皮膚科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:8

中等症~重症の乾癬、リサンキズマブの実臨床の有効性は?

 インターロイキン(IL)-23阻害薬リサンキズマブによる治療を受けた中等症~重症の乾癬患者は、治療開始1年後において、多くの患者が高い皮疹消失レベルを達成した。また、乾癬症状も改善し、労働生産性・活動障害も改善した。米国・イェール大学のBruce Strober氏らが、中等症~重症の乾癬に対するリサンキズマブの実臨床における治療効果の検討を目的として実施した、後ろ向き観察研究の結果を報告した。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2023年9月20日号掲載の報告。

糖尿病患者の下肢切断に関連する因子を特定

 糖尿病と新規診断された患者では、喫煙や身体活動量の少なさに加えて、高齢、男性、離婚などが下肢切断(lower-limb amputation;LLA)の潜在的リスク因子である可能性が明らかになった。オレブロ大学(スウェーデン)のStefan Jansson氏らが行った研究の結果であり、詳細は欧州糖尿病学会年次総会(EASD2023、10月2~6日、ドイツ・ハンブルク)で発表される予定。  糖尿病患者はLLAリスクが高いことが知られているが、そのリスク因子は十分に明らかになっているとは言えない。これには、LLAが糖尿病の主徴である高血糖だけでなく、合併症である血管障害、神経障害、易感染や、年齢、罹病期間、喫煙習慣、居住環境(同居者の有無)、医療環境など、さまざまな因子が関与して発症・進行することが一因として挙げられる。これを背景としてJansson氏らは、検討対象を糖尿病と新たに診断された集団に絞り込み、人口統計学的因子、社会経済的因子、生活習慣関連因子、および医療介入時の臨床評価指標を考慮して、LLAリスクを検討した。

アトピー性皮膚炎の成人・小児はIBD高リスク

 アトピー性皮膚炎(AD)の小児および成人は、炎症性腸疾患(IBD)のリスクが高く、そのリスクは年齢、AD重症度、IBDの種類によって異なることが、米国・ペンシルベニア大学医学大学院のZelma C. Chiesa Fuxench氏らによる住民ベースのコホート研究で明らかにされた。これまで、ADとIBDの関連に関するデータは一貫性がなく、ADまたはAD重症度と潰瘍性大腸炎(UC)およびクローン病(CD)リスクとの関連を個別に検討した研究はほとんどなかった。著者は、「今回示された所見は、ADとIBDの関連について新たな知見を提供するものである。臨床医は、とくにADと消化器症状が合併する可能性がある患者に対してADの全身治療を行う際に、これらのリスクに留意する必要がある」と述べている。JAMA Dermatology誌オンライン版2023年8月30日号掲載の報告。

膿疱性乾癬のフレア予防、高用量のスペソリマブが有効/Lancet

 膿疱性乾癬(汎発型)(GPP)の急性症状(フレア)の予防において、プラセボと比較して抗インターロイキン36受容体(IL-36R)モノクローナル抗体スペソリマブの高用量投与は、GPPの急性症状の発現を改善し、安全性プロファイルも良好であることが、名古屋市立大学の森田明理氏らが実施した「Effisayil 2試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2023年9月19日号で報告された。  Effisayil 2試験は、日本を含む20ヵ国60施設で実施された無作為化プラセボ対照第IIb相試験であり、2020年6月~2022年11月に患者のスクリーニングを行った(Boehringer Ingelheimの助成を受けた)。

精神的苦痛の大きい白斑患者の特徴

 米国・Incyte CorporationのKristen Bibeau氏らが17ヵ国の白斑患者を対象に、白斑とQOL、メンタルヘルスとの関連性を調べる定性的研究を行った。その結果、世界的に白斑患者は、感情的幸福感(emotional well-being)、日常生活、心理社会的健康に大きな影響を受けていることが示された。その負荷は体表面積(BSA)5%超の病変を有する患者、肌の色が濃い患者、顔や手に病変がある患者で最も大きかった。また、本研究から、患者が振る舞いを変えたこと、明らかな不満を表出していたこと、うつ病と一致する症状を有していたことが示唆され、著者らは、これらが過小診断されている可能性があるとしている。JAMA Dermatology誌オンライン版2023年8月30日号掲載の報告。

「爪白癬は外用薬で治す」は誤解?

