糖尿病・代謝・内分泌科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:109

高齢者でもスタチンは投与すべきなのか?(解説:平山篤志氏)-923

今後多くの先進国は、高齢化社会を迎える。とくにわが国は高齢化率が著しく、諸外国に先駆けて数多くの未知なる諸問題に対処してゆかねばならない。その1つにEvidence Based Medicineがある。医学の世界では、EBMに基づいてガイドラインが作成され、治療に対応している。EBMとして最もエビデンスレベルが高いとされるのは、Randomized Control Trial(RCT)で得られた結果である。だが、多くの場合RCTでは高齢者が除外されているか、また含まれていても数が少ないため十分なEBMを得ることができていない。RCTでは少数であっても実臨床では数多い高齢者についての情報を得るために、近年はReal World Evidenceということが注目されるようになり、電子カルテベースのデータや保険会社のデータ、あるいはレジストリー研究からの結果が出されるようになっている。

「スタチン不耐に関する診療指針2018」で治療中断を食い止める

 スタチンは心筋梗塞をはじめ、動脈硬化によって生ずる心血管イベントを予防するためには必要不可欠であると、日本人を含むさまざまなデータにおいて報告がある。しかし、その服用継続が困難な「不耐」については日本人のデータが確立していないどころか、適切なLDLコレステロール低下療法が実践されているのかさえ不明瞭である。2018年9月26日、日本動脈硬化学会主催のプレスセミナー「スタチン不耐について」が開催され、梶波 康二氏(金沢医科大学循環器内科学主任教授/スタチン不耐ワーキンググループ委員長)が登壇し、スタチン不耐に関する診療指針2018作成の経緯について語った。

日本人の抗-enolase AIR、臨床像が明らかに

 北海道大学大学院医学研究院眼科学教室の安藤 亮氏らは、日本人の抗α-enolase抗体陽性自己免疫性網膜症(抗-enolase AIR)に関する多施設共同後ろ向き症例集積研究を行い、抗-enolase AIRは、これまで文献においてほとんど記述のないドルーゼンのサブタイプで特徴付けられることを明らかにした。著者は、「機能的な重症度が異なることに伴う眼底検査所見の違いは、網膜色素上皮(RPE)ならびに視細胞の抗体を介在した障害の結果と考えられる」とまとめている。American Journal of Ophthalmology誌オンライン版2018年9月6日号掲載の報告。

妊娠糖尿病の母親は糖代謝疾患リスク増、子への影響は?/JAMA

 国際糖尿病・妊娠学会(IADPSG)の診断基準に基づき妊娠糖尿病(GDM)と診断された母親は、非GDMの母親と比較し妊娠後の長期的な糖代謝疾患のリスクが有意に高い。一方、GDMの母親から生まれた子供と、非GDMの母親から生まれた子供で、小児期の過体重/肥満症に統計学的な有意差はなかった。米国・ノースウェスタン大学フェインバーグ医学院のWilliam L. Lowe Jr氏らが、大規模コホート研究の解析結果を報告した。現在のIADPSG基準が用いられるようになってから、従来のCarpenter-Coustan基準の約2倍もの女性がGDMと診断されているが、IADPSG基準を満たすGDMの母親とその子供に関する長期的なアウトカムについては不明であった。JAMA誌2018年9月11日号掲載の報告。

スタチンによる高齢者のCVイベント1次予防 DM vs.非DM/BMJ

 スタチンは、非2型糖尿病の75歳以上の高齢者の1次予防では、アテローム動脈硬化性心血管疾患および全死因死亡を抑制しないのに対し、2型糖尿病の75~84歳の高齢者の1次予防では、これらの発生を有意に低減することが、スペイン・ジローナ大学のRafel Ramos氏らの検討で示された。研究の成果は、BMJ誌2018年9月5日号に掲載された。スタチンは、75歳以上の高齢者の2次予防において、心血管イベントや心血管死の抑制効果が確立されており、最近の数十年で高齢者への処方が増加しているが、とくに85歳以上の高齢者の1次予防における有効性のエビデンスは不十分だという。

発症時年齢は1型糖尿病患者の心血管疾患リスクに関連する(解説:住谷哲氏)-917

1型糖尿病患者の動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)リスクが2型糖尿病と同様に増加することは、本論文の著者らによってスウェーデンの1型糖尿病レジストリを用いて詳細に検討されて報告された。今回、著者らは1型糖尿病の発症時年齢とASCVDとの関連を同じレジストリを用いて解析した。その結果、発症時の年齢は糖尿病罹病期間を調整した後も、ASCVDリスクと有意に関連することが明らかにされた。

やはり優れたアスピリン!(解説:後藤信哉氏)-915

心筋梗塞後などの2次予防におけるアスピリンの有効性、安全性は確立されている。血栓イベントリスクの低い1次予防の症例群一般では、アスピリンのメリットはデメリットに勝るとはいえない。しかし、1次予防の症例群でもアスピリンの服用による心血管イベントリスクの低減効果は確立されている。多忙な医師は心血管イベントリスクも高いので、アスピリン服薬による心血管死亡率の低減効果が注目された時代もあった。

アスピリンは、糖尿病患者にとって有益か有害か/NEJM

 アスピリンは、糖尿病患者において重篤な血管イベントを予防するが、大出血イベントの原因にもなることが、英国・オックスフォード大学のLouise Bowman氏らが行ったASCEND試験で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2018年8月26日号に掲載された。糖尿病により、心血管イベントのリスクが増加する。アスピリンは、閉塞性血管イベントのリスクを抑制するが、糖尿病患者の初回心血管イベントの予防におけるその有益性と有害性のバランスは不明とされる。

ω-3脂肪酸、糖尿病患者の重篤な血管イベント抑制に効果?/NEJM

 糖尿病患者にω-3脂肪酸の栄養補助を行っても、重篤な血管イベントのリスクは、プラセボに比べ改善しないことが、英国・オックスフォード大学のLouise Bowman氏らが実施したASCEND試験で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2018年8月26日号に掲載された。観察研究では、ω-3脂肪酸の摂取量の増加にともない、心血管疾患のリスクが低減することが報告されているが、これまでに、この知見を確証した無作為化試験はなかった。また、ω-3脂肪酸の栄養補助が、糖尿病患者の心血管リスクに便益をもたらすかは不明とされる。