皮膚科の海外論文・最新ニュースアーカイブ

乳がん患者の脱毛に対するミノキシジル投与は安全かつ効果的

 発毛剤のロゲインやリアップの有効成分であるミノキシジルを化学療法の最中や治療後に服用すると、多くの乳がん患者で発毛が促され、心臓関連の重大な副作用も認められなかったとする研究結果が報告された。脱毛症の治療薬として知られるミノキシジルは、血管拡張作用により血圧を下げる効果も有することから高血圧の治療薬としても用いられている。しかし、この血管拡張作用が化学療法に伴う心臓関連の副作用を増大させ、胸痛、息切れ、体液貯留などを引き起こすのではないかと懸念されていた。米ニューヨーク大学(NYU)グロスマン医学部のDevyn Zaminski氏らが、NYUランゴン・ヘルスの資金提供を受けて実施したこの研究の詳細は、「Journal of the American Academy of Dermatology」に12月3日掲載された。

悪性黒色腫、深達度0.8mm以上で関連死リスク上昇

 原発腫瘍深達度(Breslow厚)1mm以下の悪性黒色腫による死亡リスクは、Breslow厚0.8~1.0mmの患者が同0.8mm未満の患者と比較して有意に高かったことが、オーストラリア・シドニー大学のSerigne N. Lo氏らによるレジストリコホート研究で示された。なお、悪性黒色腫以外による死亡リスクは同等であった。原発性皮膚悪性黒色腫を有する多くの患者は、腫瘍の厚さが薄く(1.0mm以下、すなわちpT1aおよびpT1b)、一般的に予後は良好と考えられているものの、1.0mm以下の腫瘍深達度と死亡リスクの関連についての明確な情報は限られていた。著者は、「今回の解析結果から、悪性黒色腫AJCC病期分類の改訂時にT1の閾値を1.0mmから0.8mmに変更することを考慮すべきであることが示唆された」と述べている。JAMA Dermatology誌オンライン版2024年12月11日号掲載の報告。

乾癬治療のデュークラバシチニブ、長期投与の有用性

 中等症~重症の局面型皮疹を有する乾癬において、3年間のデュークラバシチニブによる継続治療は安全かつ有効であることを、米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校のApril W. Armstrong氏らが、3試験(POETYK PSO-1、PSO-2、長期継続試験)の結果のプール解析を行い報告した。デュークラバシチニブ治療は3年間にわたり一貫した安全性プロファイルを示し、有害事象(AE)および重篤な有害事象(SAE)の発現率は、時間の経過とともに低下または同程度であった。結果を踏まえて著者は、「今回の結果は、中等症~重症の局面型皮疹を有する乾癬患者に対するデュークラバシチニブの長期安全性と有効性を、さらに支持するものであった」とまとめている。JAMA Dermatology誌オンライン版2024年11月27日号掲載の報告。

超加工食品の大量摂取は活動性乾癬と関連

 超加工食品はさまざまな健康問題と関連付けられているが、新たな研究で、自己免疫性皮膚疾患である乾癬もそのリストに追加される可能性のあることが示唆された。アンリ・モンドール病院(フランス)の皮膚科医であるEmilie Sbidian氏らによるこの研究結果は、「JAMA Dermatology」に11月27日掲載された。Sbidian氏は、「この研究結果により、超加工食品の大量摂取と活動性乾癬の状態との間に関連性があることが明らかになった」と述べている。  超加工食品とは、飽和脂肪(飽和脂肪酸を多く含む脂肪のこと)、デンプン、添加糖など、主にホールフードから抽出された物質を主成分とする食品で、味や見た目を良くし、保存性を高めるために、着色料、乳化剤、香料、安定剤など、さまざまな添加物も含まれている。パッケージ入りの焼き菓子、砂糖入りシリアル、インスタント食品、温めるだけで食べられる製品、デリで売られているスライスした冷製の肉やチーズの盛り合わせなどが、代表的な超加工食品の例である。

帯状疱疹ワクチン、65歳を対象に定期接種化を了承/厚労省

 12月18日に開催された第65回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会において、帯状疱疹を予防接種法のB類疾病に位置付けるとし、帯状疱疹ワクチンの定期接種化が了承された。  2025年4月1日より、原則65歳を対象に定期接種が開始される見込み。高齢者肺炎球菌ワクチンと同様に、5年間の経過措置として、70歳、75歳、80歳、85歳、90歳、95歳、100歳時に接種する機会を設ける方針だ。また、60歳以上65歳未満の者であっても、ヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能障害を有する者として厚生労働省令で定める者も対象となる。帯状疱疹にかかったことのある者についても定期接種の対象となる。

