産婦人科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:27

外陰部高度扁平上皮内病変でイミキモド外用は手術との比較で非劣性/Lancet

 外陰部の高度扁平上皮内病変(vHSIL)の治療において、外用免疫調節薬イミキモドによる局所療法は、有効性に関して外科手術に対し非劣性で、安全性も良好であり、本症の1次治療となる可能性があることが、オーストリア・グラーツ医科大学のGerda Trutnovsky氏らの検討で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2022年4月25日号で報告された。  本研究は、外陰部上皮内新生物(VIN)の治療における、イミキモドの手術に対する非劣性の検証を目的とする無作為化第III相試験であり、2013年6月~2020年1月の期間に、オーストリアの6つの病院で参加者の登録が行われた(オーストリア科学基金とオーストリア婦人科腫瘍グループの助成を受けた)。  対象は、年齢18~90歳の女性で、組織学的にvHSILと確定され、肉眼的に単巣性または多巣性病変を有する患者であった。主な除外基準は、(1)臨床的に浸潤性病変が疑われる、(2)外陰がんまたは外陰部の重度の炎症性皮膚症の既往がある、(3)過去3ヵ月以内にvHSILに対する積極的な治療を受けている場合であり、免疫不全状態、妊娠中、授乳中の女性も除外された。  被験者は、イミキモド(5%クリーム)の投与または手術(切除術またはアブレーション)を受ける群に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。イミキモドは、緩やかな増量計画に基づき、4~6ヵ月間にわたり最大で週3回、患者自身により塗布された。ベースライン、6ヵ月、12ヵ月の時点で、外陰部鏡検査、外陰部生検、ヒトパピローマウイルス(HPV)検査、患者報告アウトカムの評価が行われた。  主要エンドポイントは、局所イミキモド治療または1回の外科的介入から6ヵ月の時点での臨床的完全奏効(CCR)であった。CCRは、外陰部病変の臨床的証拠がないこと(原発病変の完全消失)と定義された。解析はper protocol集団で行われ、非劣性マージンは20%とされた。

妊娠中の新型コロナウイルス感染症へのワクチン接種は妊娠中合併症リスクに影響せず(解説:前田裕斗氏)

新型コロナウイルス感染症に妊娠中感染することで早産や妊娠高血圧症候群などの妊娠合併症のリスクが上昇することが報告されている。一方、妊娠中のワクチン接種には根強い抵抗があり、臨床現場でもその安全性について質問される機会も多い。これまでも妊娠中ワクチン接種と妊娠合併症の関係を調査した論文は多かったが、病院ベースや高リスク群を対象としたものが多かった。そこで本研究ではノルウェー、スウェーデンのある期間中における全妊娠を対象としている。早産(37週未満、32週未満)、死産、SGA(週数に比して低体重)、新生児仮死、NICU入院のリスクについて解析が行われ、いずれの項目についてもワクチン接種群、非接種群で発生率に差は認めなかった。むしろ、ノルウェーにおけるNICU入院はワクチン接種群でわずかに減少した。

高血圧合併妊娠において、非重症域の高血圧症の妊婦、目標<140/90mmHgの積極的治療が有用(解説:三戸麻子氏)

これまで、母体死亡等の重篤な合併症を防ぐ目的から、160/110(105)mmHg以上の重症域の高血圧に対しては、降圧加療を行うことは共通の認識があった。しかし、140/90mmHg以上160/110(105)mmHg未満の非重症域の高血圧に対する治療方針は、一定していなかった。その理由は、妊娠中の降圧は母体の重症高血圧への移行を防ぐものの、他の母児合併症を改善させられるのかどうか、また児への血流不全による胎児発育遅延の懸念や、降圧薬を使用すること自体による児への悪影響が懸念されていたからである。2015年にMageeらによるControl of Hypertension in Pregnancy Study(CHIPS)の結果が報告され、妊娠中の拡張期血圧85mmHgを目標に降圧した群(tight control群)では、拡張期血圧100mmHgを目標に降圧した群(less tight control群)と比較して、児への悪影響を認めることなく、母体の重症高血圧への移行を有意に防げたことが示された。また、その後の追加解析で、重症高血圧を認めること自体が、母体だけではなくpregnancy lossや児の48時間以上のNICU入室といった複合アウトカムと関連していることが示された。しかし米国は、非重症域の高血圧に対し降圧加療を行うことが、母児両方にメリットがあることを示すには、CHIPStrialではパワー不足であるとし、降圧開始基準を重症高血圧に据え置いていた。

BRCA1/2遺伝子の病的バリアント、新たに3がん種との関連が明らかに/JAMA Oncol

 BRCA1/2遺伝子の病的バリアントは、乳がん、卵巣がん、前立腺がん、膵がんの発症リスク上昇に関与することが知られている。今回、日本人集団における世界最大規模のがん種横断的ゲノム解析が実施され、BRCA1/2遺伝子の病的バリアントは上記4がん種のほかに胃がん、食道がん、胆道がんの発症リスクも上昇させることが示唆された。理化学研究所生命医科学研究センターの桃沢 幸秀氏らによるJAMA Oncology誌オンライン版2022年4月14日号への報告。  研究グループは、2003年4月~2018年3月にバイオバンク・ジャパンに登録されたデータを用いて、胆道がん、乳がん、子宮頸がん、大腸がん、子宮体がん、食道がん、胃がん、肝がん、肺がん、リンパ腫、卵巣がん、膵がん、前立腺がん、腎がんの14がん種における計10万3,261人(患者群6万5,108人、対照群3万8,153人)について、BRCA1/2遺伝子のゲノム解析を実施。データの解析は、2019年8月~2021年10月に行われた。

