感染症内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:112

米CDCが妊婦のコロナワクチン接種推奨「リスクよりベネフィット上回る」

 妊娠中および授乳中の女性にとって、新型コロナワクチン接種による副反応を含めた身体への影響は、もっとも懸念するところである。しかし、感染力が強く急激に悪化するデルタ株の世界的まん延は、接種をためらう猶予すら与えない脅威になっているようだ。米国・疾病対策センター(CDC)は8月11日付でウェブサイトを更新し、ワクチン接種によって流産などのリスクが高まる懸念は見られなかったとする新たなデータを公表した。CDCは「ワクチンによって得られるベネフィットがリスクを上回ることを示唆している」として、妊婦の接種を強く推奨している。

重症COVID-19入院患者への新たな治療薬検証する臨床試験開始へ/WHO

 WHOは、8月11日付で発表したプレスリリースにおいて、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で入院した重症患者に対し、マラリアやがん治療などに使われている既存薬3種の治療効果を検証する臨床試験(Solidarity PLUS trial)を開始することを明らかにした。臨床試験は52ヵ国600超の病院から数千人規模の入院患者を登録し、実施される見通し。  WHOは、既存候補薬のCOVID-19入院患者への有効性を検証するため、オープンラベルのランダム化比較試験(Solidarity trial)を2020年3月から実施。単一のプロトコルを使用して同時に複数の治療法を評価するもので、試験の過程を通じて効果のない薬剤については評価を打ち切る一方、新たな候補薬を逐次追加できるデザインだ。これまでに、レムデシビル、ヒドロキシクロロキン、ロピナビル、インターフェロンβ-1aの4剤について評価が行われ、いずれも有効性が確認されず、すでに試験が打ち切られている。

家庭内濃厚接触者への抗体カクテル療法、予防効果は?/NEJM

 重症急性呼吸器症候群コロナウイルス-2(SARS-CoV-2)感染が確認された家族と接触した感染歴のない家族に対して、カシリビマブとイムデビマブの抗体カクテル「REGEN-COV」皮下投与は、症候性の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)および無症候性のSARS-CoV-2感染を予防することが示された。米国・Regeneron PharmaceuticalsのMeagan P. O'Brien氏らが、接触4日以内の家庭内濃厚接触者第III相のプラセボ対照無作為化二重盲検試験の結果を発表した。感染が認められた被験者家族における、症状解消までの期間および高ウイルス量期間を短縮したことも認められたという。REGEN-COVは、高リスクCOVID-19患者の入院または死亡のリスクを著しく低下することが示されていたが、家庭内濃厚接触者に対するSARS-CoV-2感染および感染後のCOVID-19発症を予防するかについては不明であった。NEJM誌オンライン版2021年8月4日号掲載の報告。

ワクチン突破新規感染(Breakthrough infection)の原因ウイルスは病原性の高い変異ウイルスが中心?(解説:山口佳寿博氏/田中希宇人氏)

新型コロナ感染症に対する主たるワクチン(Pfizer社のBNT162b2、Moderna社のmRNA-1273、AstraZeneca社のChAdOx1、Johnson & Johnson/Janssen社のAd26.COV2.S、Novavax社のNVX-CoV2373)の予防効果は、播種する主たるウイルスが野生株(武漢原株とそれから派生したウイルスの機能に影響を与えない株を含む:第1世代)からD614G変異株(従来株:第2世代)に置換されつつあった2020年の夏から秋にかけて施行された第III相試験の結果を基に報告された(Polack FP, et al. N Engl J Med. 2020;383:2603-2615.; Baden LR, et al. N Engl J Med. 2021;384:403-416.; Voysey M, et al. Lancet. 2021;397:99-111.; Sadoff J, et al. N Engl J Med. 2021;384:2187-2201.; Heath PT, et al. N Engl J Med. 2021 Jun 30. [Epub ahead of print] PMID:)。

発熱ない尿路感染疑い男性への抗菌薬、7日間vs.14日間/JAMA

 発熱がなく、細菌性尿路感染症(UTI)が疑われる男性の抗菌薬治療では、投与終了から14日以内のUTI症状の消失に関して、シプロフロキサシンまたはトリメトプリム/スルファメトキサゾールの7日間投与は14日間投与に対し非劣性であり、UTI症状の再発割合には有意な差がないことが、米国・ミネアポリス退役軍人局保健医療システムのDimitri M. Drekonja氏らの検討で示された。研究の成果は、JAMA誌2021年7月27日号で報告された。本研究は、発熱がみられないUTI男性における抗菌薬の7日間投与の14日間投与に対する非劣性の検証を目的とする二重盲検無作為化プラセボ対照比較試験であり、2014年4月~2019年12月の期間に米国退役軍人局の2つの医療センターで参加者の登録が行われた(米国退役軍人局Merit Review Programの助成による)。