増える成人食物アレルギーと新規アレルゲン、「食べたい」に応えるために/日本アレルギー学会

 成人の食物アレルギーは、罹患者数が増加の一途をたどっている。しかし、疫学データの不足や病態解明が不十分であることなどから、専門診療の需要が急増している。このような背景から、成人の食物アレルギーは近年注目を集めている。そこで第73回日本アレルギー学会学術大会(10月18~20日)において、「成人の食物アレルギーアップデート」というシンポジウムが開催された。本シンポジウムにおいて、矢上 晶子氏(藤田医科大学ばんたね病院 総合アレルギー科 教授)が「成人領域における食物アレルギーの新たなアレルゲン」というテーマで、新たなアレルゲンの同定方法、注目される新たなアレルゲン、アレルゲン解析後の対応について解説した。

COVID-19罹患で自己免疫・炎症性疾患の長期リスクが上昇

 COVID-19罹患は、さまざまな自己免疫疾患および自己炎症性疾患の長期リスクの上昇と関連していることが、韓国・延世大学校のYeon-Woo Heo氏らによる同国住民を対象とした後ろ向き研究において示された。これまでCOVID-19罹患と自己免疫疾患および自己炎症性疾患との関連を調べた研究はわずかで、これらのほとんどは観察期間が短いものであった。著者は「COVID-19罹患後のリスクを軽減するために、人口統計学的特性、重症度、ワクチン接種状況を考慮しながら、長期的なモニタリングと管理が重要であることが示された」と述べている。JAMA Dermatology誌オンライン版2024年11月6日号掲載の報告。

麻疹ワクチン、接種率の世界的な低下により罹患者が増加

 麻疹ワクチン接種率の低下により、2022年から2023年にかけて、世界中で麻疹罹患者が20%増加し、2023年には1030万人以上がこの予防可能な病気を発症したことが、世界保健機関(WHO)と米疾病対策センター(CDC)が共同で実施した研究により明らかになった。この研究の詳細は、「Morbidity and Mortality Weekly Report」11月14日号に掲載された。  CDC所長のMandy Cohen氏は、「麻疹罹患者が世界中で増加しており、人命と健康が危険にさらされている。麻疹ワクチンはウイルスに対する最善の予防策であり、ワクチン接種の普及拡大に向けた取り組みに引き続き投資する必要がある」とCDCのニュースリリースで述べている。

化膿性汗腺炎への適応が追加されたビメキズマブ、その特徴は?/UCB

 ユーシービージャパンは、ヒト化抗ヒトIL-17A/IL-17Fモノクローナル抗体ビメキズマブ(商品名:ビンゼレックス)について、2024年11月26日に化膿性汗腺炎(HS)の適応追加に関するメディアセミナーを行った。同薬剤は、9月24日にHSに対する適応追加の承認を取得している。セミナーでは、藤田 英樹氏(日本大学医学部皮膚科学系皮膚科学分野)がHSの病態とビメキズマブの概要について講演を行った。  HSは、痛みを伴う慢性的かつ再発性の炎症性皮膚免疫疾患だ。腋窩や臀部、鼠径部、肛門周囲、乳房下部などの間擦部に好発し1)、しばしば炎症性の結節が生じ、膿瘍形成に進行、さらに毛包が破裂して排膿を伴う瘻孔を形成して、その後瘢痕化することがある2)。HSは痛みや瘢痕により、患者のQOLを損ないやすい疾患といえる。

免疫療法を受けるがん患者は乾癬に注意

 免疫チェックポイント阻害薬(ICI)による治療を受けるがん患者は、ICI以外(化学療法または分子標的薬)による治療を受けているがん患者と比較して、乾癬のリスクが高いことが、台湾・国防医学院のSheng-Yin To氏らによる全国規模のコホート研究で示された。ICIによる免疫療法は画期的ながん治療として認知されているが、自己免疫疾患の発症などの免疫関連有害事象に関する懸念も存在する。著者は、「今回の結果は、最適ながん治療を確実に行えるように、臨床医と患者は免疫療法に伴う乾癬のリスク上昇を認識しておくべきことの重要性を強調するものである」とまとめている。JAMA Dermatology誌オンライン版2024年11月6日号掲載の報告。