産婦人科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:32

閉経後の卵巣がんスクリーニング、死亡率低下せず/Lancet

 閉経後の女性を対象とした年1回の卵巣・卵管がんスクリーニングの実施は、同疾患での死亡率低下が期待できず推奨できないことが示された。卵巣がんは、発見時には大半が進行がんと診断される、依然として予後不良の疾患である。英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのUsha Menon氏らは、同国の卵巣がん検診の共同研究(UKCTOCS)を行い、集団スクリーニングが卵巣がん死を低下するかどうかを調べた。結果は、StageIII/IVの発生率は、スクリーニングを実施しない場合に比べ低下したものの、がん死の低下は有意ではなかったという。Lancet誌オンライン版2021年5月12日号掲載の報告。

COVID-19のmRNAワクチン、妊婦の安全性に問題認めず/NEJM

 米国疾病予防管理センター(CDC)のTom T. Shimabukuro氏らは、米国の3つのワクチン安全性モニタリングシステムのデータを用いて初期調査を行い、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンの接種を受けた妊婦において、明らかな安全性の問題は認められなかったことを報告した。ただし、著者は「母体、妊娠および新生児の転帰について情報提供するためには、妊娠初期にワクチン接種を受けた妊婦を含むより多くの妊婦の長期的な追跡調査が必要である」とまとめている。米国ではすでに多くの妊婦がCOVID-19に対するmRNAワクチンの接種を受けているが、妊娠中のワクチン接種の安全性に関するデータは限定的であった。NEJM誌オンライン版2021年4月21日号掲載の報告。

レンバチニブ+ペムブロリズマブ、子宮体がんに国内申請

 エーザイとMDSは、2021年4月23日、マルチキナーゼ阻害薬レンバチニブ(商品名:レンビマ)と抗PD-1抗体ペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)の併用療法について、日本において進行性子宮体がんに係る適応追加を申請したと発表。  この申請は、プラチナ製剤による前治療歴のある進行性子宮内膜がん(日本においては子宮体がん)を対象とした臨床第III相試験(309/KEYNOTE-775試験)の結果に基づいたもの。この試験結果は、2021年3月に開催された米国婦人科腫瘍学会(SGO)で発表された。

産後うつ病ケアの利用と仕事に及ぼす影響

 オランダの産後うつ病女性に対するケアが、産後うつ病の症状、子供、仕事にどのような影響を及ぼすかについて、オランダ・Universiteit TwenteのA. I. van der Zee-van den Berg氏らが、検討を行った。Nederlands Tijdschrift voor Geneeskunde誌2021年3月11日号の報告。  子供のヘルスケア環境下における産後うつ病スクリーニングの有効性に関するプロスペクティブ比較試験の対照群よりデータを抽出した。2つのオンラインアンケートを用いてデータを収集した。出産3週間後における母親の特性を調査した。出産12ヵ月後、産後うつ病、うつ症状のケア、産後の母子に対する一般的なケア、産後12ヵ月以内の仕事復帰について調査した。違いを確認するために、カイ二乗検定とスチューデントt検定を行った。

オキシトシンによる分娩誘発、陣痛活動期に継続すべきか中止すべきか?/BMJ

 胎児の状態と子宮収縮のモニタリングが保証される環境において、オキシトシンによる誘発の中止は、帝王切開率のわずかな上昇につながる可能性があるが、子宮過刺激および胎児心拍異常のリスクを有意に低下したことが示された。デンマーク・Randers Regional HospitalのSidsel Boie氏らが、同国の9病院とオランダの1病院で実施した国際共同無作為化二重盲検比較試験「Continued versus discontinued oxytocin stimulation in the active phase of labour:CONDISOX」の結果を報告した。これまで4件のメタ解析では、いったん陣痛活動期に入れば、オキシトシンの投与を中止しても分娩の経過は継続し、帝王切開のリスクが低くなることが示されていた。しかし、2018年のCochrane reviewで過去の研究の質が疑問視され、多くの試験が、バイアスリスクが高いまたは不明と判断されていた。BMJ誌2021年4月14日号掲載の報告。

