産婦人科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:42

妊娠中のHIV-1患者に対する、ドルテグラビル含有レジメンの有効性/Lancet

 HIV-1に感染した妊婦に対し、妊娠中に開始したドルテグラビル(DTG)含有レジメンは、エファビレンツ+エムトリシタビン+テノホビル ジソプロキシフマル酸塩レジメン(EFV/FTC/TDF)に対して、分娩時のウイルス学的有効性について優越性を示した。またDTG/FTC/テノホビル アラフェナミドフマル酸塩(TAF)レジメンは、有害妊娠アウトカムおよび新生児死亡が最も低頻度であった。米国・ブリガム&ウィメンズ病院のShahin Lockman氏らが、ボツワナ、ブラジル、インド、南アフリカ共和国、タンザニア、タイ、ウガンダ、米国およびジンバブエの9ヵ国22施設で実施した多施設共同無作為化非盲検第III相試験「IMPAACT 2010/VESTED試験」の結果を報告した。妊娠中の抗レトロウイルス療法(ART)は、母体の健康と周産期のHIV-1感染予防に重要であるが、妊婦に使用されるさまざまなレジメンの安全性と有効性に関するデータは不足していた。Lancet誌2021年4月3日号掲載の報告。

乳児への栄養方法とその期間が母親の産後うつ病に及ぼす影響~JECS研究

 母乳による育児は、世界中で推奨されている。母乳育児と産後うつ病との関係を調査した研究はいくつか行われているが、矛盾した結果が得られている。富山大学の島尾 萌子氏らは、生後1~6ヵ月の乳児への栄養方法が母親の産後うつ病に及ぼす影響、産後うつ病に対する授乳中の母親が行ったことの影響について調査を行った。Journal of Affective Disorders誌2021年4月15日号の報告。  JECS(子どもの健康と環境に関する全国調査)に参加した親子のデータを分析した。対象は、産後1ヵ月で抑うつ症状を呈さなかった母親7万1,448人。調査には、自己記入式質問票を用いた。

妊娠糖尿病スクリーニングの実用的無作為化試験(解説:小川大輔氏)-1376

妊娠糖尿病は妊娠中に初めて発見された糖代謝異常であり、妊娠中に高血糖があると流産、形態異常、巨大児などの合併症が起こる危険性があるため、妊娠中は厳密に血糖の管理を行う。なお、妊娠前からすでに糖尿病と診断されている場合や、妊娠中に「明らかな糖尿病」と診断された場合は妊娠糖尿病とは別に区別されるが、厳格な血糖コントロールは妊娠糖尿病と同様に必要である。妊娠糖尿病のスクリーニングとして、妊娠24~28週時に妊娠糖尿病スクリーニング検査が推奨されている。1段階法と2段階法の2つのスクリーニング法があるが、どちらを使用すべきかに関して専門家の合意は得られていない。従来からある2段階法(Carpenter-Coustan基準)に対し、1段階法(IADPSG基準)は一度のブドウ糖負荷試験で診断ができるというメリットがある。しかし、母児の周産期合併症に関するアウトカムについては不明であった。

不妊症女性のうつ病有病率~メタ解析

 不妊症に悩む女性におけるうつ病などのメンタルヘルスの問題は、男性よりも深刻な健康上の問題である。うつ病は、個人の健康に悪影響を及ぼし、生活の質を低下させる可能性がある疾患である。イラン・Shahid Beheshti University of Medical SciencesのZahra Kiani氏らは、不妊症の治療反応に対するうつ病の影響を考慮したうえでシステマティックレビューおよびメタ解析を実施し、不妊症女性におけるうつ病有病率を調査した。Fertility Research and Practice誌2021年3月4日号の報告。

妊娠中の抗うつ薬使用と子供の自閉スペクトラム症およびADHDリスク~メタ解析

 妊娠中のSSRIやSNRIなどの抗うつ薬使用と子供の自閉スペクトラム症(ASD)および注意欠如多動症(ADHD)リスクとの関連について、観察研究では一貫性が認められていない。関連を指摘する報告に対し、考慮されていない交絡因子の影響を示唆する見解も認められる。イスラエル・ヘブライ大学のRegina Leshem氏らは、この関連性を検討し、バイアス原因を明らかにするため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Current Neuropharmacology誌オンライン版2021年3月3日号の報告。

