糖尿病・代謝・内分泌科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:74

SGLT2阻害薬の適正使用に関する Recommendationを改訂/日本糖尿病学会

 日本糖尿病学会(理事長:植木 浩二郎)は、2014年に策定された「SGLT2阻害薬の適正使用に関するRecommendation」を改訂し、2020年12月25日に第6版を公表した。  2017年9月以降より発売されているSGLT2阻害薬とDPP-4阻害薬の配合薬の留意点、成人1型糖尿病患者におけるインスリン製剤との併用療法でのケトアシドーシスのリスクや注意点についてなどについて記載されている。学会では、これらの情報がさらに広く共有されることで、副作用や有害事象が可能な限り防止され、適正使用が推進されるように注意を促している。

FIDELIO-DKD試験-非ステロイド系選択的鉱質コルチコイド受容体拮抗薬finerenoneに、心腎保護効果あり!(解説:石上友章氏)-1340

慢性腎臓病(CKD)診療の究極のゴールは、腎保護と心血管保護の、両立にある。腎機能低下・透析を回避して、長生きできる治療法が、待ち望まれている。高血圧、糖尿病は、CKDのリスクであり、降圧薬、血糖降下薬には、高血圧・糖尿病を修正・軽快することで、間接的にCKDないしDKDの進展抑制が可能である。しかし、降圧薬であるACE阻害薬・ARBの確たる『降圧を超えた臓器保護作用』については、議論の余地があった。レニン・アンジオテンシン(RA)系は、重要な創薬標的であり、これまでさまざまな薬剤が上市されてきた。RA系の最終産物であるアンジオテンシンIIは、腎内作用と、腎外作用があり、副腎を刺激してアルドステロンの分泌を促進することは、主要な腎外作用である。アルドステロンは、11βHSD2存在下でコルチゾールが不活化することで、核内にある鉱質コルチコイド受容体(MR)と結合し、アルドステロン誘導性タンパク質(AIP:aldosterone inducible protein)の遺伝子発現を通して、アルドステロン作用を発揮する。

COVID-19の希少疾病患者・家族への影響/特定非営利活動法人ASrid

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行により、不要不急の外出制限がされたことで、全国的に通常診療の診療控えがみられる事態となった。 こうした社会情勢下でCOVID-19は希少・難治性疾患を持つ患者、その家族にどのような影響を与えたか、希少・難治性疾患分野における全ステイクホルダーに向けたサービスの提供を目的に活動する特定非営利活動法人ASrid(アスリッド)は、全国の患者とその家族、患者団体向けに調査を行い、「COVID-19 が希少・難治性疾患の患者・家族および患者団体に与える影響に関する調査報告書(一次報告)」としてまとめ、結果を発表した(なお、分析は欠損値を除外して実施している)。

ペットが糖尿病なら、飼い主も危ない?/BMJ

 飼い犬が糖尿病の飼い主は、飼い犬が糖尿病ではない飼い主と比べて、2型糖尿病の発症リスクが有意に高い(約1.3倍)ことがデータで明らかにされた。逆に飼い主が2型糖尿病の際の飼い犬の糖尿病発症リスクの増大については、有意な関連性は認められず、また、飼い猫と飼い主には、そのような関連性は認められなかったという。スウェーデン・ウプサラ大学のRachel Ann Delicano氏らが、飼い犬と飼い主のペア約21万組、飼い猫と飼い主のペア約12万組について行った縦断研究の結果を報告した。飼い犬と飼い主は、身体活動量など特定の健康行動を共有する場合がある。以前に行われた横断研究で、飼い犬と飼い主における肥満について関連性があることが示されていたが、飼い犬と飼い主および飼い猫と飼い主で糖尿病リスクを共有するのか調べた研究はこれまでなかった。BMJ誌2020年12月10日号クリスマス特集号の「THE CITADEL」より。

finerenone、2型糖尿病合併CKD患者で心血管リスクを抑制/NEJM

 2型糖尿病を併発する慢性腎臓病(CKD)患者において、finerenoneの投与はプラセボに比べ、CKDの進行と心血管イベントのリスクを低減させることが、米国・シカゴ大学病院のGeorge L. Bakris氏らが行った「FIDELIO-DKD試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2020年12月3日号に掲載された。2型糖尿病はCKDの主要な原因であり、2型糖尿病患者のCKD管理ガイドラインでは、高血圧や高血糖の管理とともにさまざまな薬物療法が推奨されているが、CKDの進行のリスクは解消されておらず、新たな治療が求められている。finerenoneは、非ステロイド性選択的ミネラルコルチコイド受容体(MR)拮抗薬で、CKDと2型糖尿病を併発する患者を対象とする短期試験でアルブミン尿を減少させると報告されている。

