消化器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:72

消化性潰瘍の予防法が明確に-『消化性潰瘍診療ガイドライン2020』

 消化性潰瘍全般の国内有病率は減少傾向を示す。しかし、NSAIDs服用患者や抗凝固薬、抗血小板薬服用患者の潰瘍罹患率は増加の一途をたどるため、非専門医による予防対策も求められる。これらの背景を踏まえ、今年6月に発刊された『消化性潰瘍診療ガイドライン2020』(改訂第3版)では、「疫学」と「残胃潰瘍」の章などが追加。また、NSAIDs潰瘍と低用量アスピリン(LDA:low-dose aspirin)潰瘍の予防に対するフローチャートが新たに作成されたり、NSAIDsの心血管イベントに関する項目が盛り込まれたりしたことから、ガイドライン作成委員長を務めた佐藤 貴一氏(国際医療福祉大学病院消化器内科 教授)に、おさえておきたい改訂ポイントについてインタビューを行った(zoomによるリモート取材)。

lirentelimab、好酸球性胃炎・十二指腸炎に有効な可能性/NEJM

 好酸球性胃炎または好酸球性十二指腸炎の患者の治療において、lirentelimab(AK002)はプラセボに比べ、消化管の好酸球数を減少させ、症状を軽減するが、infusion-related reaction(輸注反応)の頻度が高いことが、米国・ノースカロライナ大学チャペルヒル校のEvan S. Dellon氏らが行った「ENIGMA試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2020年10月22日号で報告された。好酸球性の胃炎・十二指腸炎は、消化管粘膜の好酸球増多、慢性症状、QOL低下を特徴とし、適切な治療法は確立されていない。その病因には、マスト細胞の活性化が寄与している可能性があるとされる。AK002は、抗シアル酸結合免疫グロブリン様レクチン8(Siglec-8)抗体であり、好酸球を減少させ、マスト細胞の活性化を阻害する。動物モデルでは、好酸球性胃炎・十二指腸炎の治療薬となる可能性が示されている。

がん診療病院でのCOVID-19クラスター、その教訓は/日本癌治療学会

 市中感染が広がる状況下では、感染者が院内に入り込む可能性や病院内感染発生のリスクが常にある。リスクをいかに減らし、万が一予期せぬ感染者が発覚した場合にどのような対応が必要か、がん診療をどのように維持していけばよいのか。第58回日本癌治療学会学術集会(10月22~24日)で、「COVID-19蔓延期の癌治療―体験と教訓―」と題した会長企画シンポジウムが開かれ、がん診療を担う病院での今春からの経験、実施している対策が相互に共有された。本稿では、加藤 秀則氏(北海道がんセンター)、佐藤 悠城氏(神戸市立医療センター中央市民病院)による発表内容を中心に紹介する。

がん患者の禁煙、継続カウンセリングと補助薬提供が有効/JAMA

 がんの診断を受けた喫煙者の禁煙治療において、継続的な禁煙カウンセリングと禁煙補助薬の無料提供による強化治療は、4週間の短期カウンセリングと禁煙補助薬に関する助言を行う標準治療と比較して、6ヵ月後の禁煙の達成割合が高いことが、米国・マサチューセッツ総合病院のElyse R. Park氏らが実施した「Smokefree Support研究」で示された。研究の成果は、JAMA誌2020年10月13日号に掲載された。がん患者では、喫煙の継続が有害なアウトカムを引き起こす可能性があるが、米国の多くのがんセンターは、エビデンスに基づく禁煙治療をルーチンの治療に十分に導入できていないという。

