHF」からの報告で、JAMA誌2013年2月27日号で発表された。本検討は、同患者について確立した治療法がない中、その進行にアルドステロン活性が関与している可能性が示されたことが背景にあった。

〔CLEAR! ジャーナル四天王(65)〕 スピロノラクトンは収縮機能保持心不全例の左室拡張機能指標を改善させる:予後改善効果に期待

 本研究は左室収縮機能が保持された心不全患者を対象に、二重盲検法でスピロノラクトン25mgあるいは偽薬を各々約200例に対して1年間投与し、同薬の左室機能や形態、運動耐容能などに与える影響を検討した。その結果、同薬は左室拡張能指標、左室重量係数、NT-proBNP値を改善させることを明らかにした。しかし、運動耐容能やQOL指標には明らかな改善効果はみられなかったとしている。

ダビガトラン、VTEの延長治療に有効、出血リスクも/NEJM

 直接トロンビン阻害薬ダビガトラン(商品名:プラザキサ)による抗凝固療法は、静脈血栓塞栓症(VTE)の延長治療として有効であり、大出血や臨床的に重要な出血のリスクはワルファリンよりは低いもののプラセボに比べると高いことが、カナダ・マクマスター大学のSam Schulman氏らの検討で示された。VTE治療はビタミンK拮抗薬が標準とされ、複数の血栓エピソードなど再発のリスク因子を有する場合は長期投与が推奨されるが、大出血のリスクとともに頻回のモニタリングや用量調整を要することが問題となる。ダビガトランは固定用量での投与が可能なうえ、頻回のモニタリングや用量調節が不要で、VTEの治療効果についてワルファリンに対する非劣性が確認されており、初期治療終了後の延長治療に適する可能性がある。NEJM誌2013年2月21日号掲載の報告

アピキサバン、VTEの抗凝固療法の延長治療として有用/NEJM

 経口第Xa因子阻害薬アピキサバン(商品名:エリキュース)による抗凝固療法の延長治療は、大出血の発生率を上昇することなく静脈血栓塞栓症(VTE)の再発リスクを低減することが、イタリア・ペルージャ大学のGiancarlo Agnelli氏らによるAMPLIFY-EXT試験で示された。深部静脈血栓症(DVT)や肺塞栓症(PE)などのVTEは、心疾患や脳卒中後の血管関連死の原因として3番目に頻度が高いという。欧米のガイドラインは3ヵ月以上の抗凝固療法を推奨しているが、標準治療であるワルファリンは、出血リスクのほかモニタリングや食事制限などの問題で治療の継続が難しくなることが多く、延長治療の決定には困難が伴う。アピキサバンは固定用量レジメンでの投与が可能で、モニタリングも不要なため、VTEの延長治療の選択肢となる可能性があった。NEJM誌2013年2月21日号(オンライン版2012年12月8日号)掲載の報告。