産婦人科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:26

子宮頸がん撲滅に向けて:HPVワクチン接種の意義とは

 2022年3月29日、MSD株式会社は子宮頸がん予防に関するメディアセミナーを開催した。  今回のセミナーでは、「子宮頸がん予防の重要性ついて」を近藤 一成氏が、「ワクチン接種を検討する方へ伝えるべきポイント」について勝田 友博氏が説明した。  主要先進7ヵ国、G7の中で日本は子宮頸がん罹患率が最も高く、年間約1万人が子宮頸がんに罹患し、約3,000人が死亡している。2019年の1年間であれば、死亡者のうち571人が25~49歳と若年の女性であった。つまり、子宮頸がん予防の遅れが課題となっている。

妊娠中のコロナワクチン接種、周産期アウトカムへの影響は?/JAMA

 妊娠中の女性に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンを接種しても、妊娠終了後の接種や非接種と比較して、母子における有害な周産期アウトカムのリスクの増加はほとんどみられないことが、カナダ・オタワ大学のDeshayne B. Fell氏らの検討で示された。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2022年3月24日号に掲載された。  研究グループは、妊娠中のCOVID-19ワクチン接種の、周産期のアウトカムに及ぼす影響の評価を目的に、人口ベースの後ろ向きコホート研究を行った(カナダ公衆衛生庁の助成を受けた)。  解析には、カナダ・オンタリオ州のCOVID-19予防接種データベース(COVaxON)と連携させた出生レジストリ(Better Outcomes Registry & Network[BORN] Ontario)の2020年12月14日~2021年9月30日のデータが用いられた。

HPVワクチン積極的勧奨再開にあわせたイベント&患者説明用フライヤー

 HPVワクチンは2013年に定期接種の対象となったが、その後に相次いで副反応疑いの事例が報告されたため、厚労省は接種を個別に呼びかける「積極的勧奨」を中断していた。その後、ワクチンの有効性に関するエビデンスが蓄積し、さらにはワクチン接種後の多様な症状とワクチン接種の関係を否定する報告などを背景に、今年4月より9年振りに積極的勧奨が再開されている。  今回の勧奨再開によって、定期接種の対象となる小学校6年生~中学3年生相当年齢の女子に対し、自治体から接種の案内が送付されるようになる。無料接種が可能なのは2価・4価ワクチンで、9価ワクチンや男性の接種は自費となる。併せて、積極的勧奨中断で接種機会を逃した1997~2006年生まれの女性が無料で接種を受けられる「キャッチアップ接種」や、定期接種の対象期間を過ぎて自費で接種を受けた人へ接種費用を払い戻す制度も用意されている。

妊婦への新型コロナワクチン、胎児への悪影響なし/JAMA

 妊娠中の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対するワクチンの接種は、非接種者と比べて有害妊娠アウトカムのリスク増大と有意に関連しないことが示された。ノルウェー・Norwegian Institute of Public HealthのMaria C. Magnus氏らが、スウェーデンとノルウェーの妊婦約16万人を対象に行った、後ろ向きコホート試験の結果を報告した。結果について著者は「ワクチン接種の大多数は、妊娠第2~3期にmRNAワクチンを使用して行われており、今回の調査結果で考慮すべき点である」と述べている。妊娠中の新型コロナワクチンの安全性に関するデータは限定的であった。JAMA誌オンライン版2022年3月24日号掲載の報告。

「非心臓手術症例」の静脈血栓予防におけるDOACと低分子ヘパリンの効果のネットワークメタ解析?(解説:後藤信哉氏)

筆者は題名を見て奇妙だなと思った。整形外科術後の静脈血栓リスクが高いことは広く知られている。がんの症例の血栓イベントリスクも高いと思う。しかし、本研究では「非心臓手術症例」を対象としている。方法の部分で著者も記載しているように、血栓リスクの高い整形外科手術とそうでない非整形外科手術をあえて研究対象として包括したとしている。血栓リスクの高い症例と低い症例をあえて包括して論じる意味は出血が不可避な「手術」に対するDOACと低分子ヘパリンの有効性と安全性に注目したのであろうか? 結果の実臨床への応用は難しいけれど題名の通りに抗凝固薬のbenefitとharmに関するエビデンスの提供を目指した研究かもしれない。

