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本論は、関節リウマチの新しい治療薬として国内では2008年2月に承認された、生物学的製剤の一種である抗TNFαモノクローナル抗体アダリムバブ(商品名:ヒュミラ)の有効性と安全性に関する、国際共同研究グループからの報告。若年性関節リウマチ患児を対象としたもので、Daniel J. Lovell(シンシナティ小児病院医療センター)らは「アダリムバブ療法は有効である」と報告した。NEJM誌2008年8月21日号より。MTX併用有無で有効性を比較非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)投与を受けたことのある活動性若年性関節リウマチの患児(4~17歳)を、抗リウマチ薬メトトレキサート(MTX)使用の有無で層別化し、16週間にわたり隔週で、アダリムバブを体表面積1平方m当たり24mg(最大40mg)皮下投与した。その後16週の時点で、米国リウマチ学会の小児基準「ACR Pedi 30」を有する患児に対して、さらに最大32週間にわたり隔週で、二重盲検下にて無作為に、アダリムバブ投与群とプラセボ投与群に割り付け投与を行った。16週時点でACR Pedi 30を有する患児は、MTX未使用群74%(86例中64例)、MTX併用群では94%(85例中80例)だった。併用群では疾患再燃は有意に低く症状改善の割合も大きい主要転帰の疾患再燃は、MTX未使用患児では、+アダリムバブ投与群43%、+プラセボ投与群71%だった(P=0.03)。MTX併用患児では、+アダリムバブ群37%、+プラセボ群65%であった(P=0.02)。48週の時点で、ACR Pedi 30、同50、同70、同90を有する患児の割合は、MTX併用患児の場合、プラセボ群よりアダリムバブ群のほうが有意に大きかった。しかし、MTX未使用患児の場合は、アダリムバブ群とプラセボ群の間に有意差はなかった。有効率は治療から104週間後も維持された。アダリムバブ投与に関連すると考えられる重篤な有害事象は14例で、このうち7例は重症感染症だった。以上から、「アダリムバブによる治療は、若年性関節リウマチの小児に対する有効な選択肢と考えられる」と結論している。(武藤まき:医療ライター)