産婦人科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:31

早期妊娠高血圧腎症、分娩時期の延伸にメトホルミンが有用/BMJ

 早期妊娠高血圧腎症を発症した妊婦(妊娠26~32週)への徐放性メトホルミン投与は、妊娠期間を延長できることが、南アフリカ共和国・ステレンボッシュ大学のCatherine A. Cluver氏らが行った無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果、示された。投与群はプラセボ群と比較して妊娠期間が1週間延長し、出生児の新生児室入室期間を短縮できることが示された。著者は、「今回の試験で早期妊娠高血圧腎症の治療は可能であることが実証されたが、さらなる試験を行う必要はある」とまとめている。BMJ誌2021年9月22日号掲載の報告。  無作為化試験は南アフリカ共和国・ケープタウンの紹介制病院で行われた。妊娠26+0週~31+6週の待機的管理を受けている妊婦180例を無作為に2群に割り付け、徐放性メトホルミン(3g/日を分割投与、90例)またはプラセボ(90例)を分娩時まで投与した。

ADHD児の睡眠問題と母親のメンタルヘルスとの関連

 小児の注意欠如多動症(ADHD)では、一般の小児と比較し、睡眠障害が多く認められる。また、ADHD児の両親は、メンタルヘルスに問題を抱える割合が高いことが知られている。この関連は横断研究では報告されているものの、縦断研究は実施されていなかった。オーストラリア・ディーキン大学のChristina A. Martin氏らは、ADHD児の睡眠障害と母親のメンタルヘルス問題(全体的なメンタルヘルス、うつ病、不安、ストレス)との潜在的な双方向の関連を12ヵ月間調査した。Journal of Attention Disorders誌2021年9月号の報告。

ペムブロリズマブ+化学療法、子宮頸がん1次治療の生存改善(KEYNOTE-826)/ESMO2021

 欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2021)において、ペムブロリズマブ+化学療法±ベバシズマブの子宮頸がん1次治療による生存の改善が報告された。  KEYNOTE-826試験は、全身化学療法未実施の再発または転移を有する子宮頸がん患者617例を対象に、ペムブロリズマブ+化学療法±ベバシズマブとプラセボ+化学療法±ベバシズマブを比較した無作為化第III相試験。  主要評価項目である全生存期間(OS)は、全対象患者でペムブロリズマブ群24.4ヵ月に対し、プラセボ群16.5ヵ月(ハザード比[HR] :0.67、95%信頼区間[CI]: 0.54~0.84)、もう1つの主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)も、ペムブロリズマブ群10.4ヵ月に対し、プラセボ群8.2ヵ月と、ペムブロリズマブの併用により有意に延長した(HR:0.65、95%CI:0.53〜0.79、p<0.001)。 ペムブロリズマブ群のPFSおよびOSの改善は、PD-L1陽性レベル(CPS)を問わず示されている。

交互接種・コアリング防止など追記、新型コロナ予防接種の手引き/厚労省

 厚生労働省は、2021年9月21日に「新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施に関する手引き(4.1版)」を公開した。  この手引きは、2020(令和2)年12月17日に初版が公開され、逐次新しい知見やエビデンスを追加し、ほぼ毎月改訂を重ねてきた。  今回の主な改訂点は下記の通りである。 【第3章 3(10):妊娠中の者等への接種体制の確保について追記】 妊娠中に新型コロナウイルスに感染すると、特に妊娠後期は重症化しやすく、早産のリスクも高まるとされている。妊娠中の者及び配偶者等(以下「妊娠中の者等」という)が希望する場合には、できるだけ早期に、円滑に新型コロナワクチンの接種を受けることができるよう、例えば、予約やキャンセル待ちに当たって妊娠中の者等を可能な範囲で優先する、現時点で妊娠中の者等が年齢等によって必ずしも接種予約の対象となっていない場合には妊娠中の者等を接種予約の対象とする、といった方法により、特段の配慮をすること。

分娩様式と産後うつ病との関連~JECS研究

 産後うつ病は、母親の自殺などを含む健康への悪影響と関連している。分娩様式は、産後うつ病のリスク因子といわれているが、この関連を調査した大規模コホート研究は、あまり行われていなかった。大阪大学の馬場 幸子氏らは、出産1ヵ月後および6ヵ月後における分娩様式と産後うつ病リスクとの関連を調査した。Journal of Epidemiology誌オンライン版2021年7月31日号の報告。  単生児出産の母親8万9,954人を対象とした全国調査のデータを用いて、出産方法と産後うつ病との関連を調査した。産後うつ病の評価は、出産1ヵ月後および6ヵ月後にエジンバラ産後うつ病評価尺度(13点以上)を用いて測定した。産後うつ病のオッズ比(OR)および95%信頼区間(CI)を算出するため、出産前の身体的、社会経済的、精神的要因で調整した後、多変量ロジスティック回帰分析を用いた。

