産婦人科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:32

妊婦へのコロナワクチン接種をメタ解析、NICU入院や胎児死亡のリスク減

 妊娠中のCOVID-19ワクチン接種による周産期アウトカムへの影響について、有効性と安全性を評価するため、筑波大学附属病院 病院総合内科の渡邊 淳之氏ら日米研究グループによりシステマティックレビューとメタ解析が行われた。本研究の結果、ワクチン接種が新生児集中治療室(NICU)入院、子宮内胎児死亡、母親のSARS-CoV-2感染などのリスク低下と関連することや、在胎不当過小(SGA)、Apgarスコア低値、帝王切開分娩、産後出血、絨毛膜羊膜炎などといった分娩前後の有害事象のリスク上昇との関連がないことが示された。JAMA Pediatrics誌オンライン版2022年10月3日号に掲載の報告。

喫煙妊婦、金銭的報奨で禁煙率が2倍以上に/BMJ

 英国の妊娠中の喫煙者では、現行の禁煙サービスに加え、妊婦の禁煙のための最大400ポンドの金銭的報奨を提供すると、禁煙率が2倍以上に向上し、重篤な有害事象は増加しなかったことが、英国・グラスゴー大学のDavid Tappin氏らが実施した無作為化試験「CPIT III試験」で示された。研究の成果は、BMJ誌2022年10月19日号で報告された。  CPIT III試験は、妊婦向けの禁煙支援としての金銭的な報奨の有効性の評価を目的とする実践的な単盲検無作為化第III相試験であり、2018年1月9日~2020年4月4日の期間に、スコットランド、北アイルランド、イングランドの7つの産科病院で参加者の登録が行われた(Cancer Research UKなどの助成を受けた)。

妊娠高血圧症候群、出生児は全死因死亡リスクが26%高い/BMJ

 妊娠高血圧症候群(HDP)、とくに子癇および重症妊娠高血圧腎症の母親から生まれた児は、最長41年間(中央値19.4年)の追跡期間における全死亡、ならびに消化器疾患、周産期に起因する疾患、内分泌・栄養・代謝疾患および心血管疾患による原因別死亡のリスクが高いことが、中国・復旦大学のChen Huang氏らによるデンマークの国民健康登録を用いたコホート研究の結果、示された。HDPは、母体および胎児の発病や死亡の主な原因の1つであるが、母親のHDPが児の出生から青年期以降の長期にわたる死亡に及ぼす影響については明らかになっていなかった。BMJ誌2022年10月19日号掲載の報告。

日本人女性における妊娠中のペットとの暮らしと産後1年までの精神症状~JECS研究

 これまで、ペットとの暮らしとメンタルヘルスとの関連についてさまざまな集団で調査されてきたが、精神症状に対する脆弱性が高まる出産前後の女性を対象とした研究は、あまり行われていなかった。富山大学の松村 健太氏らは、出産前後の女性におけるペットとの暮らしとメンタルヘルスとの関連について、調査を行った。その結果、周産期および産後の母親のメンタルヘルスに対し犬との暮らしは予防的に働き、猫との暮らしはリスク因子になることが示唆された。Social Science & Medicine誌2022年9月号の報告。

母親の産後うつ病と子供のADHDとの関係~メタ解析

 産後うつ病(PPD)は、出産後、女性のメンタルヘルスや気分に重大な影響を及ぼす。これまでの研究によると、家族にとっての不運な出来事や母親の精神症状の出産後のレベルが、子供の注意欠如多動症(ADHD)と関連していることが示唆されている。ギリシャ・アテネ大学のVasileia Christaki氏らは、母親のPPDと子供のADHDリスクとの関連を調査するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。その結果、母親のPPDと子供のADHDとの関連が明らかとなったが、同時にさまざまな地理学的地域におけるさらなる研究が必要であることも示唆された。Journal of Affective Disorders誌2022年12月1日号の報告。

