糖尿病・代謝・内分泌科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:21

脂質低下薬が糖尿病網膜症の進行を抑制する可能性

 脂質低下薬のフェノフィブラートが、糖尿病による目の合併症を抑制することを示唆するデータが報告された。網膜症の進行、それによる治療を要するリスクが、プラセボに比べて27%低下するという。英オックスフォード大学人口保健研究所のDavid Preiss氏らが米国糖尿病学会年次学術集会(ADA2024、6月21~24日、オーランド)で発表するとともに、論文が「NEJM Evidence」に6月21日掲載された。  Preiss氏は、「糖尿病網膜症は依然として視力喪失の主要な原因であり、その進行を抑えるために、広く利用可能なシンプルな戦略を必要としている」と解説。また本研究の結果について、「フェノフィブラートは糖尿病網膜症の患者に対して、有益な追加効果をもたらす可能性があることを示唆している」としている。なお、糖尿病網膜症は、高血糖の持続により眼球の奥の血管がダメージを受けることで発症し、血管から血液成分が漏れ出したりすることによって視野が欠けたり視力が低下して、最終的には失明することもある病気。一方、脂質低下薬であるフェノフィブラートは、糖尿病患者の心血管イベント抑制を主要評価項目として検証した複数の臨床試験で、網膜症を抑制するという副次的な効果を有することが示唆されている。

米国におけるGLP-1RA治療開始後の中止の実態

 米国でGLP-1受容体作動薬(GLP-1RA)による治療を開始した糖尿病または肥満患者のうち、3分の1以上が12カ月でその治療を中止しているという実態が報告された。米エバーノース研究所のDuy Do氏らによる研究の結果であり、詳細は「JAMA Network Open」に5月24日、レターとして掲載された。  この研究は、2021~2023年の医療情報データベース(Komodo Healthcare Map)を用いて行われた。解析対象は、2型糖尿病または肥満治療のために、医療保険(民間保険、メディケア、メディケイド)を利用してGLP-1RA(デュラグルチド、エキセナチド、リラグルチド、セマグルチド)の処方を受けた18歳以上の患者19万5,915人(平均年齢53.8±12.5歳、女性58.9%)。

高リスク高血圧患者の降圧目標、140mmHg未満vs.120mmHg未満/Lancet

 心血管リスクの高い高血圧患者では、糖尿病や脳卒中の既往によらず、収縮期血圧(SBP)の目標を120mmHg未満とする厳格降圧治療は、140mmHg未満とする標準降圧治療と比較して、主要心血管イベントのリスクが低下したことが示された。中国・Fuwai HospitalのJiamin Liu氏らESPRIT Collaborative Groupが無作為化非盲検評価者盲検比較試験「Effects of Intensive Systolic Blood Pressure Lowering Treatment in Reducing Risk of Vascular Events trial:ESPRIT試験」の結果を報告した。SBPを120mmHg未満に低下させることが140mmHg未満に低下させることより優れているかどうかは、とくに糖尿病患者や脳卒中の既往患者でははっきりしていなかった。Lancet誌オンライン版2024年6月27日号掲載の報告。

定年退職前後の高強度トレーニングで老後も活動的に

 定年退職が視野に入ってきたら、高強度の筋力トレーニングをしておくと良いかもしれない。それにより、身体的に自立した生活にとって重要な下肢の筋力が、退職後にも長期間維持されるという。ウメオ大学(スウェーデン)のCarl-Johan Boraxbekk氏らの研究の結果であり、詳細は「BMJ Open Sport & Exercise Medicine」に6月18日掲載された。  筋力トレーニングによって、加齢による筋肉量や筋力の低下が抑制される。ただし筋力トレーニングを一定期間継続した後に、その効果がどれだけ長く維持されるのかという点はよく分かっていない。Boraxbekk氏らはこの点を検証するために、無作為化比較試験を実施した。

メトホルミンで先天異常のリスクは上昇しない

 経口血糖降下薬のメトホルミンの催奇形性を否定する論文が2報、「Annals of Internal Medicine」に6月18日掲載された。両論文ともに米ハーバード大学T.H.チャン公衆衛生大学院の研究者による報告で、妊娠成立前に男性が同薬を服用した場合、および、妊娠初期の女性が同薬を服用していた場合のいずれも、有意なリスク上昇は観察されなかったという。   最初の報告はRan Rotem氏らの研究によるもの。同氏は、「胎児や新生児の健康に関する研究では従来、母親の状態が重視されてきた。しかし近年は父親の状態の重要性に関する理解が深まってきている」と、CNNの取材に対して語っている。その一例として、妊娠成立前の3カ月間に男性がメトホルミンなどの経口血糖降下薬を服用していた場合に、先天異常のリスクが40%増加するという研究結果が2022年に報告されているという。しかし今回のRotem氏らのデータは、その報告と矛盾するものだ。同氏は、「過去の研究で観察されたリスク上昇は、薬剤ではなく高血糖そのもの、または併発疾患に関連して生じていた可能性がある」と指摘している。

