産婦人科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:41

早産児のApgarスコアは、新生児死亡リスクと関連するか/NEJM

 在胎期間は、早産児における新生児死亡(生後28日以内の死亡)の主要な決定因子だが、在胎期間とApgarスコアの組み合わせの新生児死亡リスクへの影響は明確でないという。スウェーデン・カロリンスカ研究所のSven Cnattingius氏らは、新生児死亡率は在胎期間が短くなるに従って実質的に増加することから、Apgarスコアに関連する新生児死亡率の絶対値の差(新生児の超過死亡数)は、早産児の在胎期間が短いほど増加するとの仮説を立て、検証を行った。その結果、出生5分後と10分後のApgarスコア、および5~10分後のスコアの変化は、5つに分けた在胎期間のすべての早産児で、新生児死亡率と関連することが示された。NEJM誌2020年7月2日号掲載の報告。

日本人の妊娠出産による摂食障害再発や産後うつ病

 出産可能年齢の女性における摂食障害(ED)発症についての研究が行われている。しかし、妊娠中および出産後の女性を対象とした長期フォローアップ研究は、あまり行われていない。東邦大学の牧野 真理子氏らは、妊娠中および出産後のED再発とED完全寛解の女性における産後うつ病について調査を行った。BMC Pregnancy and Childbirth誌2020年5月27日号の報告。  1994~2004年に診療所外来を受診したED患者1,008例のうち、ED寛解および妊娠した女性は55例であった。このうち、研究への参加に同意した患者は25例(神経性過食症[BN]21例、神経性食欲不振症[AN]4例)であった。最終的に、流産した患者を除く24例が研究に含まれた。対象患者は、妊娠中と出産後の両方で2週間ごとに面接を受けた。EDおよび産後うつ病の診断には、Eating Attitudes Test-26(EAT-26)、エジンバラ産後うつ病評価尺度(EPDS)を用いた。統計分析には、両側独立検定を用いた。

リンチ症候群の大腸がん予防にアスピリンが有効/Lancet

 リンチ症候群は、大腸がんのリスクを増大させ、他の広範ながん、とくに子宮内膜がんと関連する。英国・ニューカッスル大学のJohn Burn氏ら「CAPP2試験」の研究グループは、リンチ症候群における大腸がんの予防において、アスピリンの2年投与はプラセボに比べ、その発症を有意に抑制することを確認した。研究の成果は、Lancet誌2020年6月13日号に掲載された。本試験では、2011年(平均フォローアップ期間55.7ヵ月[SD 31.4])の時点におけるアスピリンによる遺伝性大腸がんの予防効果を報告している。今回、予定されていた10年間のフォローアップを終了したことから、この高リスク集団における定期的なアスピリン服用の長期的な有効性のデータが報告された。

FDA、腫瘍遺伝子変異量高値(TMB-H)固形がんにペムブロリズマブを承認

 米国食品医薬品局(FDA)は、2020年6月16日、切除不能または転移性腫瘍変異高(TMB-H)の成人および小児患者の治療(≧10mut/Mb)について、ペンブロリズマブを迅速承認。また、Foundation One CDxアッセイもペムブロリズマブの診断薬として承認した。  ペムブロリズマブの有効性は、多施設非無作為化オープンラベル試験KEYNOTE-158に登録された、さまざまな既治療の切除不能または転移性TMB-H固形がん患者でが調査された。主要有効性評価項目は、RECIST v1.1に従って盲検独立中央評価委員会で評価された全奏効率(ORR)と奏効期間(DoR)であった。

新型コロナ感染妊婦、転帰良好で母子感染はまれ/BMJ

 重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)に感染し入院した妊婦のほとんどは、妊娠中期後半~後期で、重症ではなくアウトカムは良好であり、母子感染はまれであることが明らかにされた。英国・オックスフォード大学のMarian Knight氏らが、同国でのCOVID-19で入院した妊婦を対象に、SARS-CoV-2感染の要因とその予後、ならびに母子感染について検討する前向きコホート研究の結果を報告した。なお、感染が認められ入院した妊婦の半数以上が黒人、アジア系および他の少数民族であったことから、著者はその割合の高さについて「早急な調査と解明が必要である」との見解を示している。BMJ誌2020年6月8日号掲載の報告。