育児期の母親の超加工食品摂取で子の肥満リスク増/BMJ

 育児期の母親の超加工食品摂取は、母親および子のライフスタイルリスク因子とは関係なく、子の過体重や肥満のリスク増加と関連するという。米国・マサチューセッツ総合病院・ハーバード大学医学部のYiqing Wang氏らが、3つの前向きコホート試験データを解析して示した。著者は、「さらなる研究を行い、今回示された所見を確認し、根底にある生物学的メカニズムおよび環境決定要因を解明する必要がある」と述べるとともに、「いずれにせよ今回のデータは、子の健康を守るために、妊娠可能年齢の女性の食事に関する推奨事項の重要性と、栄養を改善するためのプログラム開発を支持するものである」とまとめている。BMJ誌2022年10月5日号掲載の報告。

妊娠糖尿病、リスク因子の適切な修正で2型DM発症回避か/BMJ

 研究グループは、妊娠糖尿病の既往がある女性において、5つの修正可能なリスク因子と2型糖尿病リスクとの個別および複合的な関連の評価を目的に、前向きコホート研究を実施した(米国・ユーニス・ケネディ・シュライバー国立小児保健・人間発達研究所の助成を受けた)。  対象は、米国のNurses’ Health Study II(NHS II)の参加者のうち、妊娠糖尿病の既往歴があり、体重と生活様式関連因子の反復的な評価が行われ、1991~2009年の期間にフォローアップを受けた女性であった。  2型糖尿病の修正可能な5つのリスク因子について評価が行われた。(1)過体重・肥満でない(BMI<25.0)、(2)質の高い食事(修正代替健康食指数の上位5分の2)、(3)定期的な運動(150分/週以上の中強度の運動または75分/週以上の高強度の運動)、(4)適度なアルコール摂取(5.0~14.9g/日)、(5)非喫煙。  2型糖尿病の遺伝的感受性は、2型糖尿病と関連する59の一塩基多型に基づく遺伝的リスクスコアで評価された。

妊娠糖尿病歴あり、心血管・脳血管疾患リスクが45%増/BMJ

 妊娠糖尿病歴は、心血管・脳血管疾患全体および個々の疾患のリスク増加と関連しており、その関連は従来の心血管リスク因子やその後の糖尿病発症に起因しないことが、中国・北京大学第一医院のWenhui Xie氏らによるシステマティックレビューおよびメタ解析の結果、明らかとなった。妊娠糖尿病歴がある女性では、心血管疾患全体のリスクが高いことが認識されてきているが、特定の心血管・脳血管疾患や静脈血栓塞栓症に対する妊娠糖尿病の影響は不明な点が多かった。BMJ誌2022年9月21日号掲載の報告。

妊婦コロナ患者、中等症以上になる3つのリスク/成育医研・国際医研

 国立成育医療研究センター 感染症科の庄司 健介氏と国立国際医療研究センター 国際感染症センター・AMR臨床リファレンスセンターの都築 慎也氏らの研究チームは、デルタ株・オミクロン株流行期における妊婦の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)入院例の臨床的な特徴を分析した研究結果を発表した。  本研究は、国立国際医療研究センターが運営している国内最大のCOVID-19レジストリ「COVID-19 Registry Japan(COVIREGI-JP)」を利用したもの。

乳がん周術期に新しい選択肢/リムパーザ錠適応追加

 2022年9月5日、アストラゼネカは、都内にて「早期乳がん治療におけるリムパーザの役割」をテーマにメディアセミナーを開催した。  リムパーザはBRCA1および/またはBRCA2遺伝子の変異などの相同組換え修復(HRR)の欠損を有する腫瘍細胞において、PARPを阻害し、DNAの修復を阻止することでがん細胞死を誘導する。  日本では2018年1月に「白金系抗悪性腫瘍剤感受性の再発卵巣癌における維持療法」を効能・効果として承認され、同年7月に「がん化学療法歴のあるBRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳癌」を適応として乳がん治療での使用が承認された。