睡眠、不安、ビタミンDと周産期うつ病リスク

 周産期うつ病の頻度は高く、死亡率に影響を及ぼす疾患である。米国・サウスカロライナ医科大学のCourtney E. King氏らは、周産期うつ病リスクに影響を及ぼす修正可能な心理学的および生物学的因子を特定するため、検討を行った。その結果、妊娠初期の睡眠、不安および潜在的なビタミンD不足は、周産期うつ病リスクの増加と関連していることが示唆された。Reproductive Sciences誌オンライン版2022年3月29日号の報告

2ヵ月1回の注射が女性をHIV感染から守る(解説:岡慎一氏)

性交渉によるHIV感染に対するリスクグループは、不特定多数を相手にする男性同性愛者(men who have sex with men:MSM)およびcommercial sex worker(CSW)を中心とした女性である。性交渉によるHIV感染予防には、コンドームの使用などsafer sexの実施が推奨されてきたが、それだけでは不十分であることが、多くの疫学データから示されていた。一方、MSMにおいては、10年以上前よりHIVウイルスに曝露する前に予防的にTDF-FTC(今回のコントロール薬)を服用する曝露前予防(Pre-Exposure Prophylaxis:PrEP)の有効性が証明されており、すでに90ヵ国以上の国でPrEPが実施されている。WHOも2015年にPrEPを強く推奨するガイドラインを出しているが、残念ながら日本では2022年5月現在まだ承認されていない。

女性のHIV感染予防にcabotegravirが有益/Lancet

 女性のヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染予防において、長時間作用型注射剤cabotegravirは、1日1回経口投与のテノホビル ジソプロキシルフマル酸塩+エムトリシタビン(TDF-FTC)と安全性・忍容性・有効性は同等であることが、南アフリカ共和国・ウィットウォーターズランド大学のSinead Delany-Moretlwe氏らによる「HPTN 084試験」の結果、示された。サハラ以南のアフリカ諸国を含む70ヵ国以上で経口避妊薬は導入されているが、スティグマや批判の声、暴力を振るわれる恐れといった日々の服用に対する高い障壁が存在することから、長時間作用型製剤が求められていた。結果を踏まえて著者は、「女性のHIV予防のための効果的な選択肢の拡充が、とくに必要性が最も高い状況にある女性にとって喫緊に求められていることから、今回のデータは、cabotegravirを選択肢に加えることを支持するものである」とまとめている。Lancet誌オンライン版2022年4月1日号掲載の報告。

非重症の高血圧症の妊婦、目標<140/90mmHgの積極的治療が有用/NEJM

 <160/100mmHgの非重症の高血圧症の妊婦では、血圧目標値<140/90mmHgの介入戦略が、重症高血圧症となった場合のみ介入する戦略よりも、在胎不当過小児(SGA児)のリスクを増大することなく良好な妊娠アウトカムと関連することが示された。米国・アラバマ大学のAlan T. Tita氏らが、非盲検多施設共同無作為化試験の結果を報告した。妊娠中の非重症の高血圧症治療の有益性と安全性は、明らかになっておらず、血圧目標値<140/90mmHgの介入戦略が、胎児の成長を損なうことなく有害妊娠アウトカムを低減するのかについてデータが求められていた。NEJM誌オンライン版2022年4月2日号掲載の報告。

HPVワクチン接種者へのスクリーニング、陽性者にはコルポスコピーを/BMJ

 子宮頸がんの予防では、ヒトパピローマウイルス(HPV)の1次スクリーニングは細胞診よりも有効性が高いとされる。オーストラリア・シドニー大学のMegan A. Smith氏らは、これまでに十分な検討が行われていないHPVワクチン接種を受けた女性における子宮頸がんの1次スクリーニング検査の効果を評価し、コルポスコピー検査導入の決定に際しては、基本となるがんのリスクを考慮する必要があり、これに基づいてHPVスクリーニング検査を行えば、その結果がHPV16/18陽性の女性では、細胞診の結果にかかわらず、過去に繰り返しスクリーニング検査を受けている女性であっても、コルポスコピー検査で前がん病変やがんが発見される可能性が高いことを示した。研究の詳細は、BMJ誌2022年3月30日号に掲載された。  研究グループは、オーストラリアのHPVワクチン接種済みの女性において、子宮頸がんの1次スクリーニング検査プログラムの開始から2年間の実態を調査する目的で、観察研究を行った(筆頭著者らはオーストラリア国立保健医療研究評議会[NHMRC]から給与支援を受けた)。  対象は、2017年12月1日~2019年12月31日の期間にHPVの1次スクリーニング検査を受けた女性であった。

子宮頸がん撲滅に向けて:HPVワクチン接種の意義とは

 2022年3月29日、MSD株式会社は子宮頸がん予防に関するメディアセミナーを開催した。  今回のセミナーでは、「子宮頸がん予防の重要性ついて」を近藤 一成氏が、「ワクチン接種を検討する方へ伝えるべきポイント」について勝田 友博氏が説明した。  主要先進7ヵ国、G7の中で日本は子宮頸がん罹患率が最も高く、年間約1万人が子宮頸がんに罹患し、約3,000人が死亡している。2019年の1年間であれば、死亡者のうち571人が25~49歳と若年の女性であった。つまり、子宮頸がん予防の遅れが課題となっている。