出産前後のうつ病を予防するための心理的介入~メタ解析

 出産前後のうつ病は、有病率が高く、深刻な影響を及ぼすため、その予防は重要である。これまでのシステマティックレビューおよびメタ解析では、周産期うつ病リスクを有する女性に対する心理学的介入の有効性が示唆されている。しかし、出産前の一般的な予防に焦点を当てた研究は、あまりなかった。東京大学の安間 尚徳氏らは、周産期うつ病に対する出産前の心理学的介入の影響(とくに一般的な予防に焦点を当て)を明らかにするため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2020年5月12日号の報告。

周術期のCOVID-19、術後肺合併症や死亡への影響は/Lancet

 手術を受けた重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)感染患者では、2割以上が30日以内に死亡し、約半数が術後肺合併症を発症しており、全死亡例の約8割に肺合併症が認められたとの調査結果が、英国・バーミンガム大学のDmitri Nepogodiev氏らCOVIDSurg Collaborativeによって報告された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2020年5月29日号に掲載された。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行以前には、質の高い国際的な観察研究により、術後の肺合併症(最大10%)および死亡(最大3%)の割合は確立されていた。研究グループは、COVID-19が世界的に流行している現在および収束後に、外科医と患者がエビデンスに基づく意思決定を行えるようにするには、術後の肺合併症と死亡に及ぼすSARS-CoV-2の影響を明らかにする必要があるとして本研究を行った。

産後うつ病と食事との関係~メタ解析

 一般集団において、食事パターンがうつ病や抑うつ症状の発症に影響を及ぼすことが、観察研究によるエビデンスで示唆されている。しかし、出産後の女性における食事と産後うつ病(PPD)との関係を検討した研究はほとんどない。オーストラリア・ディーキン大学のRachelle S. Opie氏らは、出産後の女性の食事とPPD症状との関連を調査するため、既存の公表済みの研究よりデータを統合し検討を行った。Maternal and Child Health Journal誌オンライン版2020年5月4日号の報告。  1835年~2020年4月に公開された関連文献を、MEDLINE、EMBASE、CINAHL、PubMed、PsycInfoのデータベースよりシステマティックに検索した。

ディズニー映画、がん患者のQOLに寄与

 腫瘍学において、治療効果に加え、有害事象および生活の質(QOL)の評価が重要になってきている。オーストリア・ウィーン医科大学のSophie Pils氏らは、がん化学療法中のディズニー映画観賞は婦人科がん患者の感情的機能、社会的機能、および疲労症状の改善に関連している可能性があることを明らかにした。JAMA Network Open 5月1日号掲載の報告。  研究者らは、2017年12月~2018年12月、がん化学療法中にディズニー映画の鑑賞と、感情的・社会的機能および疲労症状との関連の評価を目的とし、オーストリア・ウィーンのcancer referral centerにて無作為化試験を実施。

出生前母体ステロイド治療、子供の精神・行動障害が増加/JAMA

 出産前の母親への副腎皮質ステロイド治療によって、子供の精神障害および行動障害が増加することが、フィンランド・ヘルシンキ大学のKatri Raikkonen氏らの検討で示された。研究の成果は、JAMA誌2020年5月19日号に掲載された。1週間以内に早産が予測される妊娠期間34週以内の妊婦に対しては、胎児の成熟の促進を目的とする出生前の副腎皮質ステロイド治療が標準治療とされる。近年、妊娠期間34週以降への適応拡大が議論されているが、長期アウトカムのデータは限られ、とくに治療を受けた母親の子供の神経発達に関するデータは少ないという。