皮膚科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:23

遺伝性血管性浮腫患者の支援団体が稼働/遺伝性血管性浮腫診断コンソーシアム

 遺伝性血管性浮腫(Hereditary Angioedema:HAE)は、主に遺伝子変異が原因で血液中のC1インヒビターの低下などに起因し、体のいたるところで持続する腫れやむくみを繰り返す疾患である。皮膚手足、顔面、生殖器などが腫れた場合は、一見すると「じんま疹」に似ていることがあるが、強いかゆみを伴わないのが特徴だ。特にのどが腫れた場合、呼吸困難となり、生命の危険を来す可能性があり、早期の確定診断が必要だが、本症と診断されずに、日ごろの症状に苦しむ患者も多い。

山火事でアトピー性皮膚炎・かゆみ受診率が増加

 山火事による大気汚染の短期間曝露と、アトピー性皮膚炎(AD)およびかゆみを有する患者の受診機会の増加には関連性が認められることを、米国・カリフォルニア大学のRaj P. Fadadu氏らが横断研究によって明らかにした。大気汚染は世界的な公衆衛生上の課題で、近年の山火事による悪化も深刻になっている。しかし、山火事と大気汚染、および炎症性皮膚疾患との関連は明らかにされていない。著者は、「今回の結果は、大気の質の悪化とスキンヘルスの関連の理解を深めることに寄与するものであり、医療の専門家による皮膚疾患患者のカウンセリングと公衆衛生の実践に参考となるだろう」と述べている。JAMA Dermatology誌オンライン版2021年4月21日号掲載の報告。

アトピー性皮膚炎に正しい理解を―患者1,000人への意識調査

 アトピー性皮膚炎は、罹患率だけでなく認知度も高い疾患でありながら、その疾患特性、患者に及ぼす影響、治療法などについての理解は十分ではない。  4月16日、アッヴィ合同会社は、『アトピー性皮膚炎による患者さんの生活や対人関係への影響~患者さん1,000人を対象にした疾病負荷 調査結果を発表~』と題したセミナーを開催した。  本セミナーでは、片岡 葉子氏(地方独立行政法人 大阪府立病院機構 大阪はびきの医療センター 副院長兼主任部長 アトピー・アレルギーセンター長)と江藤 隆史氏(東京逓信病院皮膚科客員部長、あたご皮フ科副院長)が、アトピー性皮膚炎の正しい理解をテーマに講演を行った。

アダリムマブ、バイオシミラーへの切り替えでアウトカムは?

 2021年4月現在、日本では15種のバイオシミラー(バイオ後続品)が承認されており1)、アダリムマブ(先発品:ヒュミラ)もその1つだが、アダリムマブバイオシミラーへの切り替え後のアウトカムについて、デンマークの乾癬患者に関するコホート研究の結果が、同国・コペンハーゲン大学のNikolai Loft氏らにより示された。切り替え群と非切り替え群の計726例を対象とした検討で、両群間の1年治療継続率の有意差はなかったという。アダリムマブバイオシミラーの有効性は、臨床試験で先発品と同等であることが示されているが、リアルワールドにおけるデータは限定的である。JAMA Dermatology誌オンライン版2021年4月7日号掲載の報告。

ファイザー製ワクチン、免疫チェックポイント阻害薬投与がん患者での安全性

 全身薬物療法で治療後もしくは治療中のがん患者は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による死亡リスクが高いため、ワクチン接種の優先度が高いグループと見なされる。しかし、がん患者におけるワクチンの安全性および有効性データはない。また、一部の専門家から、免疫チェックポイント阻害薬(ICI)投与患者において、ワクチンで免疫関連有害事象を誘発または増強する可能性が指摘されている。今回、イスラエル・Tel Aviv Sourasky Medical CenterのBarliz Waissengrin氏らは、ICIで治療されたがん患者におけるファイザー社製ワクチン(BNT162b2 mRNAワクチン)の安全性について調査した。Lancet Oncology誌オンライン版2021年4月1日号に掲載。