COVID-19に対する薬物治療の考え方 第8版、中和抗体薬を追加/日本感染症学会

 日本感染症学会(理事長:舘田一博氏[東邦大学医学部教授])は、8月6日に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療薬について指針として「COVID-19に対する薬物治療の考え方第8版」をまとめ、同会のホームページで公開した。  今回の改訂では、前回7版からの知見の追加のほか、先日承認された中和抗体薬の項目が追加された。また、デルタ株の猛威に対し「一般市民の皆様へ ~かからないために、かかった時のために~」を日本環境感染学会と連名で公開した。

コロナワクチン接種後の心膜炎、高齢者でも発症か?

 新型コロナワクチンの接種が世界各国で進むなか、副反応症状として心筋炎などの心臓関連の病態も明らかになりつつある。米国・Providence Regional Medical Center EverettのGeorge A. Diaz氏らはワクチン接種後の心筋炎や心膜炎の症例を識別するため、ワクチン接種者のカルテを検証した。その結果、心筋炎は若い患者で主に2回目接種後早期に発症することが明らかになった。一方の心膜炎は初回接種後20日(中央値)または2回目接種後に影響を及ぼし、とくに高齢者で注意が必要なことが示唆された。

無症状濃厚接触者へのコロナ抗原検査、検出感度は60%超/BMJ

 重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)感染が確定した患者と濃厚接触した無症状および症状発現前の集団では、接触から5日後の迅速抗原検査によるSARS-CoV-2検出の感度は60%以上であり、ウイルス量のカットオフ値を感染力の代替指標とした場合の感度は85%以上に達することが、オランダ・ユトレヒト大学のEwoud Schuit氏らの調査で示された。研究の成果は、BMJ誌2021年7月27日号で報告された。  研究グループは、SARS-CoV-2感染者と濃厚接触し、無症状および症状発現前の集団を対象に、接触から5日後における2種類の迅速抗原検査の診断精度を評価する目的で、前向き横断研究を行った(オランダ保健・福祉・スポーツ省の助成による)。

ブレークスルー感染も、ワクチンが変異株の重症化を抑制か/CDC

 新型コロナウイルスの変異株であるデルタ株は感染性が高く、このほど米国でワクチン接種完了者によるブレークスルー感染が報告された。しかし、この報告からワクチンの効果がないと言えるのだろうかー。  CDC COVID-19 Response TeamのCatherine M. Brown氏らによると、マサチューセッツ州バーンスタブル群で発生した大規模クラスターの74%はファイザー製ワクチン接種完了者であったことが明らかになった。ただし、入院患者の割合は1.2%と、ワクチンが普及する前の既存株による重症化率と比較すると少ない傾向であることも示された。米国疾病予防管理センター(CDC)のMorbidity and Mortality Weekly Report(MMWR)8月6日号での報告。

コロナワクチン、1回目でアレルギー出現も2回目接種できる?

 海外では新型コロナウイルス感染症のmRNAワクチン接種後のアレルギー反応は2%も報告され、アナフィラキシーは1万人あたり最大2.5人に発生している。国内に目を向けると、厚生労働省の最新情報によれば、アナフィラキシー報告はファイザー製で289件(100万回接種あたり7件)、モデルナ製で1件(100万回接種あたり1.0件)と非常に稀ではあるが、初回投与後に反応があった場合に2回目の接種をどうするかは、まだまだ議論の余地がある。  今回、米国・ヴァンダービルト大学医療センターのMatthew S Krantz氏らは、ファイザー製またモデルナ製ワクチンの初回接種時にアナフィラキシーまたは遅発性のアレルギー反応を経験した被接種者において、2回目接種の安全性を検証するため投与耐性について調査を行った。その結果、2回目の接種を受けた患者の20%で軽度の症状が報告されたが、2回目接種を受けたすべての患者が安全に一連のワクチン接種を完了したことを明らかにした。また、必要に応じて将来も新型コロナのmRNAワクチンを使用できることも示唆した。JAMA Network Open誌2021年7月26日号のリサーチレターでの報告。