皮膚科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:4

アトピー性皮膚炎の症状を改善するレブリキズマブ発売/リリー

 日本イーライリリーは、アトピー性皮膚炎の治療薬である抗ヒトIL-13モノクローナル抗体製剤レブリキズマブ(商品名:イブグリース)を2024年5月31日より販売を開始した(製造販売承認日は2024年1月18日、薬価収載日は2024年4月17日)。このレブリキズマブの販売に合わせて、都内で「アトピー性皮膚炎患者さんの抱えるアンメットニーズおよび新たな選択肢」をテーマにメディアセミナーを開催した。  セミナーでは、皮膚科専門医によるアトピー性皮膚炎の現状と課題、患者さんの意識調査の結果、レブリキズマブの臨床試験について説明が行われた。

塩分の多量摂取はアトピー性皮膚炎のリスク?

 ナトリウムの多量摂取はアトピー性皮膚炎のリスクと関連しているのか。米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のBrenda M. Chiang氏らは、これまでほとんど明らかにされていない食事とアトピー性皮膚炎との関連性について、一般住民を対象とした大規模コホート研究で、食事によるナトリウム摂取量の増加とアトピー性皮膚炎の関連性を調べた。その結果、ナトリウム摂取量が増加するとアトピー性皮膚炎の罹病リスクが上昇した。著者らは「食事によるナトリウム摂取量を制限することが、アトピー性皮膚炎に対する費用対効果が高く低リスクの介入となる可能性が示唆された」とまとめている。JAMA Dermatology誌オンライン版2024年6月5日号掲載の報告。

悪性黒色腫への術前ニボルマブ+イピリムマブ、EFSを大きく改善(NADINA)/NEJM

 切除可能なIII期の肉眼的な悪性黒色腫の治療では、ニボルマブによる術後補助療法と比較して、イピリムマブ+ニボルマブによる2サイクルの術前補助療法は無イベント生存率(EFS)が有意に優れ、病理学的奏効も良好であることが、オランダがん研究所のChristian U. Blank氏らが実施した「NADINA試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2024年6月2日号に掲載された。  NADINA試験は、オランダとオーストラリアの施設を中心とする国際的な無作為化第III相試験であり、2021年7月~2023年12月に参加者の無作為化を行った(Bristol Myers Squibbなどの助成を受けた)。  年齢16歳以上の切除可能なIII期の肉眼的な悪性黒色腫で、1つ以上の病理学的に証明されたリンパ節転移および最大3つのin-transit転移を有する患者423例を登録し、術前補助療法としてイピリムマブ+ニボルマブの投与(3週ごと)を2サイクル行う群に212例(年齢中央値60歳[範囲:22~84]、女性33.5%)、術後補助療法としてニボルマブの投与(4週ごと)を12サイクル行う群に211例(59歳[19~87]、36.0%)を割り付けた。

降圧薬による湿疹性皮膚炎リスクの上昇

 湿疹性皮膚炎(アトピー性皮膚炎)と診断される高齢者が増加しているが、多くの湿疹研究は小児および若年成人を対象としており、高齢者の湿疹の病態および治療法はよく知られていない。高齢者の湿疹の背景に薬物、とくに降圧薬が関与している可能性を示唆する研究結果が発表された。米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のMorgan Ye氏らによる本研究は、JAMA Dermatology誌オンライン版2024年5月22日号に掲載された。  本研究は縦断コホート研究であり、英国The Health Improvement Networkに参加するプライマリケア診療所における60歳以上の患者データを対象とした。1994年1月1日~2015年1月1日のデータを対象とし、解析は2020年1月6日~2024年2月6日に行われた。主要アウトカムは湿疹性皮膚炎の新規診断で、最も一般的な5つの湿疹コードのうち1つの初診日によって判断した。

学校健診でのLDL-C測定、親の疾患発見にも寄与/日本動脈硬化学会

 家族性高コレステロール血症(FH)は、約300人に1人の頻度で存在する常染色体顕性(優性)遺伝性疾患である。出生時よりLDL-C高値を示し、心筋梗塞などの冠動脈疾患発症率は一般人より10倍以上高い。診断基準が明確化されているものの、診断率が低い疾患の一つある。香川県では、FHの小児を早期診断することで親のFHの診断につなげる取り組みに力を入れており、今回、南野 哲男氏(香川大学医学部 循環器・腎臓・脳卒中内科学 教授)が「小児生活習慣病予防健診により家族性高コレステロール血症(FH)のこどもと大人を守る」と題し、香川県で行われている小児生活習慣病予防健診事業3)や小児FHスクリーニングの全国展開への期待について話をした(主催:日本動脈硬化学会)。

日本人結節性痒疹、ステロイド外用薬使用下のネモリズマブの有用性は?

