産婦人科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:43

腫瘍遺伝子変異量(TMB)高値固形がんに対するペムブロリズマブ、FDAに承認申請

 Merck社は、2020年4月7日、抗PD-1抗体ペムブロリズマブの新たな生物学的製剤承認一部変更申請(sBLA)が米国食品医薬品局(FDA)によって受理され、優先審査項目に指定されたことを発表した。この申請では、治療後に進行し、他に十分な治療選択肢のない、腫瘍遺伝子変異量高値(TMB-High、FDAに承認された検査において10変異/megabase以上)の切除不能または転移を有する固形がんの成人および小児患者に対する単独療法としてペムブロリズマブの迅速承認を目指している。

「遺伝性乳がん卵巣がん症候群の保険診療に関する手引き」公開/日本乳癌学会

 4月から遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)の既発症者に対する、リスク低減乳房切除術(RRM)、乳房再建術ならびにリスク低減卵管卵巣摘出術(RRSO)が保険収載となった。これを受けて日本乳癌学会では、4月1日にホームページ上で「遺伝性乳がん卵巣がん症候群の保険診療に関する手引き」を公開している。なお、手引きの冒頭では、本手引きがガイドラインあるいはガイダンスではなく、エビデンスが蓄積していない内容も含まれると説明。そのため、HBOC診療に当たっては施設内で医療者のコンセンサスと患者・家族への十分な説明を求めるとともに、手引きについては今後もバージョンアップを図っていくと記されている。

今年の学術集会はいつ開催されるのか?

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により、3月以降多くの学術集会が延期または開催方式の変更を余儀なくされている。  一例をあげると日本整形外科学会学術総会、日本産科婦人科学会学術講演会、日本眼科学会総会、日本医学放射線学会総会、日本麻酔科学会年次学術集会、日本プライマリ・ケア連合学会学術大会などはすでにオンライン(WEB)開催を表明するなど動きをみせている。そのほか、今後のCOVID-19の拡大状況によっては、さらなる延期や従来の会合方式の見直しなどが検討されている。

妊娠・出産に対するベンゾジアゼピンの影響~メタ解析

 妊婦に対するベンゾジアゼピン(BZD)の使用は頻繁に行われているにもかかわらず、母体や胎児への影響はよくわかっていない。カナダ・トロント大学のSophie Grigoriadis氏らは、出産前のBZD曝露が出産アウトカムに及ぼす影響について定量化を行った。Canadian Journal of Psychiatry誌オンライン版2020年3月9日号の報告。  2018年6月までの研究を、Medline、PsycINFO、CINAHL、Embase、Cochrane Libraryより検索した。研究の選択基準は、出産アウトカムについてBZD曝露群と非曝露群を比較した英語のコホート研究とした。2万3,909研究をスクリーニングし、56研究を評価、14研究をメタ解析に含めた。2人の独立したレビュアーがエビデンスの質を評価し、データを抽出した。ランダム効果メタ解析を用いて、推定値をプールした。サブ解析では、曝露のタイミングを含むいくつかの潜在的なモデレーターを調査した。

固形がんに対するリキッドバイオプシー、「FoundationOne Liquid CDx」の国内申請/中外

 中外製薬は、2020年03月31日、固形がんに関連する包括的ゲノムプロファイリングを提供するリキットバイオプシー検査として、「FoundationOne Liquid CDx(海外製品名)」に対する製造販売承認申請を厚生労働省に行ったと発表。  「FoundationOne Liquid CDx」は米国・ケンブリッジに拠点を置くファウンデーションメディシン社が開発した次世代シークエンサーを用いた包括的ながん関連遺伝子解析システム。進行固形がんの患者を対象とし、血液中の循環腫瘍DNA(ctDNA: circulating tumor DNA)を用いることで、がんの遺伝子変異を検出するリキットバイオプシー検査である。米国では、2018年4月に米国食品医薬品局(FDA)よりBreakthrough Device指定を受けている。

