食道がん患者1次治療、ペムブロリズマブ+化学療法に期待(KEYNOTE-590)/ESMO2020

提供元:ケアネット

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公開日:2020/10/20

 

 国立がん研究センター中央病院の加藤 健氏は 、切除不能な局所進行・転移性食道がん・食道胃接合部がん患者に対する1次治療としてプラチナ化学療法と、化学療法とペムブロリズマブの併用療法を比較する無作為化二重盲検第III相KEYNOTE-590試験の結果を欧州臨床腫瘍学会(ESMO Virtual Congress 2020)で発表。化学療法単独と比較してペムブロリズマブ併用が無増悪生存期間(PFS)と全生存期間(OS)を統計学的に有意に改善したと報告した。

・対象:未治療の転移を有する食道腺がん・扁平上皮がん、食道胃接合部Siewert Type1腺がん患者(PS 0~1)
・試験群:ペムブロリズマブ+化学療法(シスプラチン+5-FU)3週ごと最大35サイクル(ペムブロリズマブ併用療法群、373例)
・対照群:化学療法(同上)(化学療法単独群、376例)
・評価項目:
[主要評価項目]無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)
[副次評価項目]客観的奏効率(ORR)

 主な結果は以下のとおり。

・CPS≧10の食道扁平上皮がんのOS中央値はペムブロリズマブ併用療法群が13.9ヵ月、化学療法群が8.8ヵ月で、ペムブロリズマブ併用療法群で有意な延長を認めた(HR:0.57、95%CI:0.43~0.75、p<0.0001)。
・食道扁平上皮がん全体のOS中央値は、ペムブロリズマブ併用療法群が12.6ヵ月、化学療法群が9.8ヵ月で、ペムブロリズマブ併用療法群で有意な延長を認めた(HR:0.72、95%CI:0.60~0.88、p=0.0006)。
・CPS≧10のOS中央値は、ペムブロリズマブ併用療法群が13.5ヵ月、化学療法群が9.4 ヵ月で、ペムブロリズマブ併用療法群で有意な延長を認めた(HR:0.62、95%CI:0.49~0.78、p<0.0001)。
・全症例のOS中央値はペムブロリズマブ併用療法群が12.4ヵ月、化学療法群が9.8ヵ月で、ペムブロリズマブ併用療法群で有意な延長を認めた(HR:0.73、95%CI:0.62~0.86、p<0.0001)。
・CPS≧10のPFS中央値は、ペムブロリズマブ併用療法群が7.5ヵ月、化学療法群が5.5 ヵ月で、ペムブロリズマブ併用療法群で有意な延長を認めた(HR:0.51、95%CI:0.41~0.65、p<0.0001)。
・全症例のPFS中央値はペムブロリズマブ併用療法群が6.3ヵ月、化学療法群が5.8ヵ月で、ペムブロリズマブ併用療法群で有意な延長を認めた(HR:0.65、95%CI:0.55~0.76、p<0.0001)。
・ORRはペムブロリズマブ併用療法群が45.0%、化学療法群が29.3%であった(p<0.0001)。
・Grade3以上の治療関連有害事象(AE)発現率はペムブロリズマブ併用療法群が71.9%、化学療法群が67.6%、Grade3以上の免疫関連AE発現率はペムブロリズマブ併用療法群が7.0%、化学療法群が2.2%あった。

 今回の結果を受けて加藤氏は「ペムブロリズマブと化学療法の併用療法は、切除不能な局所進行および転移を有する食道がん患者に対する1次治療での新たな標準治療とすべきである」と強調した。

(ケアネット)