糖尿病患者の認知症リスク低減、GLP-1RA vs.DPP-4i vs.SU薬

 65歳以上の2型糖尿病患者9万例弱を最長10年間追跡した結果、GLP-1受容体作動薬を服用する患者では、スルホニル尿素(SU)薬やDPP-4阻害薬を服用する患者よりも認知症の発症リスクが低かったことが、スウェーデン・Karolinska InstitutetのBowen Tang氏らによって明らかになった。eClinicalMedicine誌オンライン版2024年6月20日号掲載の報告。  これまでの研究により、2型糖尿病患者は認知症の発症リスクが高いことが報告されている。一部の血糖降下薬は、プラセボまたはほかの血糖降下薬との比較において、2型糖尿病患者の認知障害および認知症のリスクを低減させる可能性が示唆されているが、相反する報告もあり、さらなる研究が求められていた。そこで研究グループは、糖尿病を有する高齢者の認知症リスクに対する3つの薬剤クラス(GLP-1受容体作動薬、DPP-4阻害薬、SU薬)の影響を比較するため、スウェーデンの全国登録から取得したリアルワールドデータを用いて、2010年1月1日~2020年6月30日に臨床試験を模した逐次試験エミュレーション(sequential trial emulation)を実施した。

臨床現場で感じる甲状腺眼症診療の課題とは?/アムジェン

 アムジェンは、2024年6月20日に、甲状腺眼症の診療を取り巻く現状や課題をテーマとしたメディアセミナーを開催した。同セミナーでは、渡邊 奈津子氏(伊藤病院 内科部長)が甲状腺眼症の診断や治療について、神前 あい氏(オリンピア眼科病院 副院長)が甲状腺眼症の臨床経過についてそれぞれ語った。  甲状腺眼症はバセドウ病やまれに橋本病に伴ってみられる眼窩組織の自己免疫性炎症性疾患であり、多岐にわたる眼症状を引き起こす。甲状腺は、甲状腺ホルモンを合成・分泌する役割を担っており、正常な状態では下垂体から分泌される甲状腺刺激ホルモン(TSH)が甲状腺のTSH受容体と結び付き、適量のホルモンが分泌される。しかし、バセドウ病では、TSH受容体に対する抗体が生成され、常にTSH受容体が刺激されて過剰なホルモンが分泌される。甲状腺眼症は、目の周囲の眼窩におけるTSH受容体が刺激されることで発症する。甲状腺眼症の病態は非常に広範であり、瞼、角膜、結膜、外眼筋、視神経、脂肪組織、涙腺など、さまざまな部位に影響を及ぼす。たとえば、涙腺の炎症によって涙が出にくくなったり、脂肪組織や外眼筋の肥大により眼球が飛び出したりするケースがある。最重症例では、視神経が圧迫されて視力障害や視神経萎縮が起こることもある。一方で、眼の症状については見落とされることがしばしばあり、臨床で問題となることもあるという。

チルゼパチド、閉塞性睡眠時無呼吸の肥満者の睡眠アウトカムを改善/NEJM

 中等症~重症の閉塞性睡眠時無呼吸と肥満のある患者の治療において、プラセボと比較してチルゼパチド(グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド[GIP]とグルカゴン様ペプチド1[GLP-1]の受容体作動薬)は、無呼吸低呼吸指数(AHI)の改善とともに体重減少をもたらし、良好な睡眠関連の患者報告アウトカムを示すことが、米国・カリフォルニア大学サンディエゴ校のAtul Malhotra氏らSURMOUNT-OSA Investigatorsが実施した「SURMOUNT-OSA試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2024年6月21日号で報告された。

座位時間を減らすことが健康的な老化につながる

 テレビは、ついだらだらと見てしまうものだが、健康的な老化のためにはソファーに座っている時間は短い方が良いことを明らかにした研究結果がまた1件報告された。米ハーバード大学T.H.チャン公衆衛生大学院疫学分野のMolin Wang氏らによる研究で、詳細は「JAMA Network Open」に6月11日掲載された。  この研究は、Nurses' Health Studyに参加した4万5,176人の女性の20年間の追跡データを用いて、座位行動および低強度の運動(light-intensity physical activity;LPA)と健康的な老化との関連を調査したものである。全参加者が1992年時点で50歳以上であり(平均年齢59.2歳)、慢性疾患は持っていなかった。座位行動の指標として、座位でテレビを見ている時間、座位で仕事をしている時間、その他の家庭での座位時間、LPAの指標として、家庭(LPA-HOME)と仕事(LPA-WORK)でそれぞれ立ったり歩いたりして過ごす時間を調べた。健康的な老化とは、主要な慢性疾患に罹患しておらず、主観的認知機能・身体機能・メンタルヘルス障害がない状態で70歳以上に達している場合と定義された。

2型糖尿病薬で高K血症リスクが低いのは?/BMJ

 2型糖尿病患者において、SGLT2阻害薬およびGLP-1受容体作動薬はDPP-4阻害薬と比較して高カリウム血症のリスクが低いことが、米国・ブリガム&ウィメンズ病院のEdouard L. Fu氏らによる同国内の3つの医療保険請求データベースを用いた解析結果で示された。SGLT2阻害薬、GLP-1受容体作動薬およびDPP-4阻害薬は、2型糖尿病の治療においてますます用いられるようになっているが、日常臨床における高カリウム血症の予防に関して、これらの薬剤の相対的な有効性は不明であった。著者は、「SGLT2阻害薬およびGLP-1受容体作動薬の各クラスにおける個々の薬剤で結果は一貫していることから、クラス効果が示唆される。このことは2型糖尿病患者、とくに高カリウム血症のリスクがある患者へのこれらの薬剤の使用を支持するものである」とまとめている。BMJ誌2024年6月26日号掲載の報告。