消化器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:172

大腸がんに対する軟性S状結腸鏡スクリーニングのベネフィットは?

軟性S状結腸鏡を用いたスクリーニングの効果について、その実施は大腸がんの発生率(遠位・近位大腸がんとも)および死亡率(遠位大腸がんのみ)を有意に低下することが示された。米国・ピッツバーグ大学のRobert E. Schoen氏らが米国内多施設共同による無作為化試験で約15万5,000例のスクリーニング受診者を追跡し報告した。大腸がん検診のための内視鏡スクリーニングの利点は定まっていない。これまで軟性S状結腸鏡スクリーニングのベネフィットを検討する無作為化試験は欧州(英国、イタリア、ノルウェー)で3試験が行われているが、結果は相反する報告が寄せられている。NEJM誌2012年6月21日号(オンライン版2012年5月21日号)掲載報告より。

切除可能なStageII/III大腸がんへの術後化学療法の代替療法としてテガフール坐剤術前投与は有用か?:KODK4多施設無作為化対照試験

切除可能なStageII/III大腸がん患者に対して、術前のテガフール坐剤の投与が、主に遠隔転移を抑えることによって再発を防ぎ生存率を改善する可能性が、Oncology誌オンライン版2012年6月21日号で報告された。この結果から、大腸がんにおける術前治療としてテガフール坐剤の有用性が示唆されるとしている。慶應義塾大学の岡林氏らの報告。

糖尿病有無別でみた低用量アスピリン服用と大出血リスクとの関連

アスピリン服用と大出血リスクとの関連について、人口ベースの大規模コホート研究の結果、アスピリン服用が胃腸や脳の大出血リスクと有意に関連することが示された。また、糖尿病患者と非糖尿病患者とで比較した結果、糖尿病の人は出血リスクが増大することが示されたが、アスピリン服用との独立した関連は認められなかったことが報告された。イタリア・Consorzio Mario Negri SudのGiorgia De Berardis氏らが、410万人のコホートについて行った試験で、JAMA誌2012年6月6日号で発表した。心血管イベント一次予防としての低用量アスピリン服用のベネフィットは、糖尿病有無による格差は比較的小さい。その差は出血リスクによって相殺されてしまう可能性があることから研究グループは、アスピリン服用と大出血リスクとの関連を糖尿病有無別で検討した。

低侵襲食道切除術、切除可能食道がんの術後合併症を低減

切除可能な食道がんの治療では、低侵襲食道切除術が開胸食道切除術に比べ術後の肺感染症の頻度が低く、短期的なベネフィットをもたらすことが、オランダ・アムステルダム自由大学医療センターのSurya S A Y Biere氏らの検討で示された。切除可能な食道がんの唯一の根治的治療は食道切除術とされるが、開胸食道切除術では患者の半数以上に術後の呼吸器合併症の発現がみられる。胸腔鏡と腹腔鏡を用いた低侵襲食道切除術は、術後の肺感染症の合併が少ないため在院日数が短縮することが知られているが、これまで無作為化試験による評価は行われていなかったという。Lancet誌2012年5月19日号(オンライン版2012年5月1日号)掲載の報告。