皮膚科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:30

皮膚がんの診断、スマホアプリは信頼できるか/BMJ

 現在のアルゴリズムベースのスマートフォンアプリケーション(アプリ)は、悪性黒色腫や他の皮膚がん患者の検出において信頼性がなく、実際には研究結果よりもさらに検査性能が劣る可能性があることが、英国・バーミンガム大学のKaroline Freeman氏らの調査で明らかとなった。研究の詳細は、BMJ誌2020年2月10日号に掲載された。皮膚がんは世界で最も頻度の高いがんの1つであり、罹患率は上昇している。アルゴリズムベースのスマートフォンアプリは、皮膚がんリスクを即時に評価し、より早期に発見して治療することで、生存の延長をもたらすと期待される。一方、これらのアプリの妥当性を検証した2つの研究に関するコクランレビューでは、皮膚がんを見逃す可能性が高いと示唆されている。

新規抗体薬bimekizumabは乾癬性関節炎に有効か?/Lancet

 活動性乾癬性関節炎患者において、IL-17AおよびIL-17Fを選択的に阻害するモノクローナル抗体bimekizumabの16mgまたは160mg投与(320mg負荷投与あり/なし)は、プラセボと比較しACR50改善率が有意に高く、安全性プロファイルは良好であることが認められた。米国・ロチェスター大学のChristopher T. Ritchlin氏らが、多施設共同48週間の無作為化二重盲検プラセボ対照第IIb相用量範囲試験「BE ACTIVE試験」の結果を報告した。今回の結果を受け著者は、「乾癬性関節炎の治療として、bimekizumabの第III相試験の実施が支持される」とまとめている。Lancet誌2020年2月8日号掲載の報告。

皮膚病理所見のオンライン提示、臨床病理医はその影響をどう見るか

 米国ではすでに多くの患者が、オンライン(patient portal)を介して、病理検査の結果報告にアクセスしている状況にあるという。米国・ワシントン大学のHannah Shucard氏らは、そうした状況について、病理医の観点での検証がほとんど行われていないとして臨床皮膚科病理医を対象とするサーベイ調査を行った。その結果、大半が「病理検査の結果をオンラインで利用できるようにすることはよい考えである」と評価しつつも、患者の心配と混乱が増大していることへの懸念を抱く病理医も多いことが明らかになった。著者は、「患者のオンラインアクセスが増えていく中で、患者の理解の改善や潜在的ネガティブコンセンサスを減少するために、どのような報告が最適かを考えることが重要だ」と指摘し、「患者と臨床医双方にとって、最善の行為および効果となるように留意して、さらなる研究を行う必要がある」と述べている。JAMA Dermatology誌オンライン版2020年1月29日号掲載の報告。

日焼けマシンの論文、業界と関連あると肯定的?/BMJ

 日焼けマシンに関する論文の大半は業界の資金提供を受けていないが、日焼けマシン業界と経済的関係が認められる論文は、日焼けマシンを支持する傾向が認められるという。米国・スタンフォード大学のLola Adekunle氏らが、日焼けマシン業界との経済的関係および日焼けマシンに関する論文の結論との関連性を検証したシステマティックレビューの結果を報告した。日焼けマシンに関する科学的論文で、危険性や有益性に注視したものはあるが、資金源と論文の結論との関連性については十分検証されていなかった。結果を踏まえて著者は、「公衆衛生専門家や研究者は、日焼けマシンに関するエビデンスを解釈する際、業界からの資金提供を考慮する必要がある」と提言している。BMJ誌2020年2月4日号掲載の報告。

多様化する皮膚病治療に対応するために~『皮膚病診療』初の全面刷新

 昨今の皮膚病領域に関する治療薬や臨床の多様化、医療トラブルや患者さんとのコミュニケーショントラブル対応など、臨床現場で求められることが広範囲に及ぶ現状を受け、雑誌『皮膚病診療』が、2020年1月号から全面刷新された。臨床医のための皮膚病総合雑誌として 1978 年に創刊されて以降、皮膚病領域の症例報告を中心に毎号発刊されてきた。症例報告中心の基本的な編集方針は維持しながら、より多くの臨床医が医療現場で役立てられる情報を見やすくわかりやすく提供することを目的に、サイズアップやフルカラー化のほか、新たな連載企画がスタートしている。

