糖尿病・代謝・内分泌科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:6

インフル・コロナ混合ワクチン、50歳以上への免疫原性・安全性確認/JAMA

 インフルエンザと新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の混合ワクチン「mRNA-1083」の免疫原性と安全性を、50歳以上の成人を対象に評価した第III相無作為化観察者盲検試験の結果が報告された。開発中のmRNA-1083は、推奨されるインフルエンザワクチン(高用量、標準用量)およびCOVID-19ワクチンと比較して非劣性基準を満たし、4種すべてのインフルエンザ株(50~64歳)、SARS-CoV-2(全年齢)に対して高い免疫応答を誘導したことが実証され、許容可能な忍容性および安全性プロファイルが示された。米国・ModernaのAmanda K. Rudman Spergel氏らが報告した。JAMA誌オンライン版2025年5月7日号掲載の報告。

妊娠合併症は将来の心臓の健康に悪影響を及ぼす

 妊娠中に妊娠糖尿病や妊娠高血圧症候群といった合併症を発症した女性は、後年の心臓の健康リスクが高いことを示す研究結果が報告された。米ノースウェスタン大学のJaclyn Borrowman氏らの研究によるもので、詳細は「Journal of the American College of Cardiology(JACC)」に4月22日掲載された。  著者らによると、妊娠合併症と健康リスクとの関連は、妊娠前に過体重や肥満であった女性に、特に強く当てはまるという。そして、「女性にとって妊娠中に合併症を発症するか否かは、将来の健康状態や慢性疾患のリスクを予測するという点で、あたかも“ストレス負荷テスト”のようなものだ」と解説。またBorrowman氏は、「われわれの研究結果は、妊娠を考えている女性が体重管理を優先することが、妊娠中および将来の心臓血管の健康につながり得ることを示唆している」と話している。

β遮断薬やスタチンなど、頻用薬がパーキンソン病発症を抑制?

 痛みや高血圧、糖尿病、脂質異常症の治療薬として、アスピリン、イブプロフェン、スタチン系薬剤、β遮断薬などを使用している人では、パーキンソン病(PD)の発症が遅くなる可能性のあることが、新たな研究で明らかになった。特に、PDの症状が現れる以前からβ遮断薬を使用していた人では、使用していなかった人に比べてPDの発症年齢(age at onset;AAO)が平均で10年遅かったという。米シダーズ・サイナイ医療センターで神経学副部長兼運動障害部門長を務めるMichele Tagliati氏らによるこの研究結果は、「Journal of Neurology」に3月6日掲載された。

セマグルチドはPADを有する2型糖尿病患者の歩行距離を改善する(解説:原田和昌氏)

症候性末梢動脈疾患(PAD)の罹患者は世界で2億3,000万人超と推定され、高齢化により増加している。PAD患者の機能低下と健康関連QOL低下を改善する治療は、ほとんどなかった。米国・コロラド大学のMarc P. Bonaca氏らは第IIIb相二重盲検無作為化プラセボ対照試験のSTRIDE試験にて、PADを有する2型糖尿病(DM)患者においてセマグルチドがプラセボと比較して歩行距離を改善することを示した。20ヵ国112の外来臨床試験施設で行われた。2型DMで間欠性跛行を伴うPAD(Fontaine分類IIa度、歩行可能距離>200m)を有し、足関節上腕血圧比(ABI)≦0.90または足趾上腕血圧比(TBI)≦0.70の患者を対象とした。セマグルチド1.0mgを週1回52週間皮下投与する群(396例)またはプラセボ群(396例)に無作為に割り付けた。主要エンドポイントは、定荷重トレッドミルで測定した52週時点の最大歩行距離の対ベースライン比であった。25%が女性で年齢中央値は68.0歳、ベースラインのABIの幾何平均値は0.75、同TBIは0.48、最大歩行距離中央値185.5m、追跡期間中央値は13.2ヵ月であった。

糖尿病や腎臓病リスクが高まる健診の未受診期間は?/H.U.グループ中央研究所・国循

 2型糖尿病の進展は、糖尿病性腎症や透析を含む合併症の発症など健康上の大きな問題となる。年1回の健康診断と健康転帰との良好な関係は周知のことだが、定期的な健康診断をしなかった場合の2型糖尿病および透析への進展に及ぼす影響についてはどのようなものがあるだろうか。この課題に対して、H.U.グループ中央研究所の中村 いおり氏と国立循環器病研究センターの研究グループは、年1回の健康診断の受診頻度と糖尿病関連指標との関連、および透析予防における早期介入の潜在的影響について検討した。その結果、健康診断を3年以上連続して受診しなかった人は、2型糖尿病のリスクが高いことが示唆された。

