糖尿病・代謝・内分泌科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:3

週1回注射のインスリンは低血糖の出現に注意を (解説:小川大輔氏)

1型糖尿病患者を対象とした週1回の基礎インスリン(insulin efsitora alfa)の第III相試験の結果が発表された。1日1回の基礎インスリン(インスリン デグルデク)と比較し、有効性と安全性を比較した結果、有効性については非劣性が確認されたが、安全性については重篤な低血糖が多いと報告された。成人1型糖尿病患者692例を、基礎インスリンとしてinsulin efsitora alfaを投与する群(efsitora群)とインスリン デグルデクを投与する群(デグルデク群)に無作為に割り付け、追加インスリンとしてインスリン リスプロを両群とも併用投与した。その結果、ベースラインから26週目までのHbA1cの変化量は両群に差がなく非劣性が確認された。別の言い方をすればefsitora群に優越性は認められなかったということになる。

統合失調症と2型糖尿病リスクとの関連〜最新メタ解析

 統合失調症患者におけるメタボリックシンドロームは、臨床医にとって常に重要な課題の1つとなっている。これまでの研究では、統合失調症患者は2型糖尿病発症リスクが非常に高いと報告されている。近年、新たな観察研究が次々と報告されており、臨床医が統合失調症と2型糖尿病との関係をより正確に理解する必要性が高まっている。中国・済寧医学院のKai Dong氏らは、新たな観察研究を統合し、統合失調症と2型糖尿病リスクとの潜在的な関連性を評価するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Frontiers in Endocrinology誌2024年9月11日号の報告。

GLP-1受容体作動薬が消化管の内視鏡検査に影響か

 上部消化管内視鏡検査(以下、胃カメラ)や大腸内視鏡検査では、患者の胃の中に食べ物が残っていたり腸の中に便が残っていたりすると、医師が首尾よく検査を進められなくなる可能性がある。新たな研究で、患者がオゼンピックやウゴービといった人気の新規肥満症治療薬(GLP-1受容体作動薬)を使用している場合、このような事態に陥る可能性の高くなることが明らかになった。米シダーズ・サイナイ病院の内分泌学者で消化器研究者のRuchi Mathur氏らによるこの研究結果は、「JAMA Network Open」に10月1日掲載された。

日本人の牛乳・乳製品の摂取と不眠症との関連

 労働安全衛生総合研究所の佐藤 ゆき氏らは、日本人における牛乳や乳製品の習慣的な摂取と不眠症との関連を調査した。Nutrition and Health誌オンライン版2024年9月25日号の報告。  東日本で20〜74歳の6万633人(男性:2万2,721人、女性:3万7,912人)を対象に、コホート研究データを用いた横断的研究を実施した。牛乳、乳製品の摂取、睡眠状況、その他の生活習慣に関するデータは、自己記入式質問票を用いて収集した。牛乳、乳製品に関する質問は、全乳、低脂肪牛乳、チーズ、ヨーグルト、乳酸菌飲料を含め、摂取頻度(週1回未満、週1〜2回、週3〜6回、1日1回以上)を評価した。睡眠状況の評価には、アテネ不眠症尺度を用いた。

メトホルミンがlong COVIDのリスクを軽減する可能性

 2型糖尿病の治療に広く使用されている経口血糖降下薬のメトホルミンが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)罹患後の症状の遷延、いわゆるlong COVIDのリスクを軽減することを裏付ける、新たなデータが報告された。米ミネソタ大学のCarolyn Bramante氏らの研究によるもので、詳細は「Diabetes Care」に9月17日掲載された。  Long COVIDは、慢性疲労、息切れ、ブレインフォグ(頭がぼんやりして記憶力などが低下した状態)などの症状を呈し、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)感染後、数週から数カ月続くこともある。現在、米国内で数百万人がこの状態に苦しめられていると考えられている。