麻酔を用いた出産と産後うつ病との関連~JECS研究

 産後うつ病は、出産後の女性が経験する最も一般的な精神疾患の1つであり、多くは1年以内に発症する。名古屋市立大学の鈴森 伸宏氏らは、日本において麻酔を用いた分娩が産後うつ病リスクの減少に影響を及ぼすかについて、検討を行った。BMC Pregnancy and Childbirth誌2021年7月23日号の報告。  麻酔を用いた分娩には、硬膜外麻酔、脊髄くも膜下硬膜外麻酔、傍頸管ブロックを含めた。日本におけるプロスペクティブコホート研究であるJECS(子どもの健康と環境に関する全国調査)に登録された日本全国15地域の胎児記録データ10万4,065件を用いて検討を行った。麻酔の有無にかかわらず分娩様式と出産後1、6、12ヵ月の産後うつ病との関連について調整オッズ比(aOR)を算出するため、二項ロジスティック回帰分析を用いた。

妊婦のケアを厚く追記した改訂COVID-19診療の手引き/厚生労働省

 8月31日、厚生労働省は「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き 第5.3版」を公開した。  今回の改訂では、以下の5点が追記・修正された。 【2 臨床像の「5.小児例の特徴」の重症度、家族内感染率などについて一部追記】  最新(2021年8月時点)の陽性患児の特徴などが追加された。 【4 重症度分類とマネジメントの「5.妊産婦の管理」の項を追加】  追加項目では、自宅療養中の妊婦の訪問時の確認事項、妊婦への指導事項のほか、妊婦搬送の判断の注意点、産科的管理以外のバイタルの留意事項、COVID-19患者の妊婦から産まれた新生児への検査が追加された。

妊娠前の睡眠時間と産後うつ病~日本での多施設共同研究

 産後うつ病は、世界における主要な公衆衛生上の問題であり、臨床的優先事項として挙げられている。名古屋大学の松尾 聖子氏らは、妊娠前の睡眠時間と産後うつ病との関連について、調査を行った。Archives of Women's Mental Health誌オンライン版2021年7月13日号の報告。  日本の産婦人科病院12施設より収集した2014~18年に出産した女性の臨床データを用いて、多施設共同レトロスペクティブ研究を実施した。対象女性1万5,314人を妊娠前の睡眠時間に応じて5群に分類した(6時間未満、6~7時間、7~8時間、8~9時間、9時間以上)。妊娠前の睡眠時間が産後1ヵ月間のエジンバラ産後うつ病質問票(EPDS)のスコアに影響を及ぼすかを判断するため、単変量および多変量回帰分析を行った。また、産後うつ病リスクが、妊娠前の睡眠時間に応じて分類された女性において、以前の出産経験の有無により異なるかについても評価した。

「遺伝性乳癌卵巣癌(HBOC)ガイドライン」刊行、ポイントは?

 遺伝性乳癌卵巣癌(HBOC)の診療に関しては、2017年に「遺伝性乳癌卵巣癌(HBOC)診療の手引き」が刊行されている。HBOC既発症者へのリスク低減手術の保険収載や、膵がん・前立腺がんへのPARP阻害薬の承認など、遺伝子検査に基づく治療・マネジメントがいっそう求められる中、Minds「診療ガイドライン作成マニュアル2017」を遵守する形で、今回新たにガイドラインがまとめられた。2021年8月7日、webセミナー「遺伝性乳癌卵巣癌(HBOC)診療ガイドライン 2021年版の解説(主催:厚生労働科学研究費補助金[がん対策推進総合研究事業]「ゲノム情報を活用した遺伝性腫瘍の先制的医療提供体制の整備に関する研究」班)が開催され、各領域のポイントが解説された。

妊娠中のコロナ自宅療養、異常時の対応指針まとめる/日産婦

 新型コロナウイルスに感染して自宅療養中の妊婦が、受け入れ先が見つからずに自宅で早産し、新生児が必要な治療を受けられないまま死亡した千葉県の事案を受け、日本産科婦人科学会と日本産婦人科医会が、自宅などで療養する妊婦の異常時の対応指針をまとめ、8月23日付で各々の公式ページに掲出した。妊婦に向けては、すぐに救急車を要請すべきケースとして、「息苦しく、短い文章の発声もできない」もしくは「酸素飽和度(SpO2)92%以下」と具体的に指示している。  「自宅や宿泊療養施設(ホテル等)の新型コロナウイルス感染妊婦に関する対応について」と題した対応指針は、妊婦と産科医療機関、行政機関それぞれに向けて出されている。新型コロナを巡っては、全国的に新規感染者数が膨れ上がる中、各地で入院療養のキャパシティの限界に近付きつつある。患者が基礎疾患を有していたり、妊娠中であったりしても同様で、症状に応じて自宅療養や宿泊療養を余儀なくされるのが現状だ。とくに後期(8ヵ月以降、妊娠28週以降)の感染では、わずかながらも重症化しやすいとされている。そうした医療者が直ちに目視できない状況下では、患者自身がどう対応すべきか判断できる具体的な指針がとても重要だ。