ゴリムマブ、1型糖尿病若年患者のインスリン産生能を改善/NEJM

 新たに顕性1型糖尿病と診断された小児および若年成人において、ゴリムマブの投与はプラセボに比べ、内因性インスリン産生能が優れ、外因性インスリンの使用量は少ないことが、米国・ニューヨーク州立大学バッファロー校のTeresa Quattrin氏らが行った「T1GER試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2020年11月19日号に掲載された。1型糖尿病は、膵β細胞の進行性の低下で特徴付けられる自己免疫疾患である。ゴリムマブは、腫瘍壊死因子αに特異的なヒトIgG1-κモノクローナル抗体であり、欧米では成人の関節リウマチや潰瘍性大腸炎などの自己免疫疾患、欧州などでは多関節型若年性特発性関節炎や小児の非X線的体軸性脊椎関節炎などの治療法として承認されている。

SGLT1/2阻害薬sotagliflozin、心不全悪化の糖尿病患者に有効な可能性/NEJM

 心不全の悪化で入院した糖尿病患者において、退院前または退院直後にナトリウム・グルコース共輸送体1/2(SGLT1/2)阻害薬sotagliflozinによる治療を開始すると、心血管死と心不全による入院・緊急受診の総数が、プラセボに比べ有意に低下することが、米国・ブリガム&ウィメンズ病院のDeepak L. Bhatt氏らが行った「SOLOIST-WHF試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2020年11月16日号に掲載された。SGLT2阻害薬は、安定心不全患者において、心不全による入院および心血管死のリスクを低減すると報告されている。一方、非代償性心不全のエピソード後に間もなく開始したSGLT2阻害薬投与の安全性と有効性は知られていないという。

SGLT1/2阻害薬sotagliflozin、CKD併存の糖尿病に有効な可能性/NEJM

 2型糖尿病と慢性腎臓病(CKD)(アルブミン尿の有無は問わない)が併存する患者の治療において、ナトリウム・グルコース共輸送体1/2(SGLT1/2)阻害薬sotagliflozinはプラセボに比べ、心血管死、心不全による入院、心不全による緊急受診の複合リスクを低下させるが、とくに注目すべき有害事象の頻度は高いことが、米国・ブリガム&ウィメンズ病院のDeepak L. Bhatt氏らが行った「SCORED試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2020年11月16日号で報告された。糖尿病とCKDが併存すると、心不全や虚血性イベントのリスクがいっそう高まる。糖尿病の有無にかかわらず、CKD患者へのSGLT2阻害薬の使用を支持する無作為化試験のデータがあるが、これらの試験は患者選択基準で推定糸球体濾過量の低下に加え顕性アルブミン尿の発現を求めている。一方、CKDが併存する糖尿病患者の治療におけるsotagliflozinの有効性と安全性は十分に検討されていないという。

難治性高コレステロール血症、evinacumabでLDL-C半減/NEJM

 難治性高コレステロール血症患者の治療において、アンジオポエチン様蛋白3(ANGPTL3)の完全ヒト化モノクローナル抗体であるevinacumab(高用量)はプラセボに比べ、LDLコレステロール値を50%以上低下させることが、米国・マウント・サイナイ・アイカーン医科大学のRobert S. Rosenson氏らの検討で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2020年11月15日号に掲載された。ANGPTL3は、リポタンパク質リパーゼや血管内皮リパーゼを阻害することで、脂質代謝の調節において重要な役割を担っている。ANGPTL3の機能喪失型変異を有する患者は、LDLコレステロールやトリグリセライド、HDLコレステロールが大幅に低下した低脂血症の表現型を示し、冠動脈疾患のリスクが一般集団より41%低いと報告されている。evinacumabは、第II相概念実証研究の機能解析で、LDL受容体とは独立の機序でLDLコレステロールを低下させる作用が示唆されている。

高LDL-C値の70歳以上、心筋梗塞・アテローム性心血管疾患リスク増大/Lancet

 非アテローム性心血管疾患・非糖尿病・スタチン非服用で、低比重リポ蛋白(LDL)コレステロールが上昇した70~100歳集団は、心筋梗塞やアテローム性心血管疾患イベントの絶対リスクが最も高いことが、デンマーク・オーフス大学病院のMartin Bodtker Mortensen氏らが行った、同国一般住民を対象とした大規模コホート試験「Copenhagen General Population Study(CGPS)」で明らかにされた。一方で、同70~100歳集団は、同イベントの発症を5年間で1件予防するための必要治療数(NNT)が最も低いことも示された。著者は、「本試験のデータは、増え続ける70~100歳集団の心筋梗塞およびアテローム性心血管疾患の負荷を軽減するために必要な予防戦略にとって重要なものである」と述べている。先行研究では、70歳以上のLDLコレステロール値上昇は同イベント発症リスク増大と関連していないとされていた。Lancet誌2020年11月21日号掲載の報告。