皮膚科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:24

乾癬患者の肥満・糖尿病、生物学的製剤治療への影響は?

 乾癬の生物学的製剤による治療に、肥満症や糖尿病既往は、どの程度の影響を与えるのか。米国・Eastern Virginia Medical SchoolのClinton W. Enos氏らによる検討で、肥満は、PASI75およびPASI90の達成率を25~30%減少することなどが示された。乾癬は併存する全身性代謝疾患との関連が指摘されるが、結果を踏まえて著者は、「生物学的製剤の治療反応の達成率を改善するためにも、併存疾患負荷のアセスメントが重要である」と述べている。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2021年7月10日号掲載の報告。

新型コロナとしもやけ様の皮膚疾患、関連性は?

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック当初、同疾患の特徴の1つとしてしもやけ様の皮膚疾患の増大が盛んに報じられた。米国・Permanente Medical GroupのPatrick E. McCleskey氏らは、COVID-19罹患率としもやけ罹患率の相関性について、これまで疫学的な検討がされていなかったとして、北カリフォルニアの大規模集団を対象に評価した。23地点・9ヵ月間にわたって集めたデータを分析した結果、パンデミック中にしもやけ罹患率は増大したが、COVID-19罹患率との相関関係は弱いことが示されたという。著者は、「今回の研究結果は、COVID-19との因果関係による結果であると思われる。パンデミック中にしもやけを有した患者の受診機会が増えたことや、外出制限の措置中の行動変化による可能性が示唆される」と述べている。JAMA Dermatology誌オンライン版2021年6月23日号掲載の報告。

開業医の年収、コロナ前後でどう変化した?/会員1,000人アンケート

 コロナ禍における診療所経営の難しさについてメディアで話題になっているが、実態はどのような状況にあり、開業医の年収への影響や、とくに影響が大きい科目・地域等の傾向にはどうなっているのか。2021年7月に会員開業医(経営層)1,000人を対象にアンケートを行った。  2019年(コロナ前)と2020年(コロナ禍)の年収(役員報酬・所得)を聞いたところ、2019年では1,600万円未満とした回答者は全体の48%と半数未満に留まっていたが、2020年には56%と8ポイント上昇し、一部の層がマイナスの影響を受けたことがわかった。

ラロトレクチニブがNTRK陽性固形がん治療薬として発売/バイエル

 バイエル薬品は、2021年7月7日、NTRK融合遺伝子陽性の進行・再発固形がんの治療薬として、ラロトレクチニブ(製品名:ヴァイトラックビ)を発売したと発表。  ラロトレクチニブは、NTRK遺伝子融合陽性の進行・再発の固形がん治療に特化したトロポミオシン受容体キナーゼ(TRK)阻害薬として開発された。同剤は、NTRK遺伝子融合を有する成人および小児固形がん患者に対する高い奏効割合と持続的な奏効、NTRK遺伝子融合を有する中枢神経系原発腫瘍に対する高い病勢コントロール率を示している。

アトピー性皮膚炎、黄色ブドウ球菌自家株を用いた細菌療法で重症度改善

 近年、アトピー性皮膚炎(AD)患者の皮膚マイクロバイオーム(微生物叢)に注目した研究が進んでおり、その中でも検出頻度の高い黄色ブドウ球菌(S. aureus)について、繰り返す皮膚炎症状との関連が指摘されるようになっている。  米国・カリフォルニア大学サンディエゴ校のTeruaki Nakatsuji氏らは、成人11例を対象とした無作為化二重盲検試験において、AD患者の皮膚から培養したS. aureus自家株を用いた細菌療法が、S. aureusのコロニー形成を安全に減少し、疾患重症度を改善する可能性が示されたと報告した。著者は、「より大規模な研究が必要だが、S. aureusを減らすというこの個別化アプローチは、抗菌薬、免疫抑制剤、免疫モジュレーションに代わるAD患者の治療法となりうるだろう」と述べている。JAMA Dermatology誌オンライン版2021年6月16日号掲載の報告。

新型コロナワクチン後、乳房インプラント施行例でみられた免疫反応

 COVID-19ワクチン接種後、ヒアルロン酸注入歴などを有する症例で、まれに痛みや腫脹などの反応が報告されている。皮膚充填剤のような異物は、免疫系が刺激されることで何らかの反応を引き起こす可能性があるという。ドイツ・Marienhospital StuttgartのLaurenzWeitgasser氏らは、COVID-19ワクチン接種後1~3日の間に乳房インプラント施行歴のある4例で注目すべき反応がみられたとし、その臨床的特徴や経過をThe Breast誌オンライン版2021年6月18日号に報告した。