2型糖尿病患者のフレイルリスクに地域差

 高齢2型糖尿病患者のフレイルリスクが、居住地域によって異なるという実態が報告された。農村部では都市部よりリスクが高く、また農村部居住患者は手段的日常生活活動(IADL)と社会的日常生活活動(SADL)の低下も認められるという。香川大学医学部看護学科慢性期成人看護学の西村亜希子氏、京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻の原島伸一氏らによる論文が、「BMC Geriatrics」に8月17日掲載された。  糖尿病は、ストレス耐性が低下した状態であるフレイルのリスク因子であり、両者が併存する場合、身体障害や死亡のリスクがより上昇する可能性があるため、早期介入が特に重要と考えられる。また、フレイルリスクを高める因子として居住地域も該当し、都市部よりも農村部でリスクが高いことが示唆されている。ただし、糖尿病とフレイルの併発に居住地域の影響があるのかという点は未だ検討されていない。西村氏らは、糖尿病患者のフレイル予防に関する多機関共同研究(f-PPOD研究)のデータを用いた横断的解析により、この点を検討した。

高血圧、脂質異常症、糖尿病で服薬遵守率が高い疾患は?

 高血圧、脂質異常症および糖尿病患者の服薬遵守率を、同一対象内で比較した結果が報告された。慶應義塾大学医学部衛生学公衆衛生学教室の松元美奈子氏、武林亨氏らの研究によるもので、詳細は「Pharmacoepidemiology and Drug Safety」に8月15日掲載された。服薬非遵守の関連因子が、疾患ごとに異なることも明らかにされている。  過去にも服薬遵守率に関する研究報告は少なくない。しかし、異なる診療環境で治療を受けている多数の患者集団を対象として、複数の疾患治療薬の服薬遵守率を比較検討した研究は限られている。これを背景として松元氏らは、山形県鶴岡市で進行中の鶴岡メタボロームコホート研究(TMCS)のデータを医療請求データにリンクさせて、心血管疾患の主要リスク因子である、高血圧、脂質異常症、糖尿病の患者の服薬遵守状況に関する検討を行った。

ヘム鉄摂取が2型糖尿病のリスクを高める

 ヘム鉄の摂取が2型糖尿病のリスク増大と関連しているとする研究結果が、「Nature Metabolism」に8月13日掲載された。米ハーバード大学T. H.チャン公衆衛生大学院のFenglei Wang氏らの研究によるもの。未加工の赤肉を好む食事パターンが2型糖尿病のリスクを高めるとされているが、その関連性の多くは、ヘム鉄の過剰摂取で説明可能と考えられるという。  これまでにも、食事からのヘム鉄の摂取が2型糖尿病のリスク増大と関連していることが示唆されてきているが、血液バイオマーカーなどを絡めた検討は十分に行われていない。Wang氏らはこの点について、米国内で実施されている観察期間が最長36年間におよぶ3件の大規模コホート研究のデータを用いた検討を行った。

DPP-4i既存治療の有無で腎予後に有意差

 2型糖尿病患者の腎予後がDPP-4阻害薬(DPP-4i)処方の有無で異なるとする研究結果が報告された。同薬が処方されている患者の方が、腎機能(eGFR)の低下速度が遅く、末期腎不全の発症リスクが低いという。東北医科薬科大学医学部衛生学・公衆衛生学教室の佐藤倫広氏、同大学医学部内科学第三(腎臓内分泌内科)教室の橋本英明氏らが行ったリアルワールド研究の結果であり、詳細は「Diabetes, Obesity & Metabolism」に7月31日掲載された。

医師の飲酒状況、ALT30超は何割?年齢が上がるほど量も頻度も増える?/医師1,000人アンケート

 厚生労働省は2024年2月に「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」を発表し、国民に向けて、飲酒に伴うリスクに関する知識の普及を推進している。こうした状況を踏まえ、日頃から患者さんへ適切な飲酒について指導を行うことも多い医師が、自身は飲酒とどのように向き合っているかについて、CareNet.com会員医師1,025人を対象に『医師の飲酒状況に関するアンケート』で聞いた。年代別の傾向をみるため、20~60代以上の各年代を約200人ずつ調査した。本ガイドラインの認知度や、自身の飲酒量や頻度、飲酒に関する医師ならではのエピソードが寄せられた。