 昨年6月にイムノクロマト法を用いた白癬菌抗原キット「デルマクイック爪白癬」が発売されたことを契機に、以前に比べ、内科医でも爪白癬の診断に対応できるようになったのをご存じだろうか。今回、常深 祐一郎氏(埼玉医科大学医学部皮膚科 教授)が『本邦初の白癬菌抗原検査キットによる爪水虫診断と正しい治療法~爪水虫診療は新たなステージへ~』と題し、今年4月に発表された爪白癬の治療実態調査の結果、新たな抗原キットなどについて説明した(佐藤製薬・マルホ共催メディアセミナー)。

中等症~重症アトピー性皮膚炎、トラロキヌマブは高齢者にも有用

 65歳以上の中等症~重症アトピー性皮膚炎患者において、トラロキヌマブの忍容性および有効性は良好であることが示された。米国・ブリガム&ウィメンズ病院のJoseph F. Merola氏らが、第III相無作為化プラセボ対照試験「ECZTRA試験(1、2、3)」の事後解析により明らかにした。アトピー性皮膚炎を有する高齢者には、併存疾患やポリファーマシー、感染症(帯状疱疹など)のリスクが高いなど、特有の治療課題が存在するが、臨床試験のデータは限られていた。JAMA Dermatology誌オンライン版2023年8月23日号掲載の報告。

にきびに対して最も効果的な治療法とは?

 生活の質(QOL)に大きな影響を与えかねないにきび(ざ瘡)に対する最も効果的な治療法は何なのだろうか。台大病院(台湾)のChung-Yen Huang氏らによる200件以上の研究を対象にしたレビューから、その答えは、経口イソトレチノイン(商品名アキュテイン)であることが明らかになった。この研究結果は、「Annals of Family Medicine」7/8月号に掲載された。  Huang氏らは、にきびに対する薬物療法に関する包括的な比較を行うために、論文データベースを用いて2022年2月までに発表された関連論文を検索し、221件の臨床試験を含む210件の研究論文(対象者の総計6万5,601人、平均年齢20.4歳)をレビュー対象として抽出。これらの研究で検討されていた37種類のにきび治療法を、総皮疹数、炎症性皮疹数、非炎症性皮疹数の減少率に基づき比較した。対象とした37種類のにきび治療法には、外用と経口の抗菌薬、外用レチノイド、経口イソトレチノイン、過酸化ベンゾイル(BPO)、アゼライン酸、ホルモン治療薬の単剤療法と併用療法が含まれていた。治療期間中央値は12週間だった。

中等症~重症の尋常性乾癬へのリサンキズマブ、5年追跡結果

 中等症~重症の尋常性乾癬患者に対するリサンキズマブ治療の長期安全性と有効性が報告された。最長5年の継続投与の忍容性は良好であり、持続的かつ高い有効性が示された。ベルギー・Alliance Clinical Research and Probity Medical ResearchのKim A. Papp氏らが、進行中の第III相非盲検延長試験「LIMMitless試験」の中間解析の結果をJournal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2023年8月6日号で報告した。乾癬は慢性の炎症性皮膚疾患で、長期にわたる治療が必要になることが多い。リサンキズマブはヒト化抗ヒトIL-23p19モノクローナル抗体製剤で、IL-23のp19サブユニットに結合し、IL-23の作用を中和することで乾癬による皮膚症状や関節炎などを改善する。

パーソナルケア製品、男性ではこの20年で使用が倍増

 米国成人は、シャンプーやデオドラントなどの自分の身体をケアするための製品(パーソナルケア製品)を1日に平均で12種類使用していることが、米環境ワーキンググループ(Environmental Working Group;EWG)のHomer Swei氏らが7月26日に公表した新たな調査で明らかにされた。これらの12製品には、合計で112種類の化学成分が含まれており、その一部は健康にとって有害な可能性も示されたという。  パーソナルケア製品の使用に関するこの調査は2023年2月に実施され、2,207人の米国成人(男女のカテゴリーからの選択で、女性1,128人、男性1,073人)から回答が得られた。その結果、男性では、パーソナルケア製品の毎日の使用が、前回調査時(2004年)の平均6種類の使用から今回の調査での平均11種類の使用へと倍増していたことが示された。11種類の製品の内訳は、ボディーケア製品が6種類、スキンケア製品と化粧品が1種類ずつ、ヘアケア製品が2種類で、残る1種類はベビーケア製品(お尻ふき)だった。これに対して、女性では前回の調査時が平均12種類の使用だったのが、今回の調査では平均13種類の使用であり、大きな変化は見られなかった。また、約10%の人は、化粧品、シャンプー、保湿剤、デオドラント、石鹸など25種類以上の製品を毎日使用している、いわゆる「ヘビーユーザー」であることも判明した。