皮膚科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:20

皮膚疾患患者の睡眠障害

 睡眠不足や睡眠の質の低下は、さまざまな健康への悪影響を引き起こす可能性がある。睡眠障害といくつかの皮膚状態との関連が研究されているが、包括的な皮膚科患者の集団におけるデータは十分ではない。スイス・バーゼル大学のRianna Tamschick氏らは、皮膚科患者の睡眠障害の有病率、原因、影響について検討を行った。Clinics in Dermatology誌2021年11~12月号の報告。  単一施設による横断的研究を実施した。皮膚科患者を対象に、皮膚関連および非皮膚関連の健康、睡眠行動、睡眠障害の原因や影響に関する質問票への回答を求めた。

医療者における毎日の手指消毒剤、皮膚バリアへの影響は?

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックにおいて、アルコールベースの手指消毒剤(ABHS)を用いて毎日行う手洗いは、皮膚バリアの破壊率が低く、バクテリアや真菌のコロニー形成単位(CFU)数も低値であることが示された。  スペイン・Virgen de las Nieves University HospitalのTrinidad Montero-Vilchez氏らが、水とせっけん、ABHS、除菌シートを比較した無作為化試験の結果を報告した。COVID-19により手洗いの頻度は増したが、臨床におけるさまざまな手指衛生の皮膚バリア機能への影響に関するエビデンスは不足していた。Contact Dermatitis誌オンライン版2021年12月25日号掲載の報告。

アトピー性皮膚炎患者、デュピルマブ治療の自己評価は?

 米国・イェール大学のBruce Strober氏らは、臨床試験に参加しデュピルマブ治療を受けたアトピー性皮膚炎(AD)患者の、自己申告に基づく疾患コントロールおよびQOLをオンラインサーベイにて評価した。結果は臨床試験での患者報告アウトカムと一致しており、治療満足度を含むすべての患者報告アウトカムについてベースラインと比較して統計学的に有意な改善が示され、デュピルマブ治療は最長12ヵ月にわたる迅速かつ持続的な疾患コントロールと関連していることが見いだされた。JAMA Dermatology誌オンライン版2021年12月15日号掲載の報告。

切除不能悪性黒色腫の1次治療、relatlimab・ニボルマブ併用が有効/NEJM

 未治療の転移のあるまたは切除不能の悪性黒色腫患者の治療において、2つの免疫チェックポイント阻害薬relatlimab(抗リンパ球活性化遺伝子3[LAG-3]抗体)とニボルマブ(抗プログラム細胞死1[PD-1]抗体)の併用は、標準治療であるニボルマブ単剤と比較して、無増悪生存期間を有意に延長し、併用による新たな安全性への懸念は認められないことが、米国・テキサス大学MD AndersonがんセンターのHussein A. Tawbi氏らが実施した「RELATIVITY-047試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2022年1月6日号で報告された。

spesolimab、膿疱性乾癬(汎発型)の膿疱・皮疹を改善/NEJM

 膿疱性乾癬(汎発型)(GPP)の治療において、ヒト化抗インターロイキン-36受容体モノクローナル抗体であるspesolimabはプラセボと比較して、投与後1週の時点での膿疱や皮膚症状の消失割合が高いが、感染症や全身性薬物反応の発現が認められることが、フランス・Paris Hopital Saint-LouisのHerve Bachelez氏らが実施した「Effisayil 1試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2021年12月23日号に掲載された。  本研究は、GPPフレアを発症している患者におけるspesolimabの有効性と安全性の評価を目的とする第II相二重盲検無作為化プラセボ対照比較試験であり、2019年2月~2021年1月の期間に実施され、日本を含む12ヵ国37施設で参加者の登録が行われた(Boehringer Ingelheimの助成を受けた)。

全国の医療機関に漫画を!『はたらく細胞』コラボPJT始動/TECC

 末梢動脈疾患(PAD)および末梢血管インターベンション(EVT)の啓発と発展を目的に活動している一般社団法人TECCが、「足の血管を守ろう!プロジェクト」と題したクラウドファンディングを開始した。今回、PADを医療従事者、そして一般人により広く知ってもらうことを目的に、人気漫画『はたらく細胞』とコラボレーションして特別コミックス「末梢動脈疾患」編を制作。オリジナルストーリーには、「足の痛みで困っている患者さんが少しでも早く医療機関に相談できるように、治療が遅れることのないように」という思いが込められている。

円形脱毛症患者、網膜疾患リスクが3.1倍

 円形脱毛症(AA)患者は網膜疾患リスクが高いことが、台湾・国立陽明交通大学のHui-Chu Ting氏らによる検討で示された。AA患者では網膜構造の異常を認めるエビデンスが増えていたが、AAと網膜症との関連は明らかになっていなかった。  研究グループは、今回の研究はレトロスペクティブなものであり、台湾住民のみを対象としていることから他の人口集団に該当するかは不明である、としながらも、「AAと網膜疾患の病態生理を明らかにするため、さらなる研究が必要である」と述べている。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2021年11月1日号掲載の報告。

tapinarofクリームが尋常性乾癬に有効~第III相試験/NEJM

 軽度~重度の尋常性乾癬患者において、tapinarof 1%クリーム1日1回12週間塗布は、対照(基剤)と比較して重症度を有意に改善したが、局所および頭痛などの有害事象も伴った。米国・マウント・サイナイ・アイカーン医科大学のMark G. Lebwohl氏らが、tapinarofの2件の無作為化第III相試験「PSOARING 1」および「PSOARING 2」の結果を報告した。tapinarofは、インターロイキン(IL)-17と皮膚バリア機能に関与するフィラグリンおよびロリクリンの発現を調節するアリル炭化水素受容体調節薬で、クリーム剤が乾癬の治療薬として検討されており、第II相試験で有効性が示されていた。今回の結果を受けて著者は、「乾癬に対するtapinarofクリームの有効性と安全性を既存の治療薬と比較検討するためには、より大規模で長期的な試験が必要である」とまとめている。NEJM誌2021年12月9日号掲載の報告。

アトピー性皮膚炎に経口治療薬が登場/ファイザー

 ファイザー株式会社は、12月13日にアトピー性皮膚炎の治療薬として、経口JAK(ヤヌスキナーゼ)阻害剤アブロシチニブ(商品名:サイバインコ)を発売した。アブロシチニブは、2020年12月に本剤の製造販売承認申請が行われ、2021年9月に承認を取得していた。  アトピー性皮膚炎は、皮膚の炎症や、皮膚バリア機能が損なわれる慢性皮膚疾患。紅斑、丘疹、痒み、浸潤、鱗屑、痂疲が主症状となる。幼少期から繰り返す慢性皮膚疾患のもっとも代表的な疾患で、世界中で成人の10%、小児の20%が罹患していると推定されている。