第8回「膀胱・前立腺、婦人科の基本走査と症例」
「膀胱・前立腺」および「子宮・卵巣」の検査は、適度な膀胱容量で検査を行うことが大切です。
膀胱・前立腺検査は、縦断走査、横断走査により膀胱・前立腺の描出から消失を繰り返し行います。腫瘍と血腫との鑑別や結石の動きなど、体位変換も適宜採り入れ、リアルタイムで観察します。
前立腺では、大きさ、内部エコー像に注目します。前立腺が膀胱内に突出している場合、膀胱癌と見誤ることがあるので、慎重な走査が必要です。
子宮・卵巣検査は、膀胱を介し子宮・卵巣を縦断走査、横断走査で、画像の描出から消失を繰り返し行います。疾患のチェックポイントをイメージしながら検査を行いますが、子宮筋腫のある場所・大きさ、エコーパターンにより、卵巣腫瘍と、見誤ることがあるので慎重な走査が必要です。また、卵巣嚢腫が大きい場合、左右の鑑別が困難なことがあります。
第9回「腹部大血管、FASTの基本走査と症例」
腹部大血管の前面には、消化管ガスがみられるため、縦断走査、横断走査に加え斜めからの走査も適宜加え走査します。腹部大動脈瘤が認められた場合は、探触子で必要以上に圧力を加えないよう、慎重な走査が必要です。
近年、腹部超音波検査として外傷における「FAST」が提唱されるようになりました。「FAST」は、六つの部位(心膜腔、モリソン窩、右胸腔、左胸腔、脾下面、ダグラス窩)について観察し、echo free spaceだけを見ます。緊急性を要することなので、これ以外の所見について検索するものではありません。
第10回「甲状腺の基本走査と症例」
今回は、「の」の字2回走査法から離れて、甲状腺の基本走査をお送りします。甲状腺の超音波検査では、甲状腺の大きさ、エコーレベルに注目することで、甲状腺の機能的評価が可能です。また内部エコーに注目することで、腫瘤性病変の発見に加え、良性・悪性についても言及することが可能です。甲状腺疾患のエコーパターンに習熟することが、精度の高い検査につながります。症例ファイルとして、亜急性甲状腺炎、頚部食道癌、嚢胞、濾胞腺腫、副甲状腺腫ほかを紹介します。