日焼け止めの有効成分6種、体内吸収後に血中へ/JAMA

 4つの形態の日焼け止め製品に含まれる6種の有効成分について、いずれも体内に吸収されて血中に移行し、さらなる安全性研究に進む基準となる米国食品医薬品局(FDA)の最大血漿中濃度閾値(0.5ng/mL)を上回ることが、米国・FDAのMurali K. Matta氏らの検討で示された。研究の成果は、JAMA誌2020年1月21日号に掲載された。FDAによる既報のパイロット研究では、日焼け止めの4種の活性成分(アボベンゾン、オキシベンゾン、オクトクリレン、エカムスル)の体内吸収が報告されている。他の活性成分の体内吸収を確認するとともに、FDAの基準値である0.5ng/mLを上回る迅速な体内曝露を評価する研究が求められていた。

慢性炎症性皮膚疾患、帯状疱疹リスクと関連

 アトピー性皮膚炎や乾癬などの慢性炎症性皮膚疾患(CISD)と帯状疱疹の関連が示された。米国における横断研究の結果、帯状疱疹ワクチン接種が低年齢層で推奨されているにもかかわらず、多くのCISDで帯状疱疹による入院増大との関連が認められたという。米国・ノースウェスタン大学フェインバーグ医学院のRaj Chovatiya氏らが報告した。CISD患者は、帯状疱疹の潜在的リスク因子を有することが示されていたが、CISDの帯状疱疹リスクについては、ほとんど知られていなかった。今回の結果を踏まえて著者は、「さらなる研究を行い、CISDに特異的なワクチンガイドラインを確立する必要があるだろう」と述べている。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2020年1月17日号掲載の報告。

治療方針が明確に、「皮膚真菌症診療ガイドライン2019」

 2019年12月、日本皮膚科学会は「皮膚真菌症診療ガイドライン」を10年ぶりに改訂した。日本において、真菌感染症のなかでも、足白癬の有病率は人口の約21.6%、爪白癬では10.0%と推計される。この10年間に外用剤(クリーム、液剤、スプレー)や新たな内服薬が発売され、治療状況も変化しつつあるため、改訂した皮膚真菌症診療ガイドラインのポイントを紹介する。  皮膚真菌症診療ガイドライン2019によれば、“保険診療上認められていない治療法や治療薬であっても、すでに本邦や海外において医学的根拠のある場合には取り上げ、推奨度も書き加えた。保険適用外使用についても記載した”と記され、各疾患の治療についてはClinical question(CQ)が設定されている。

マイコプラズマ市中肺炎児、皮膚粘膜疾患が有意に多い

 かつて、その流行周期から日本では「オリンピック肺炎」とも呼ばれたマイコプラズマ肺炎について、ほかの起炎菌による市中肺炎(CAP)児と比べた場合に、皮膚粘膜疾患が有意に多く認められることを、スイス・チューリッヒ大学小児病院のPatrick M. Meyer Sauteur氏らが明らかにした。現行の診断検査では、肺炎マイコプラズマ(M. pneumoniae)の感染と保菌を区別できないため、皮膚粘膜疾患の原因としてマイコプラズマ感染症を診断することは困難となっている。今回の検討では、M. pneumoniaeによる皮膚粘膜疾患は、全身性の炎症や罹患率および長期にわたる後遺症リスクの増大と関連していたことも示されたという。JAMA Dermatology誌オンライン版2019年12月18日号掲載の報告。

パウダーの会陰部使用は卵巣がんと関連?/JAMA

 米国で行われた4つの前向きコホート研究の女性被験者のデータをプール解析した結果、会陰部でのパウダー使用と卵巣がん発生に、統計的に有意な関連はなかったことを、米国・国立環境衛生科学研究所のKatie M. O’Brien氏らが報告した。ただし今回の検討では、リスクのわずかな増大を同定する検出力は不足していた可能性があるとしている。これまで会陰部でのパウダー使用と卵巣がんの関連性について、ケースコントロール試験で関連ありとの報告がなされていたが、コホート試験による検証はされていなかった。米国では最近、パウダーに含まれる鉱物のタルクに関連した訴訟およびメディア報道が高まっており、研究グループは今回の検証を行ったという。JAMA誌2020年1月7日号掲載の報告。