COVID-19への決定的な対策はいまだ見いだされていないが、入院・重症化リスクを捉えることで死亡を抑え込もうという世界的な努力が続いている。本稿では、乾癬患者のCOVID-19に関する国際レジストリ「PsoProtect」へ寄せられた25ヵ国からの臨床報告に基づき、英国・Guy's and St Thomas' NHS Foundation TrustのSatveer K. Mahil氏らが乾癬患者の入院・重症化リスクを解析。「高齢」「男性」「非白人種」「併存疾患」がリスク因子であることを明らかにした。また、乾癬患者は複数の疾患負荷と全身性の免疫抑制薬の使用によってCOVID-19の有害アウトカムのリスクが高まる可能性があるとされているが、これまでデータは限定的であった。今回、著者らは「生物学的製剤の使用者は、非使用者と比べて入院リスクが低かった」とも報告している。Journal of Allergy and Clinical Immunology誌オンライン版2020年10月16日号掲載の報告。
研究グループは、乾癬患者におけるCOVID-19の臨床経過を明らかにし、入院と関連する因子を特定するため、国際レジストリ「PsoProtect」を通じて、COVID-19確認/疑いと臨床医が報告した乾癬患者を対象に、多重ロジスティック回帰法にて、臨床/人口統計学的特性と入院との関連を評価した。また、患者自身が報告する別のレジストリ「PsoProtectMe」のデータから、リスクの回避行動を明らかにした。
主な結果は以下のとおり。
・評価は、臨床医からの報告症例である25ヵ国374例(確認例172例[46%]、疑い例202例[54%])の患者を対象に行われた。36%が英国、21%がイタリア、15%がスペインの患者で、年齢中央値は50歳、男性61%、白人種85%であった。喫煙歴なし54%、現在喫煙者は15%だった。
・71%の患者が生物学的製剤による治療を受けていた。非生物学的製剤による治療を受けていた患者は18%、全身療法が行われていなかったのは10%だった。
・COVID-19から完全に回復したのは348例(93%)であった。入院を要したのは77例(21%)、死亡は9例(2%)であった。
・入院リスクの増大因子は、高齢(多変量補正後オッズ比[OR]:1.59/10歳、95%信頼区間[CI]:1.19~2.13)、男性(2.51、1.23~5.12)、非白人種(3.15、1.24~8.03)、慢性肺疾患の併存(3.87、1.52~9.83)であった。
・入院率は、生物学的製剤使用患者よりも非使用患者で高率だった(OR:2.84、95%CI:1.31~6.18)。生物学的製剤のクラスの違いによる有意差はなかった。
・患者報告のデータ(48ヵ国1,626例)から、生物学的製剤使用患者と比べて非使用患者はソーシャルディスタンスのレベルが低いことが示唆された(OR:0.68、95%CI:0.50~0.94)。
(ケアネット)