チルゼパチド72週の投与で体重が5%以上減少/リリー・田辺三菱

 日本イーライリリーと田辺三菱製薬は、4月11日に発売された持続性GIP/GLP-1受容体作動薬チルゼパチド(商品名:ゼップバウンド[皮下注アテオス])について、プレスセミナーを開催した。プレスセミナーでは、肥満症の基礎情報や肥満症の要因、社会的課題とともに、チルゼパチドの臨床試験であるSURMOUNT-J試験の概要が説明された。  「複合的な要因からなる慢性疾患『肥満症』のアンメットニーズ」をテーマに、脇 裕典氏(秋田大学大学院医学系研究科 代謝・内分泌内科学講座 教授)が、肥満症の病態や関係する諸課題について説明した。

中年患者へのスタチン使用、白内障リスク上昇

 近年、スタチンの使用が白内障の発症に影響を及ぼす可能性が示唆されている。そこで、日本人におけるスタチン使用と白内障の発症との関連性について、日本大学薬学部のKazuhiro Kawabe氏らが検討し、中年層でのスタチン使用が白内障リスクを約1.5倍高めることを明らかにした。Scientific Reports誌2025年4月19日号掲載の報告。  研究者らは、日本人の健康診断および保険請求データベースの2005年1月1日~2017年12月31日に記録されたデータを用いて後ろ向きコホート研究を実施。健康診断データの脂質異常症117万8,560例のうち72万4,200例をスタチン非使用群とスタチン使用群(新規使用)に分類し、未調整/年齢・性別による調整/多変量調整のハザード比(HR)を算出してCox比例ハザード回帰分析を行った。主要評価項目はスタチンの使用と白内障リスクの関連性を評価。副次評価項目として、使用されたスタチンの力価や特徴、スタチンごとの白内障リスクを評価した。

糖尿病予防、メトホルミンも長期効果

 米国糖尿病予防プログラム(DPP)は、2型糖尿病の発症リスクが高い成人3,234人を対象とした3年間のランダム化臨床試験で、生活習慣介入(Intensive Lifestyle Intervention:ILS、食事・運動・体重管理への集中的介入)、メトホルミン投与、プラセボ投与の3群における、2型糖尿病発症率の違いを比較することを目的としていた。2002年に糖尿病発症率がILS群で58%、メトホルミン群で31%減少したことが報告されている。  DPP試験はプロトコル改訂を経て、DPPアウトカムズ研究(DPPOS試験)として継続された。参加者を長期(20年以上)追跡し、治療効果の長期的な影響を評価した。本試験の結果を米国・ジョージ・ワシントン大学のWilliam C. Knowler氏らが、The Lancet Diabetes & Endocrinology誌オンライン版2025年4月28日号で報告した。

栄養士が調整した医療食の提供は医療費削減に有効

 米国では、栄養を医療の一環としてとらえ、慢性疾患の予防や治療に役立てる目的で栄養士が患者の状態に応じて調整した医療食(medically tailored meal;MTM)を提供する「食は薬(Food is Medicine)」プログラムが広範に実施されている。過去の小規模研究では、MTMが患者の健康管理に有効なだけでなく、医療費の削減につながる可能性が示唆されている。こうした中、米タフツ大学フリードマン栄養科学政策大学院のShuyue Deng氏らが、全国規模でMTMを保険適用とした場合の影響を検討した結果、初年度だけで321億ドル(1ドル142円換算で4兆5582億円)の医療費を削減できる可能性が示唆された。この研究の詳細は、「Health Affairs」4月号に掲載された。

複数の食品添加物の相互作用が2型糖尿病リスクを高める

 ダイエット飲料や超加工食品に使われている添加物が、2型糖尿病のリスクを高めることを示唆するデータが報告された。フランス国立衛生医学研究所(INSERM)のMarie Payen de la Garanderie氏らの研究の結果であり、詳細は「PLOS Medicine」に4月8日掲載された。複数の添加物による相互作用が、リスク上昇に関与している可能性があるという。  約11万人を対象に行われたこの研究によると、人工甘味料入り飲料によく含まれている添加物の混合物(添加物の組み合わせ)は2型糖尿病のリスクを13%増加させ、同様にスナックなどの超加工食品に含まれている添加物の混合物は、リスクを8%増加させることが明らかになった。de la Garanderie氏は、「多くの製品に含まれているいくつかの添加物はしばしば同時に摂取されるが、そのような同時摂取が2型糖尿病のより高いリスクと関連していることが示唆される」と解説。「これらの添加物は修正可能なリスク因子といえ、2型糖尿病予防の新たな戦略への道を開く可能性がある」と付け加えている。