第4回「膵臓・脾臓の基本走査と症例」
苦手に思われることが多い膵臓と脾臓の走査手順とチェックポイントを豊富な病例を用いて明確にお届けします。ポイントがわかると不思議と良く診えてきます。ぜひ苦手意識を克服してください!
膵臓検査のポイントは、膵臓の周囲には消化管があるため、呼吸性の変化や体位変換に加え、探触子で圧を加えることも適宜とり入れることです。また、一度に膵全体を描出するのは困難であるため、短軸や長軸走査で膵臓を部分的に観察しながら、全体を知るという方法でみていきます。この時、膵実質内の低エコー像や、管腔像の有無に注目するのです。脾臓を左肋間走査で描出するには、呼気の状態で、左側壁からの縦断走査では吸気で検査するのがポイント。飲水後の検査では、胃が脾下面に嚢胞状の像を示しますので、疾患との鑑別に注意が必要です。
第5回「腎と尿管の基本走査と症例」
腎臓と尿管の尿路系にアプローチします。腎臓の描出は背臥位で行いますが、腫瘤などが疑われた場合、体位変換を行います。上部尿管結石の走査では、腹臥位で背側からの走査がよいことがあります。また、水腎症がみられた場合、拡張尿管を同定しながら、原因を追求します。
腎と膀胱は尿管で交通されているため、上腹部に留まらないで、膀胱まで一連の検査として行うことが大切です。
第6回「上部消化管の基本走査と症例」
食道・胃・十二指腸などの上部消化管の走査と症例についてお送りします。消化管の超音波検査は、まず最初に腹部臓器の観察を行った後、コンベックスや高分解能探触子により、縦走査や横走査で観察します。また、胃・腸管の拡張病変、肥厚性病変、腫瘍性病変の存在に注目します。患者さんが症状を訴える部位については特に慎重に走査する必要があります。
上部消化管疾患のエコーパターンに習熟することが精度の高い検査につながります。
第7回「下部消化管の基本走査と症例」
下部消化管の検査手順は、まず、腹部臓器の観察をコンベックス型探触子で一通り検査します。もし、腸管に疑わしい像が認められた場合、次に高分解能探触子で念入りに観察します。そして腸管の拡張病変、肥厚性病変、それに腫瘍性病変の存在に注目します。症状を訴える部位については特に慎重に走査します。また、破裂した虫垂や、盲腸後方にある虫垂では見落とす場合があるので慎重な走査と経過観察が重要になります。
下部消化管疾患のエコーパターンに習熟することが、精度の高い検査につながるのです。