インターネット配信によるアトピー性皮膚炎の認知行動療法

 インターネットを利用した認知行動療法(CBT)は、アトピー性皮膚炎の症状を改善する効果がみられ、治療者が費やす時間や手間などは少なくて済むことが示された。スウェーデン・カロリンスカ研究所のErik Hedman-Lagerlof氏らが行った無作為化試験の結果、明らかになった。アトピー性皮膚炎の皮膚症状は共通しており、激しいかゆみと慢性炎症による衰弱した皮膚の状態で特徴付けられ、アクセシビリティの高い行動療法が必要とされていた。結果を踏まえて著者は、「インターネットを利用したCBTは、共通した皮膚症状を有する患者に対して、効果的な補助行動療法へのアクセスを潜在的に増やすものである」とまとめている。JAMA Dermatology誌オンライン版2021年5月19日号掲載の報告。

尋常性乾癬治療剤ドボベットのフォームタイプ新発売/レオファーマ・協和キリン

 レオファーマと協和キリンは、2021年6月18日、尋常性乾癬治療剤ドボベットの新剤形「ドボベットフォーム」を新発売した。  本剤は、既存の軟膏の有効性を担保したうえで、簡易性と利便性の観点から治療の新たな選択肢を提供することを目的に開発が進められ、2015年に米国で初めて承認された。以来、すでに欧州諸国など世界40ヵ国以上で承認されている。  ドボベット(一般名:カルシポトリオール水和物/ベタメタゾンジプロピオン酸エステル)は、尋常性乾癬の外用剤としてレオファーマの親会社LEO Pharma A/Sが開発し、本邦では2014年9月にドボベット軟膏が、2018年6月にドボベットゲルが発売されている。今回、軟膏及びゲルに加え、本剤をラインナップに追加することで、両社はより多くの患者のQOLの向上に貢献を目指す。

皮膚病変からコロナ重症度もわかる?その具体的な症状とは

 新型コロナ患者での皮膚病変が報告されているが、具体的にはどのような症状なのだろうか。福田 知雄氏(埼玉医科大学総合医療センター皮膚科 教授)がメディアセミナーにおいて、「皮膚は健康のバロメーター ~意外と多いコロナの皮膚症状、爪からわかる健康状態~」と題し、皮膚病変が新型コロナ重症度判定にも有用な可能性を示唆した(主催:佐藤製薬)。  福田氏はまず、昨年3月にイタリアの皮膚科医が報告した論文1)を挙げ、「彼らは“新型コロナ(以下、COVID-19)病棟の多くの患者に皮膚症状が出ていた”ことに注目し調査を実施した。その結果、20.4%(18/88例)に皮膚症状(紅斑性発疹、広範囲の蕁麻疹、水痘様水疱など)が認められたことを報告した」と説明。しかし、この段階ではCOVID-19と重症度の相関関係は認められておらず、その後9月に発表されたドイツの研究者の論文2)で、COVID-19のリスク層別化などに役立つ可能性が示唆された。これを踏まえ同氏は、「ある症状はより軽度のCOVID-19の経過を示す臨床的徴候であり、別の症状はより重度の経過を示す赤旗であることが示された。つまり、どんな皮膚症状から何がわかるのか、皮膚症状の理解を深めておくことがCOVID-19の指標確認にもなる」とコメントした。

妊娠中の局所ステロイド使用、胎児への影響は?

 妊娠中の局所コルチコステロイド使用は安全なのか。デンマーク国立血清研究所(Statens Serum Institut:SSI)のNiklas Worm Andersson氏らによる大規模コホート研究の結果、在胎不当過小児(SGA)や低出生体重児のリスク増大とは関連しないことが示された。  妊娠中の局所コルチコステロイド使用頻度は高く、新生児へのリスクに関する懸念は高いが、そのエビデンスを示すデータは限定的であった。とくに、強力~非常に強力な薬剤の使用についての懸念が高かったが、著者は「今回の結果は、妊娠中に強力な局所コルチコステロイドを大量に使用した場合でも、リスクが中程度~大幅に増大する可能性は低いことを示唆するものであった」と述べている。JAMA Dermatology誌オンライン版2021年5月5日号掲載の報告。