妊婦における境界性パーソナリティ障害の有病率や特徴

提供元:ケアネット

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公開日:2021/03/24

 

 周産期リエゾン精神科サービスに紹介された妊婦における境界性パーソナリティ障害(BPD)の有病率や特徴について、オーストラリア・Child and Adolescent Mental Health ServicesのKatharina Nagel氏らは、調査を行った。The Australian and New Zealand Journal of Psychiatry誌オンライン版2021年2月26日号の報告。

 周産期リエゾン精神科サービスに紹介された女性318人を対象に、人口統計学的および臨床的データ、DSM-V基準による診断データを18ヵ月間記録した。データ分析には、記述統計およびロジスティック回帰分析を用いた。

 主な結果は以下のとおり。

・最も多かった診断は、うつ病(25.5%)であり、次いで不安症(15.1%)であった。
・BPDと診断された女性は10.1%で、そのうち5人に1人は2つ以上のBPD特性を有していた(19.5%)。
・BPD女性は、他の診断を受けた患者と比較し、以下の割合が高かった。
 ●予定外妊娠
 ●パートナーの不在
 ●妊娠中の物質使用障害
 ●現在または過去の子供に対する児童保護サービスの関与
・BPD女性の40%超は、現在の妊娠中に児童保護サービスとの関与が認められた。
・BPD診断により、子供の児童保護サービスへの関与リスクは約6倍に増加した(オッズ比:5.5、95%CI:1.50~20.17)。

 著者らは「BPD女性は、サポートが必要なハイリスク群であり、BPDに関連するサービスへの投資は、優先度が高いと考えられる」としている。

(鷹野 敦夫)