皮膚科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:5

早老症の寿命延長に寄与する治療薬ロナファルニブ発売/アンジェス

 アンジェスは、小児早老症であるハッチンソン・ギルフォード・プロジェリア症候群(HGPS)とプロセシング不全性プロジェロイド・ラミノパチー(PDPL)の治療薬であるロナファルニブ(商品名:ゾキンヴィ)の発売に伴い、都内でプレスセミナーを開催した。  HGPSとPDPLは、致死性の遺伝的早老症の希少疾病であり、若い時点から死亡率が加速度的に上昇する疾患。これらの疾患では、深刻な成長障害、強皮症に似た皮膚症状などを来す。  ロナファルニブは、2023年3月に厚生労働省により希少疾病医薬品に指定され、2024年1月に国内製造販売承認を取得、同年4月に薬価基準に収載され、同年5月27日に発売された。

尋常性乾癬へのグセルクマブ、投与間隔を16週ごとに延長可能か

 インターロイキン(IL)-23のp19サブユニットに結合し、IL-23の活性を阻害するグセルクマブを用いた尋常性乾癬の維持療法について、16週ごと投与は8週ごと投与に対して非劣性であることが、ドイツ・フライブルク大学のKilian Eyerich氏らによる海外第IIIb相二重盲検無作為化比較試験「GUIDE試験」で示された。慢性の炎症性皮膚疾患である乾癬には、個別化治療およびde-escalation治療戦略に関するアンメットニーズが存在する。試験結果を踏まえて著者は、「今回の試験は、2回の連続した診察時(20週時および28週時)に皮膚症状が完全に消失した患者において、グセルクマブの投与間隔を延長しても疾患活動性をコントロール可能であるとのエビデンスを示した初の無作為化比較試験となった」とまとめている。JAMA Dermatology誌オンライン版2024年7月31日号掲載の報告。

最新のアトピー性皮膚炎治療薬レブリキズマブ、有効性はデュピルマブと同等か

 カナダ・トロント大学のAaron M. Drucker氏らは、アトピー性皮膚炎を効能・効果として新たに承認されたレブリキズマブについて、リビングシステマティックレビューおよびメタ解析により、その他の免疫療法と有効性・安全性を比較した。その結果、成人のアトピー性皮膚炎の短期治療の有効性は、デュピルマブと同等であった。レブリキズマブは臨床試験でプラセボと比較されていたが、実薬対照比較はされていなかった。JAMA Dermatology誌オンライン版2024年7月17日号掲載の報告。  研究グループは、Cochrane Central Register of Controlled Trials、MEDLINE、Embase、Latin American and Caribbean Health Science Informationデータベース、Global Resource of Eczema Trialsデータベースおよび試験レジストリを用いて、2023年11月3日までに登録された情報を検索した。中等症~重症のアトピー性皮膚炎に対する全身免疫療法を8週間以上評価した無作為化比較試験を適格とし、タイトル、アブストラクト、全文をスクリーニングした。データを抽出し、ランダム効果モデルを用いたベイジアンネットワークメタ解析を実施。薬剤間の差は、臨床的意義のある最小変化量を用いて評価した。エビデンスの確実性は、GRADE(Grading of Recommendations Assessment, Development and Evaluation)システムを用いて評価した。最新の解析は2023年12月13日~2024年2月20日に実施した。

中等症~重症アトピー性皮膚炎、ネモリズマブ追加で治療成功率が向上/Lancet

 そう痒を伴う中等症~重症のアトピー性皮膚炎を有する成人および青少年の治療において、基礎治療(局所コルチコステロイド[TCS]±局所カルシニューリン阻害薬[TCI])単独と比較して、基礎治療+ネモリズマブ(インターロイキン-31受容体サブユニットα拮抗薬)は、治療成功および皮膚症状改善の達成率の向上をもたらし、安全性プロファイルは両群でほぼ同様であることが、米国・ジョージ・ワシントン大学のJonathan I. Silverberg氏らが実施した2つの臨床試験(ARCADIA 1試験、ARCADIA 2試験)で示された。研究の成果は、Lancet誌2024年8月3日号に掲載された。

慢性手湿疹、デルゴシチニブ外用薬が有効/Lancet

 中等症~重症の慢性手湿疹を有し、基本的なスキンケアやコルチコステロイド外用薬では十分にコントロールできない患者の治療において、基剤を含み有効成分を含まないクリームと比較してヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬デルゴシチニブを含有するクリームは、16週の投与で高い有効性を示し、忍容性も良好であることが、カナダ・Innovaderm ResearchのRobert Bissonnette氏らtrial investigatorsが実施した2つの臨床試験(DELTA 1試験、DELTA 2試験)で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2024年7月18日号で報告された。