HIV治療のゲームチェンジャー現る(解説:岡慎一氏)-1208

HIV治療は、多くの治療薬の開発のおかげで急速な進歩を遂げてきた。1996年当初3剤併用療法が可能となった当時、治療効果はそれまでと比べものにならないくらい改善したが、1日5回、トータル20錠もの薬剤を、副作用軽減のため水分1.5Lと共に服用しなければいけなかった。もちろん、このような治療が長続きするはずもなく、飲み忘れが増えるなどして薬剤耐性ウイルスの出現を招いていた。その後、治療薬の改良は進み、10年後には1日1回の治療が可能になり、その10年後には1日1回1錠での治療が可能になった。1日1回1錠で治療が済むのであれば、もうこれ以上の改良はないであろうと思っていたら、今回の新しい治療法の登場である。今回の新しい治療法は、今までの治療でウイルスを抑えた後、維持療法として2種類の薬剤を月に1回注射するというものである。毎日忘れずに薬を飲むという今までの治療の常識からすると、まさにゲームチェンジャーである。有効性に関しては、現在最も強力といわれるDTG/ABC/3TCによる1日1回1錠の経口薬3剤治療と比較し、月1回の2剤治療で非劣性が証明されている。副作用としては、筋注のため、局所の痛みは少しあるようである。興味深いのは、患者満足度で、ほぼすべての人が月1回治療を希望しており、その理由が、「月に1回だけ注射すれば残りの日はHIVのことを忘れることができる」、というものであった。1日1回の服用であっても、毎日薬を飲むことに対するプレッシャーは大きいのであろう。もうひとつ、非常に興味深い結果がほんの数行書かれている。283例中3例に治療失敗がみられ、薬剤耐性ウイルスが出ているのである。経口であれば、服薬が完全でなかったという言い訳ができるが、この治験では確実に注射しているので、adherence不良のためというのは失敗の原因にはならない。全員がsubtype A1であったというが、この点に関しては、より詳しい検討が待たれる。

抗真菌薬の妊婦への処方は安全か?

 皮膚科医にとって難問の1つとなっている妊婦への抗真菌薬投与について、デンマークの全国規模の妊娠登録ベースコホートにおける研究結果が発表された。デンマーク・Bispebjerg and Frederiksberg HospitalのNiklas Worm Andersson氏らによる検討で、経口または局所テルビナフィンの投与と、主要な形成異常または自然流産のリスク増大の関連は特定できなかったという。テルビナフィンは一般的に使用される抗真菌薬だが、妊娠中の使用に関する安全性データは限定的である。JAMA Dermatology誌オンライン版2020年3月4日号掲載の報告。

日本人女性の出産前後の抗うつ薬処方

 東北大学の石川 智史氏らは、日本人女性における周産期の抗うつ薬処方率や処方パターンについて、調査を行った。Journal of Affective Disorders誌2020年3月1日号の報告。妊娠前180日~産後180日の抗うつ薬処方率を調査するため、大規模管理データベースを用いて評価した。妊娠開始日および出産日は、アルゴリズムを用いて推定した。主な結果は以下のとおり。 ・分析対象は、女性3万3,941人。 ・抗うつ薬が1剤以上処方されていた女性は、妊娠前180日~産後180日の期間で451人(133/1万分娩)、妊娠中では241人(71/1万分娩)であった。 ・抗うつ薬の処方率は、妊娠初期および中期に減少し、産後に増加した。 ・妊娠前に抗うつ薬を処方されていた339人中、妊娠中に抗うつ薬を中止した女性は151人(44.5%)であった。

AIDS関連カポジ肉腫、有病率が高い地域での最適治療は?/Lancet

 資源が限られた地域における進行性AIDS関連カポジ肉腫に対する最適な治療戦略は「パクリタキセル+抗レトロウイルス療法(ART)」であることが、米国・AIDS Malignancy ConsortiumのSusan E. Krown氏らによる無作為化非盲検非劣性試験の結果、示された。非劣性の証明は事前に設定したマージンではできなかったが、「経口エトポシド+ART」および「ブレオマイシン+ビンクリスチン+ART」の両治療に対して優越性が示されたという。AIDS関連カポジ肉腫は、HIV患者の頻度の高い併存疾患および死亡の原因であるが、疾患頻度が最も高い低所得および中所得国では最適な治療レジメンについて系統的な評価がされていなかった。Lancet誌オンライン版2020年3月5日号掲載の報告。

HIVの維持療法、長期作用型注射薬の有効性は/NEJM

 ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染患者の維持療法において、いずれも長期作用型注射薬であるcabotegravir(CAB、インテグラーゼ阻害薬)とリルピビリン(RPV、非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬)2剤併用の月1回投与の有効性は、経口薬3剤の毎日投与に対し非劣性であることが、英国・ロンドン大学クイーン・メアリー校のChloe Orkin氏らの「FLAIR試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2020年3月4日号に掲載された。現在の抗レトロウイルス療法(ART)の有効性は高い。そのため、進行中の薬剤開発の焦点の1つは、副作用プロファイルの改善と、治療からの離脱を低減するための利便性だという。また、長期の毎日投与レジメンは、患者に不満を生じさせたり、スティグマの原因となり、アドヒアランスを損なって治療失敗のリスクを高める可能性があることから、より受け入れやすい治療アプローチが求められている。