皮膚科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:33

皮膚がん、PD-1阻害薬治療後の予後予測因子が判明

 PD-1阻害における制御性T細胞(Tregs)の役割とその免疫抑制のメカニズムは完全には解明されていないが、皮膚がんに対する免疫チェックポイント阻害薬治療と、臨床的アウトカムの関連についての研究が進んでいる。今回、予備的エビデンスとして、PD-1阻害薬による治療導入後の血中PD-1+ Tregsの急速な低減は、メラノーマの進行およびメラノーマ特異的死亡(MSD)のリスク低下と関連していることが示された。ドイツ・ルール大学ボーフムのT. Gambichler氏らによる検討の結果で、「末梢血でこうしたPD-1+ Tregsの低減がみられない患者は、免疫チェックポイント阻害薬に対する反応が認められず、アウトカムは不良という特徴が認められた」とまとめている。The British Journal of Dermatology誌オンライン版2019年7月30日号掲載の報告。

亜鉛不足が脱毛の原因に!50歳以上は要注意

 亜鉛は1,000の酵素反応、2万以上の転写反応に必要な必須微量元素であり、発生、分化、増殖といった幅広い生体活動に関与する。しかし、その役割の多くは明らかされていない。2019年7月13~14日、日本men’s health医学会のスポンサードシンポジウム3において、小川 陽一氏(山梨大学皮膚科学部内講師)が「亜鉛と皮膚疾患」について講演した(ノーベルファーマ株式会社共催)。  亜鉛はすべての生物に不可欠であり、継続的に欠乏すると死に至る。必須微量元素としての生体内含有量は鉄に次いで2番目に多く、体内で常時2~3gに維持されている。しかし、「亜鉛欠乏患者は発展途上国を中心に世界で13億人も存在し、全世界人口の17%に相当する」と小川氏はコメント。亜鉛が欠乏すると、味覚異常をはじめ、皮膚炎や口内炎のほか、脱毛や傷が治りにくいなどの症状が出現する。また、亜鉛濃度は日内変動と加齢変化を起こすことから、後者により50歳以上で潜在的な亜鉛欠乏に陥っている可能性が高い1)。欠乏の可能性がある場合は、亜鉛欠乏症の診断基準に該当すれば治療が必要となる。

掌蹠膿疱症へのグセルクマブ、52週の有効性と安全性を確認

 乾癬治療における新規の生物学的製剤として2018年3月に保険収載された、ヒト型抗ヒトIL-23p19モノクローナル抗体製剤のグセルクマブ(商品名:トレムフィア皮下注シリンジ)に、同年11月、「既存治療で効果不十分な掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう:PPP)」の効能追加が承認された。この根拠となった日本大学の照井 正氏らの試験結果が論文発表され、有効性エンドポイントの改善が52週間にわたり一貫して示された。昨年の著者らの研究では、PPPの発症に対するIL-23の関与が明らかになり、グセルクマブが安全かつ有用であることが16週時の評価において認められていた。結果を踏まえて著者らは「IL-23p19をターゲットとするグセルクマブは、PPPという困難を伴う疾患に対し、有効で安全な治療選択肢となりうることが示された」とまとめている。JAMA Dermatology誌オンライン版2019年7月3日号掲載の報告。

免疫CP阻害薬のやめ時は?最終サイクル後の30日死亡率/日本臨床腫瘍学会

 進行・難治性がん患者に免疫チェックポイント阻害薬(ICI)を使用する機会が増えているが、明確な中止基準は確立されていない。2011 national cancer strategy for Englandでは、回避可能な全身性抗がん剤治療(SACT)による害の臨床指標として、30日死亡率を提唱している。今回、一宮市立市民病院 龍華 朱音氏らが、ICI治療の最終サイクル後30日以内に死亡した患者について調査したところ、PS不良の患者にICI治療が選択される傾向があり、また、最終サイクルの治療費が従来の治療の約10倍となっていることが明らかになった。第17回日本臨床腫瘍学会学術集会(7月18~20日、京都)で報告された。