産後うつ病予防に対するω3多価不飽和脂肪酸の可能性

 ω3多価不飽和脂肪酸(PUFA)は、産後うつ病に対し保護効果を発揮するのであろうか。この疑問に対し、大阪医科大学の永易 洋子氏らは、ω3PUFA摂取によるうつ病予防効果およびこの効果に対するインターロイキン6(IL-6)の関与について、調査を行った。The Journal of Obstetrics and Gynaecology Research誌オンライン版2021年2月15日号の報告。  単胎妊娠女性80人を対象に、妊娠第1期、2期、産後のイコサペント酸エチル(EPA)、アラキドン酸(AA)/EPA比、IL-6を測定した。対象者より、食事に関する質問票およびエジンバラ産後うつ病尺度(EPDS)を用いてデータを収集した。妊娠第1期、2期、産後における魚を食べる頻度とEPA、AA/EPA比、IL-6との関連を調査した。また、EPDSスコアとEPA、AA/EPA比、IL-6の関連も調査した。

レンバチニブ、子宮体がんに対する希少疾病用医薬品に指定/エーザイ

 エーザイは、2021年3月12日、マルチキナーゼ阻害薬レンバチニブ(商品名:レンビマ)について、子宮体がんを予定される効能又は効果として、厚生労働省から希少疾病用医薬品に指定されたと発表。  プラチナ製剤による1レジメン以上の前治療歴のある進行子宮体がんを対象に、日本、米国、欧州などで実施している第III相KEYNOTE-775試験において、レンバチニブとペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)の併用は、全生存期間と無増悪生存期間の2つの主要評価項目および奏効率の副次評価項目を達成。現在、日本を含む世界各国で、本試験のデータに基づく効能・効果追加申請の準備中である。

妊婦における境界性パーソナリティ障害の有病率や特徴

 周産期リエゾン精神科サービスに紹介された妊婦における境界性パーソナリティ障害(BPD)の有病率や特徴について、オーストラリア・Child and Adolescent Mental Health ServicesのKatharina Nagel氏らは、調査を行った。The Australian and New Zealand Journal of Psychiatry誌オンライン版2021年2月26日号の報告。  周産期リエゾン精神科サービスに紹介された女性318人を対象に、人口統計学的および臨床的データ、DSM-V基準による診断データを18ヵ月間記録した。データ分析には、記述統計およびロジスティック回帰分析を用いた。

妊娠糖尿病スクリーニング、1段階法 vs.2段階法/NEJM

 妊娠糖尿病のユニバーサルスクリーニングでは、推奨されている2つの方法のうち、1段階法は2段階法と比較して妊娠糖尿病の診断の割合が約2倍に高くなるが、周産期合併症と母体合併症に関連する主要アウトカムのリスクには、両スクリーニング法に有意な差はないことが、米国・カイザーパーマネンテ・ノースウェストのTeresa A. Hillier氏らが実施した「ScreenR2GDM試験」で示された。研究の詳細は、NEJM誌2021年3月11日号で報告された。妊娠糖尿病は頻度の高い疾患であり、母体と周産期の有害なアウトカムのリスクが増大する。米国では、妊娠女性に妊娠24~28週時の妊娠糖尿病ユニバーサルスクリーニングが推奨されているが、2つの推奨スクリーニング法のどちらを使用すべきかに関して専門家の合意は得られていないという。

リスク低減卵管卵巣摘出術で乳がんリスクは減少するか/JAMA Oncol

 これまで不明であったリスク低減卵管卵巣摘出術(risk reducing salpingo-oophorectomy:RRSO)と乳がんリスクとの関連が明らかにされた。カナダ・ウェスタン大学のYun-Hee Choi氏らはケースシリーズ研究を行い、BRCA1またはBRCA2病的バリアント保持女性に対するRRSOは、術後5年間の乳がんリスク低下、ならびにBRCA1病的バリアント保持者での長期的な累積乳がんリスクと関連することを示した。著者は、「RRSOの主たる適応症は卵巣がんの予防であるが、RRSOの実施とそのタイミングに関する臨床的な意思決定を導くために、乳がんリスクとの関連を評価することも重要である」とまとめている。BRCA1/2病的バリアントを有する女性は、乳がんおよび卵巣がんの発症リスクが高いことが知られる。通常は集中的な監視を行いRRSOも考慮される。RRSOは、卵巣がんのリスクを低減することが知られているが、乳がんリスクとの関連は不明であった。JAMA Oncology誌オンライン版2021年2月25日号掲載の報告。