TNF阻害薬治療中のIBD患者でCOVID-19感染後の抗体保有率低下

 生物学的製剤であるTNF阻害薬を巡っては、これまでの研究で肺炎球菌やインフルエンザおよびウイルス性肝炎ワクチン接種後の免疫反応を減弱させ、呼吸器感染症の重症化リスクを高めることが報告されていた。ただし、新型コロナ感染症(COVID-19)ワクチンに対しては不明である。英国・Royal Devon and Exeter NHS Foundation TrustのNicholas A Kennedy氏らは、炎症性腸疾患(IBD)を有するインフリキシマブ治療患者のCOVID-19感染後の抗体保有率について、大規模多施設前向きコホート研究を実施した。その結果、インフリキシマブ治療群では、コホート群と比べ抗体保有率が有意に低いことがわかった。著者らは、「本結果により、COVID-19に対するインフリキシマブの免疫血清学的障害の可能性が示唆された。これは、世界的な公衆衛生政策およびTNF阻害薬治療を受ける患者にとって重要な意味を持つ」とまとめている。Gut誌オンライン版2021年3月22日号の報告。

オマリズマブ、免疫チェックポイント阻害薬および抗HER2薬のそう痒症を改善/Ann Oncol

 IgE阻害薬オマリズマブ(商品名:ゾレア)はアトピー性皮膚炎、蕁麻疹などのそう痒症に有効である。がん領域におけるそう痒関連皮膚有害事象(paCAE)は、免疫チェックポイント阻害薬や抗HER2薬で多くみられる。これらの薬剤による難治性paCAEを伴うがん患者に対してオマリズマブを評価する多施設後ろ向き研究の結果が発表された。

中等~重症アトピー性皮膚炎、abrocitinib vs.デュピルマブ/NEJM

 中等症~重症のアトピー性皮膚炎患者において、abrocitinibは1日1回200mgまたは100mgのいずれの用量でも、プラセボと比較し12週および16週時の所見および症状を有意に改善した。デュピルマブに対しては、abrocitinib 200mgは2週時のそう痒の改善に関し優越性が認められたが、同100mgは認められなかった。ドイツ・ボン大学病院のThomas Bieber氏らが行った無作為化二重盲検第III相試験「JADE COMPARE試験」で示された。インターロイキン(IL)-4およびIL-13のシグナル伝達を抑制する経口ヤヌスキナーゼ1(JAK1)阻害薬abrocitinibは、アトピー性皮膚炎の治療薬として検討されているが、デュピルマブのようなIL-4受容体を阻害するモノクローナル抗体とJAK1阻害薬を比較検証したデータには限りがあった。NEJM誌2021年3月25日号掲載の報告。

抗LAG-3抗体relatlimab+二ボルマブ、未治療の黒色腫の主要評価項目PFSを達成(RELATIVITY-047)/BMS

 ブリストルマイヤーズスクイブは、2021年3月25日、未治療の切除不能な悪性黒色腫を対象に抗LAG-3抗体relatlimabとニボルマブの固定用量配合剤とニボルマブ単剤を比較した第II/III相RELATIVITY-047(CA224-047)試験の主要結果を発表。relatlimabと二ボルマブの併用療法は、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)を達成した。副次評価項目である全生存期間(OS)の追跡調査は進行中である。固定用量の併用療法の忍容性は良好で、併用療法群およびニボルマブ単剤療法とも新たな安全性シグナルは報告されなかった。これらは、抗LAG-3抗体を評価した試験で報告された初めての第III相データである。

円形脱毛症リスク、地毛の色で有意差

 円形脱毛症と地毛の色には有意な関連がみられ、より暗い色(黒髪や暗褐色の髪)のほうが有意にリスクが高い。米国・ウェストバージニア大学のAhmed Yousaf氏らが、英国の白人種男女を対象とした適合ケースコントロール試験の結果を報告した。円形脱毛症は、複合的な免疫異常によって非瘢痕性脱毛を引き起こすとされている。  先行研究では、病変部における白髪を形成する毛包の色素細胞、非色素細胞を標的とした報告がされ、メラノサイトおよびケラチノサイトにおけるメラニン形成に関連したタンパク質の免疫標的化が、円形脱毛症の成長期の毛髪を標的とする炎症のメカニズムを表すものと示唆されていた。著者は、「われわれの結果はそうしたモデルを支持するものである。ただし、円形脱毛症と髪の色の免疫原性の関連性をより正確に解き明かすには、さらなる研究が必要だ」と述べている。JAMA Dermatology誌オンライン版2021年3月10日号掲載の報告。