挿管早産児へのヒドロコルチゾン、気管支肺異形成症を抑制せず/NEJM

 気管支肺異形成症は超早産の生存児の約半数にみられる合併症で、機械的人工換気による炎症もその発症に寄与している可能性があるという。米国・ニューメキシコ大学健康科学センターのKristi L. Watterberg氏らEunice Kennedy Shriver国立小児保健・人間発達研究所(NICHD)新生児研究ネットワーク(NRN)は、出生後に挿管を受けた早産児を対象に出生から2週以降にヒドロコルチゾンの10日間漸減治療を開始する方法の有効性を検討し、プラセボと比較して中等度または重度の気管支肺異形成症のない生存割合を改善しなかったと報告した。研究の詳細はNEJM誌2022年3月24日号に掲載された。  本研究は、米国の19施設が参加した二重盲検プラセボ対照無作為化試験であり、2011年8月22日~2018年2月4日の期間に新生児の登録が行われた(米国国立衛生研究所[NIH]の助成を受けた)。

周産期における境界性パーソナリティ障害の有病率~メタ解析

 境界性パーソナリティ障害(BPD)は、重度の情緒不安定や対人機能低下を特徴とする精神疾患である。これまでの文献では、周産期におけるBPDは非BPDと比較し、さまざまな生理学的および心理社会学的アウトカムの有害リスクが高いことが示唆されている。しかし、これまで妊娠中および産後のBPDおよびBPDの特徴(BPF)を有する割合を調査したシステマティックレビューは行われていなかった。カナダ・マックマスター大学のDivya Prasad氏らは、周産期のBPDおよびBPFの有病率を調査するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Archives of Women's Mental Health誌オンライン版2022年2月26日号の報告。

非心臓手術の血栓予防、DOAC vs.低分子量ヘパリン/BMJ

 非心臓手術を受ける患者の血栓予防において、直接経口抗凝固薬(DOAC)と低分子量ヘパリン(LMWH)はいずれも、これらの投与を行わない場合に比べ症候性静脈血栓塞栓症の発現を抑制するが、これらの薬剤は同程度に大出血を増加させる可能性があり、DOACによる症候性静脈血栓塞栓症の予防効果はLMWHよりも大きいと考えられることが、カナダ・マックマスター大学のMaura Marcucci氏らの検討で示された。研究の成果は、BMJ誌2022年3月9日号で報告された。  研究グループは、非心臓手術を受ける患者の血栓予防において、DOACとLMWHが、有益性と有害性に及ぼす影響を評価する目的で、文献の系統的レビューとネットワークメタ解析を行った(特定の研究助成は受けていない)。

女性が輝く社会を目指す、PMSと片頭痛への対処法とは

 3月1日から8日までの「女性の健康」週間に先立ち、2022年2月24日、大塚製薬株式会社は女性の健康分野の疾患・健康啓発を目的としたオンラインメディアセミナーを開催した。セミナーでは西山 和枝氏(大塚製薬 女性の健康推進プロジェクト リーダー)、尾西 芳子氏(産婦人科医)、五十嵐 久佳氏(富士通クリニック 内科 頭痛外来)の3名が登壇し、月経前症候群(以下、PMS)および片頭痛をテーマに講演を行った。  1人目の登壇者である西山氏は、「働く女性の健康意識調査について」と題した講演を行い、女性が抱える健康に関する悩みについて調査した結果を報告した。西山氏によると、働く女性の約半数はPMS症状および更年期症状を自覚しており、自覚がない人も含めると70~80%の女性に症状が現れているという。また、そうした症状によって昇進を諦めたり退職してしまったりする人も少なくない。一方で、PMS症状や更年期症状を会社内で相談できない場合も多く、PMS症状に対しては約60%、更年期症状に対しては約40%の女性が対策を企業に求めていることが明らかとなった。  こうした結果から西山氏は「企業は働く女性たちが抱える課題を把握して、個人の対処だけに任せず『企業ごと』と捉えて対策を投じることが重要である。」と訴えた。

日本人再発・進行子宮頸がん患者に対するtisotumab vedotinの効果~innovaTV206試験~/日本臨床腫瘍学会

 子宮頸がんは子宮がんの約7割程度を占めるがんであり、日本国内では、毎年約1万人の女性が罹患し、約3,000人が死亡している。2000年以降、患者数も死亡率も増加しており、新しい治療薬の登場が待たれていた。  tisotumab vedotinは子宮頸がん細胞に発現するタンパク質である組織因子を標的とした、抗体薬物複合体(ADC)である。化学療法による治療中または治療後に病勢進行がみられる再発または転移性子宮頸がんを適応として、2021年に米国食品医薬品局(FDA)から迅速承認を取得している。