がん化学療法が一般的な治療となり、一般内科でもがん患者を診る機会が多くなりました。この番組では、がん種ごとに、基本的知識、ステージ、主な治療法、化学療法とその副作用をコンパクトに解説。下巻では7つのがんとオンコロジックエマージェンシー、緩和ケアを収録。すべての医療者が自信を持ってがん患者と向き合えるための知識を、腫瘍内科 大山優先生がレクチャーします!
第7回 頭頸部がん
咽頭、口腔、鼻腔など発現部位によって予後や治療法が異なる頭頸部がん。
技術的・機能的に可能な場合は外科的切除、不可能な場合はケモラジ、すなわち放射線治療と化学療法の合わせ技で対応します。
発見前には舌の違和感や出血などで来院することもあり、治療後には口腔内の合併症など、一般医のフォローも必要ですので、ぜひポイントを押さえてください。
第8回 食道がん
食道がんの手術後には、吻合部が狭窄し、嚥下障害を起こすことがあります。唾液が飲み込めないなど、生活に支障を来す患者のQOL改善には一般内科医のフォローが必須!
食道がんは気管、大動脈、心膜、椎体に接するため、浸潤しやすいのが恐ろしい点です。症状のある患者は進行している場合が多く、治癒率も高くないなど、基礎知識も押さえておきましょう。
第9回 肝胆膵がん
肝胆膵がんは病態が多様で、患者ごとの治療選択がとても重要です。肝がんは慢性肝炎や肝硬変の進行具合によって治療が異なり、殺細胞薬はほとんど効果がないこと、膵がんは早期発見が難しく約4%の患者しか完治できないことなど、一般内科医でもこれだけは知っておきたい肝胆膵がんの基本的知識、治療方法、副作用をコンパクトに解説します。
第10回 婦人科がん
今回は子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がんをぎゅっとまとめてレクチャー。
この3つは共通してカルボプラチンとパクリタキセルを使用した化学療法を行います。これだけでも覚えておきたいポイントです。そのほかHPV(ヒト乳頭腫ウイルス)など、一般内科医にも最低限知っておいてほしい婦人科がん知識をお伝えします!
第11回 泌尿器がん
今回は腎がん、尿路上皮がん、前立腺がん、精巣がんをまとめてレクチャーします。
泌尿器がんは患者によって進行のスピードや薬剤反応性などに大きな個人差があるのが特徴です。とくに前立腺がんは緩徐進行性のため治療不要となる場合があり、PSA検診の可否が問題となっています。
新薬開発の目覚しい化学療法や、QOL確保のための膀胱温存療法、ホルモン療法など、一般内科医でも知っておきたいがん知識が満載です!
第12回 造血器腫瘍
造血器腫瘍は遺伝子レベルで病型が細分化され、新薬の登場とともに、治療も複雑化しています。急性白血病や悪性リンパ腫でも、化学療法は比較的有効で、的確な治療と全身管理によって完治できるタイプもあります。初診時に見逃してはならない、メディカルエマージェンシーのポイントを解説します!
第13回 脳腫瘍
脳腫瘍は原発性と転移性に分けられます。原発性の悪性腫瘍は境界が不明瞭なため完全摘出が難しく、手術後に化学放射線療法を行います。転移性脳腫瘍は、原発腫瘍の部位や状態によって治療方法が異なります。なかでも、EGFR遺伝子変異性肺がんのように化学療法高度感受性の原発腫瘍の場合は、転移巣も化学療法が有効となるケースがあります。このように最近は脳腫瘍でも長期予後が期待できる場合もあるので、脳腫瘍治療のエッセンスを一通り覚えておきましょう!
第14回 緊急症
がん患者の容態悪化、Oncologic Emergencyに対応できますか?
一般内科でも外来でがん治療中の患者に遭遇する機会が多くなりました。専門医でなくとも、抗がん剤の副作用や合併症に対応しなければなりません。今回は一般内科医でも是非知っておいてほしい、経過観察してはいけないがんの緊急症について解説します!
第15回 緩和ケア
最終回はがん診療においては必須となる緩和ケア。
とくに疼痛治療の要となるオピオイドについて、開始方法や副作用を説明します。
一般内科でも疼痛ケアや術後のフォローなどを行う機会が増えています。これだけは知っておきたい緩和ケア知識をぜひチェックしてください。