ニボルマブ承認から10年、がん治療はどう変わったか/小野・BMS

 本邦初の免疫チェックポイント阻害薬(ICI)ニボルマブ。2014年7月4日に製造販売承認を取得してから、早くも10年が経過した。ICIによるがん免疫療法は、どれだけ社会に認知されているのだろうか。また、ICIはがん治療においてどのようなインパクトを与えたのだろうか。小野薬品工業とブリストル・マイヤーズ スクイブは、これらの疑問に答えるべく「免疫チェックポイント阻害薬によるがん免疫療法のいまとこれから」と題し、2024年7月24日にメディアセミナーを実施した。  小野薬品工業とブリストル・マイヤーズ スクイブは、がん免疫療法に対する医師・患者さんの現状評価を把握することを目的として、がん治療に関わる医師100人とがん患者さん900人を対象にアンケート調査を実施した。本調査の結果について、高井 信治氏(小野薬品工業 メディカルアフェアーズ統括部長)が紹介した。

タトゥーを入れると悪性リンパ腫になりやすい

 近年、欧米では自己表現の1つとして思い思いのタトゥーを入れる人が増えてきている。ただ、以前からタトゥーの弊害として施術での感染症の罹患などが言われてきた。タトゥーの施術で使用されるインク成分への長期的曝露がもたらす健康への影響はほとんど理解されていないことから、スウェーデンのルンド大学医学部臨床検査部産業・環境医学部門のChristel Nielsen氏らの研究グループは、タトゥー施術と悪性リンパ腫全体およびリンパ腫亜型との関連を調査した。その結果、タトゥーのある人はリンパ腫全体のリスクが高いことがわかった。EClinicalMedicine誌オンライン版2024年5月21日の報告。

創閉鎖の審美的アウトカム、水平マットレス縫合vs.皮内縫合

 体幹および四肢の線状創の閉鎖において、連続水平マットレス縫合(HM)と連続皮内縫合(SQ)の審美的アウトカムは、どちらが優れるのか。米国・カリフォルニア大学デービス校のZachary Kwapnoski氏らは、これらの審美的アウトカムを評価することを目的に、無作為化評価者盲検比較試験を行った。その結果、評価スコアの合計点には有意差が認められなかったが、患者および評価者はいずれもSQのほうが優れると評価したことを報告した。HMとSQは、どちらも他の縫合法よりも優れるとされているが、これまでHMとSQの直接比較は行われていなかった。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2024年6月28日号掲載の報告。

蕁麻疹の診断後1年、がん罹患リスク49%増

 デンマークの医療データベースを使用したコホート研究によると、蕁麻疹患者はそうでない人と比較して、診断後1年間でがんに罹患するリスクが49%高く、その後の数年間でも6%のリスク増が見られたという。デンマーク・オーフス大学病院のSissel B. T. Sorensen氏らによる本研究は、British Journal of Dermatology誌オンライン版2024年6月27日号に掲載された。  研究者らは、デンマークの医療登録データを使用して遡及的コホート研究を実施し、蕁麻疹患者のがん罹患リスクと一般集団のリスクを比較した。1980~2022年に病院の外来、救急外来、入院において初診で蕁麻疹と診断された8万7,507例(女性が58%)を特定した。追跡期間中央値は10.1年だった。非黒色腫皮膚がんを含む偶発がんは、デンマークがん登録を使用して特定され、診断時の転移の程度によって分類された。蕁麻疹診断後 1 年内のがん罹患の絶対リスク、およびデンマークの全国がん罹患率で標準化された95%信頼区間(CI)と標準化罹患比(SIR)を計算した。

運動が化学療法による末梢神経障害の回避に有効か

 化学療法を受ける患者の多くが発症する化学療法誘発性末梢神経障害(CIPN)の回避に運動が有効である可能性が、新たな研究で示唆された。この研究では、運動をしなかった患者でCIPNを発症した者は、運動をした患者の約2倍に上ることが示されたという。バーゼル大学(スイス)のFiona Streckmann氏らによるこの研究結果は、「JAMA Internal Medicine」に7月1日掲載された。  研究グループによると、化学療法を受ける患者の70〜90%は、痛みやバランス感覚の問題、しびれ、熱感、ピリピリ感やチクチク感などのCIPNの症状を訴え、半数の患者は、がんの治療後もこのような症状が持続するという。