産後うつ病や不安神経症のリスク因子

 うつ病や不安神経症は、産後頻繁に発生する疾患であり、早期発見と早期治療が必要とされる。産後うつ病のリスク因子に関するエビデンスは、早期発見につながる可能性はあるものの、決定的なものはこれまでなかった。オランダ・University of TwenteのAngarath I van der Zee-van den Berg氏らは、妊娠前、妊娠中、妊娠後の産後うつ病および不安症のリスク因子の特定を試みた。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2021年3月4日号の報告。  ポストアップ研究の介入群1,406例より母親のデータを取得した。

妊娠中のHIV-1患者に対する、ドルテグラビル含有レジメンの有効性/Lancet

 HIV-1に感染した妊婦に対し、妊娠中に開始したドルテグラビル(DTG)含有レジメンは、エファビレンツ+エムトリシタビン+テノホビル ジソプロキシフマル酸塩レジメン(EFV/FTC/TDF)に対して、分娩時のウイルス学的有効性について優越性を示した。またDTG/FTC/テノホビル アラフェナミドフマル酸塩(TAF)レジメンは、有害妊娠アウトカムおよび新生児死亡が最も低頻度であった。米国・ブリガム&ウィメンズ病院のShahin Lockman氏らが、ボツワナ、ブラジル、インド、南アフリカ共和国、タンザニア、タイ、ウガンダ、米国およびジンバブエの9ヵ国22施設で実施した多施設共同無作為化非盲検第III相試験「IMPAACT 2010/VESTED試験」の結果を報告した。妊娠中の抗レトロウイルス療法(ART)は、母体の健康と周産期のHIV-1感染予防に重要であるが、妊婦に使用されるさまざまなレジメンの安全性と有効性に関するデータは不足していた。Lancet誌2021年4月3日号掲載の報告。

乳児への栄養方法とその期間が母親の産後うつ病に及ぼす影響~JECS研究

 母乳による育児は、世界中で推奨されている。母乳育児と産後うつ病との関係を調査した研究はいくつか行われているが、矛盾した結果が得られている。富山大学の島尾 萌子氏らは、生後1~6ヵ月の乳児への栄養方法が母親の産後うつ病に及ぼす影響、産後うつ病に対する授乳中の母親が行ったことの影響について調査を行った。Journal of Affective Disorders誌2021年4月15日号の報告。  JECS(子どもの健康と環境に関する全国調査)に参加した親子のデータを分析した。対象は、産後1ヵ月で抑うつ症状を呈さなかった母親7万1,448人。調査には、自己記入式質問票を用いた。

妊娠糖尿病スクリーニングの実用的無作為化試験(解説:小川大輔氏)-1376

妊娠糖尿病は妊娠中に初めて発見された糖代謝異常であり、妊娠中に高血糖があると流産、形態異常、巨大児などの合併症が起こる危険性があるため、妊娠中は厳密に血糖の管理を行う。なお、妊娠前からすでに糖尿病と診断されている場合や、妊娠中に「明らかな糖尿病」と診断された場合は妊娠糖尿病とは別に区別されるが、厳格な血糖コントロールは妊娠糖尿病と同様に必要である。妊娠糖尿病のスクリーニングとして、妊娠24~28週時に妊娠糖尿病スクリーニング検査が推奨されている。1段階法と2段階法の2つのスクリーニング法があるが、どちらを使用すべきかに関して専門家の合意は得られていない。従来からある2段階法(Carpenter-Coustan基準)に対し、1段階法(IADPSG基準)は一度のブドウ糖負荷試験で診断ができるというメリットがある。しかし、母児の周産期合併症に関するアウトカムについては不明であった。

不妊症女性のうつ病有病率~メタ解析

 不妊症に悩む女性におけるうつ病などのメンタルヘルスの問題は、男性よりも深刻な健康上の問題である。うつ病は、個人の健康に悪影響を及ぼし、生活の質を低下させる可能性がある疾患である。イラン・Shahid Beheshti University of Medical SciencesのZahra Kiani氏らは、不妊症の治療反応に対するうつ病の影響を考慮したうえでシステマティックレビューおよびメタ解析を実施し、不妊症女性におけるうつ病有病率を調査した。Fertility Research and Practice誌2021年3月4日号の報告。