帯状疱疹ワクチン、自家造血幹細胞移植後の帯状疱疹予防に有効/JAMA

 帯状疱疹の罹患は健康人においても深刻だが、とくに自家造血幹細胞移植(auHSCT)後の発症頻度が高い合併症として知られており、病的状態と関連している。移植後帯状疱疹の予防のために開発された非生アジュバント添加遺伝子組み換え帯状疱疹ワクチンの第III相臨床試験の結果が報告され、auHSCTを受けた成人患者において本ワクチンの2回接種により、追跡期間中央値21ヵ月時の帯状疱疹の発症率が有意に低下したことが示された。JAMA誌2019年7月9日号掲載の報告。

メラノーマ検出、皮膚科専門医vs.AI

 AIを活用した診断能の向上に関する報告が相次いでいる。今回、オーストリア・ウィーン医科大学のVincent Dick氏らが行ったメタ解析の結果、メラノーマの検出におけるコンピュータ支援診断システムによる診断精度は、専門医による診断精度と同程度であると報告された。ただし、結果について著者は、「リアルワールドでの同システムの適用性は未知数であり、過剰適合性や試験のバイアスリスクによって制限される可能性がある」とまとめている。最近の機械学習分野の進歩により、コンピュータ支援診断システムがメラノーマ診断のスタンダードになるのではないか、との期待が高まっている。JAMA Dermatology誌オンライン版2019年6月19日号掲載の報告。

FoundationOne CDx、エヌトレクチニブのコンパニオン診断として承認/中外

 中外製薬は、2019年6月27日、遺伝子変異解析プログラムFoundationOne CDx がんゲノムプロファイルに関し、ROS1/TRK阻害剤エヌトレクチニブ(商品名:ロズリートレク)のNTRK融合遺伝子陽性の固形がんに対するコンパニオン診断としての使用目的の追加について、6月26日に厚生労働省より承認を取得したと発表。FoundationOne CDx がんゲノムプロファイルは、NTRK融合遺伝子(NTRK1、NTRK2、NTRK3遺伝子と他の遺伝子の融合遺伝子)を検出することにより、エヌトレクチニブの適応判定補助を行う。エヌトレクチニブは、成人および小児の NTRK融合遺伝子陽性の進行・再発の固形がんに対する治療薬として本年6月18日に承認を取得している。

アレルギー総合ガイドライン2019が発行、アレルギーとアナフィラキシーを網羅

 アレルギー疾患罹患率はとくに先進国で増加し、いまや日本人の約50%が何らかのアレルギー症状を有しているといわれる。代表的なアレルギー疾患に関する12の最新ガイドラインの内容を1冊にまとめた「アレルギー総合ガイドライン」の改訂版が、3年ぶりに発行された。アレルギー総合ガイドライン2019は診療科を超えて横断的に出現し、急性増悪のリスクもはらむアレルギー疾患に対して、標準的な臨床的対応を円滑に行うことができるよう、実用性を重視した構成となっている。

蜂窩織炎、丹毒、最適な抗菌薬治療は?

 蜂窩織炎や丹毒は、よくみる細菌感染症であり、抗菌薬治療が至適治療とされている。しかし、その治療法についてのコンセンサスは得られておらず、入手可能な試験データではどの薬剤が優れているのかを実証することができない。最適な投与ルート、治療期間のデータも限定的である。英国・ブリストル大学のRichard Brindle氏らは、システマティックレビューとメタ解析により、非外傷性の蜂窩織炎に対する抗菌薬治療の安全性と有効性を評価した。しかし、低質なエビデンス結果しか得られず、著者は「標準的なアウトカム(重症度スコア、用量、治療期間)を設定した試験を行う必要がある」と提言している。JAMA Dermatology誌オンライン版2019年6月12日号掲載の報告。

抗てんかん薬、皮膚がんリスクと関連?

 抗てんかん薬と皮膚がんリスクとの関連を検討した、デンマーク・南デンマーク大学のKasper Bruun Kristensen氏らの報告によると、大半の抗てんかん薬では、皮膚がんとの関連は認められなかったが、カルバマゼピンとラモトリギンで有棘細胞がん(SCC)との関連が認められたという。抗てんかん薬には光感作性のものがあるが、これまで、それらが皮膚がんリスクを増大するかは不明であった。なお、本検討では皮膚がんの重要なリスク因子に関するデータ(日光曝露など)が入手できず、結果は限定的であった。著者は、「所見が再現性のあるものか、また、さらにほかの設定で特性付けられるかを調べる必要があり、直接的な臨床的意味のあるものではない」と述べている。