 日本人の結節性痒疹患者におけるネモリズマブの長期投与の最適用量、有効性、安全性を評価した国内第II/III相無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験の結果が報告された。本試験では、試験開始前のステロイド外用薬の継続下においてネモリズマブ30mg、60mgの有用性をプラセボと比較した。その結果、ネモリズマブ群で結節性痒疹のそう痒や皮膚症状の改善が認められた。東京医科歯科大学皮膚科の横関 博雄氏らNemolizumab-JP11 Study GroupがBritish Journal of Dermatology誌オンライン版2024年4月17日号で報告した。

世界初、「塗る」アレルギー性結膜炎治療薬が登場/参天

 参天製薬などは、5月22日、持続性・経眼瞼アレルギー性結膜炎治療剤「アレジオン眼瞼クリーム0.5%」(一般名:エピナスチン塩酸塩、以下アレジオンクリーム)の発売を開始したと発表した。塗布するクリームタイプのアレルギー性結膜炎治療薬は世界初となる。  国内で無症状期のアレルギー性結膜炎患者を対象として行われた第III相試験(プラセボ対照無作為化二重盲検比較試験)では、アレルギー性結膜炎の主症状である眼そう痒感スコアおよび結膜充血スコアにおいて、アレジオンクリームのプラセボ眼瞼クリームに対する優越性が検証された。また、長期投与試験において認められた副作用は眼瞼そう痒症 1.6%(2/124例)および眼瞼紅斑0.8%(1/124例)で、重篤な副作用は認められなかった。

AGA治療薬ミノキシジル、経口vs.外用

 男性型脱毛症(AGA)治療薬ミノキシジルについて、経口ミノキシジル5mg(1日1回)は外用ミノキシジル5%(1日2回)と比較し、24週間の治療において優越性を示さなかったことが、無作為化比較試験で示された。低用量経口ミノキシジルへの関心が高まっているが、これまでその有効性は比較試験で検証されていなかった。本研究結果は、ブラジル・サンパウロ大学のMariana Alvares Penha氏らによってJAMA Dermatology誌オンライン版2024年4月10日号で報告された。  研究グループは、ブラジルの専門クリニック単施設において、経口ミノキシジル5mg(1日1回)の有効性および安全性を外用ミノキシジル5%(1日2回)との比較で検証する二重盲検無作為化比較試験を行った。

「バーチャル・バイオプシー」で非侵襲的な皮膚病変の生検が可能に?

 がんの可能性が疑われるほくろや皮膚病変のある人の多くは、生検に出す組織を採取するため、メスやかみそりによる切除に耐えなくてはならない。しかし近い将来、非侵襲的な「バーチャル・バイオプシー」と呼ばれる方法によって皮膚組織をスキャンするだけで、そこにがん細胞が含まれているかどうかを見極められるようになる可能性のあることが、米スタンフォード大学構造生物学准教授のAdam de la Zerda氏らの研究で示唆された。この研究結果は、「Science Advances」4月10日号に掲載された。

roflumilast外用薬、慢性尋常性乾癬の長期治療の有用性を確認

 慢性尋常性乾癬患者へのroflumilastクリーム0.3%(1日1回塗布)の長期投与を評価した試験において、忍容性は良好であり、64週までの有効性が確認された。米国・Henry Ford Medical CenterのLinda Stein Gold氏らが、海外第II相多施設共同非盲検シングルアーム長期投与試験の結果を報告した。PDE4阻害薬は慢性閉塞性肺疾患(COPD)、乾癬、アトピー性皮膚炎、脂漏性皮膚炎など炎症性疾患に対する治療効果が示されており、roflumilastはPDE4の強力かつ選択的な阻害薬である。roflumilastクリーム0.3%は、すでに米国食品医薬品局(FDA)より尋常性乾癬に対する承認を受けており、長期投与の評価が行われていた。