がん患者・家族、食と体重の悩み5割が「相談できていない」/日本対がん協会

 公益財団法人日本対がん協会 サバイバークラブは、2020年9月30日、全がん種を対象にした、がん患者・家族がかかえる食と体重減少の悩みに関する全国インターネット調査の結果を発表。多くのがん患者・家族が食や体重減少に関する悩みを抱えており、また、相談できていない現状が明らかになった。  調査対象は、がん患者とその家族。調査期間は 2019年10月1日~2019年11月18日、回答数は1,382名(がん患者1,168名、家族214名)であった。 食の悩み6割  「食事について気になることや悩みを感じたことがある」と回答した割合は、患者本人は58%、家族は77%が、全体では61%であった。具体的な食の悩みには「食欲がない」が48%、「味が変わって感じる」40%、「吐き気・嘔吐」37%、体重減少36%などで、さまざまな悩みが混在していることがわかった。

虫垂炎治療、抗菌薬は切除術の代替となるのか/NEJM

 虫垂炎の治療では、抗菌薬治療の効果は虫垂切除術に対し非劣性であるが、抗菌薬治療を受けた患者10例当たり約3例(29%)が90日後までに虫垂切除術を受けており、虫垂結石を有する患者は虫垂切除術や合併症のリスクが高いことが、米国・ワシントン大学のDavid R. Flum氏らが実施した「CODA試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2020年10月5日号に掲載された。60年以上も前(1956年)に、虫垂炎治療における虫垂切除術の代替治療として抗菌薬治療の有効性が報告されているが、長期にわたり虫垂炎の標準治療は虫垂切除術とされてきた。

食道がん患者1次治療、ペムブロリズマブ+化学療法に期待(KEYNOTE-590)/ESMO2020

 国立がん研究センター中央病院の加藤 健氏は 、切除不能な局所進行・転移性食道がん・食道胃接合部がん患者に対する1次治療としてプラチナ化学療法と化学療法とペムブロリズマブの併用療法を比較する無作為化二重盲検第Ⅲ相KEYNOTE-590試験の結果を欧州臨床腫瘍学会(ESMO Virtual Congress 2020)で発表。化学療法単独と比較してペムブロリズマブ併用が無増悪生存期間(PFS)と全生存期間(OS)を統計学的に有意に改善したと報告した。

潰瘍性大腸炎、治療の最適解を導くために必要なこと

 国の指定難病・潰瘍性大腸炎は、安倍元首相の辞任理由として注目を集めたことが記憶に新しい。さまざまな憶測が飛び交い、疾患に対する誤った認識も見られるが、これは正しい理解を広めるチャンスでもある。  先日、ヤンセンファーマが開催した潰瘍性大腸炎セミナーでは、鈴木 康夫氏(東邦大学医療センター佐倉病院 IBDセンター センター長)が、潰瘍性大腸炎の患者が直面する実態と最新治療について講演を行った。

アバター活用など、がんチーム医療教育に新たな取り組み/J-TOP

 一般社団法人オンコロジー教育推進プロジェクトによるジャパンチームオンコロジープログラム (J-TOP) は、The 4th Team Science Oncology Workshopとして、従来3日間で行ってきたオンサイト・ワークショップを、オンラインに変更し、Part 1からPart 3までの3つの期間に分けて実施する。  がん医療で、専門分野に加え必要なスキル、リーダーとして求められる資質、患者満足度の高い医療を提供するためのチームの有機的な動き、などを学ぶ。

胃、食道胃接合部、食道腺がん1次治療におけるニボルマブ+化学療法の成績(CheckMate-649試験)/ESMO2020

 ドイツ・Johannes-Gutenberg大学のMarkus Moehler氏は、HER2陰性の未治療の転移を有する胃、食道胃接合部、食道腺がん患者を対象としたニボルマブ・化学療法併用(NIVO+Chemo群)、ニボルマブ+イピリムマブ併用(NIVO+IPI群)と、化学療法(Chemo群)を比較した無作為化非盲検第III相臨床CheckMate-649試験での、ニボルマブ併用群と化学療法群との比較結果を欧州臨床腫瘍学会(ESMO Virtual Congress2020)で発表。Combined positive score(CPS)5以上のPD-L1陽性患者では、ニボルマブと化学療法併用が化学療法単独と比較して無増悪生存期間(PFS)と全生存期間(OS)の統計学的に有意な延長を認めたと報告した。