感染症内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:116

ニルセビマブがRSウイルスの高リスク乳児に有効/第II/III相MEDLEY試験

 アストラゼネカは、RSウイルス(呼吸器合胞体ウイルス)感染の高リスク乳児を対象にニルセビマブの安全性と忍容性を評価した第II/III相のMEDLEY試験において、良好な結果を示したことを7月8日付けのプレスリリースで発表した。  ニルセビマブはアストラゼネカとサノフィにより開発中のアストラゼネカ独自の半減期延長(YTE)技術を用いた長時間作用型抗体。乳幼児に直接免疫を与え、RSウイルスに対する感染予防効果を発揮させる可能性がある。

中国製コロナワクチン、入院を87.5%抑制/NEJM

 チリの公的国民医療保険加入者を対象に行ったコホート試験で、不活性化コロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチン「CoronaVac」について、COVID-19への予防効果(重症化および死亡)が明らかにされた。チリ・保健省のAlejandro Jara氏らが、2021年2月から実施している同ワクチンの全国接種キャンペーンの効果について、コホート試験を行ったもので、「結果はワクチン第II相試験の結果と一致するものであった」と述べている。NEJM誌オンライン版2021年7月7日号掲載の報告。  研究グループは、公的国民医療保険に加入する16歳以上を対象に前向きコホート試験を行い、COVID-19感染と関連する入院、ICU入室、死亡を調べ、不活性化SARS-CoV-2ワクチンの予防効果を検証した。  時間とともに変化するワクチン接種状況を考慮に入れ、拡張Cox比例ハザードモデルを用いてハザード比を算出。部分免疫(1回目接種後の14日以降で2回目接種前)、完全免疫(2回目接種後14日以降)のハザード比の変化を推算した。  ワクチンの有効性は、被験者個々の人口統計学的特徴や臨床的特徴で補正し算出した。

日本での既感染者は現在何%?コロナの“今”11知識/厚労省

 9日、厚労省は「新型コロナウイルス感染症の“いま”に関する11の知識(2021年7月版)」を公表した。これは、COVID-19に関する現在の状況とこれまでに得られた科学的知見について、新たに11の知識としてQ&A形式でとりまとめたもの。主に、感染者数・病原性、感染性、検査・治療、変異株について示されている。以下に一部を抜粋して紹介する。 Q1.わが国では、どれくらいの人が新型コロナウイルス感染症と診断されていますか。 A.これまでに79万6,835人が新型コロナウイルス感染症と診断されており、これは全人口の約0.6%に相当します。※感染していても症状が現れず医療機関を受診しない人などがいるため、必ずしも感染した人すべてを表す人数ではありません。 ・Q2.新型コロナウイルス感染症と診断された人のうち、重症化する人や死亡する人はどれくらいですか。  A.重症化する割合や死亡する割合は以前と比べて低下しており、2020年6月以降に診断された人の中では、重症化する人の割合は約1.6%(50代以下で0.3%、60代以上で8.5%)、死亡する人の割合は約1.0%(50代以下で0.06%、60代以上で5.7%)となっています。

1回目AZ、2回目Pfizerワクチン接種で十分な免疫応答/Lancet

 初回にChAdOx1-S(AstraZeneca製)ワクチンを接種した人に、2回目はBNT162b2(Pfizer/BioNTech製)ワクチンを接種した結果、強固な免疫反応が誘導されたことが確認され、忍容性も良好であった。スペイン・マドリード自治大学のAlberto M. Borobia氏らが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の2種類の異なるワクチンを接種した場合の免疫原性および反応原性を評価した第II相多施設共同無作為化非盲検比較試験「CombiVacS試験」の結果を報告した。これまで、ヒトにおける種類の異なるCOVID-19ワクチンを組み合わせた接種スケジュールに関する免疫学的データは報告されていなかった。Lancet誌オンライン版2021年6月25日号掲載の報告。

日本のワクチン忌避者は11%、若年女性は高齢男性の3倍に

 2021年6月25日、国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター(NCNP)は、日本初の新型コロナワクチン忌避に関する大規模オンライン調査の結果を発表した。  この調査は、NCNPトランスレーショナル・メディカルセンター大久保 亮氏、福島県立医科大学臨床研究イノベーションセンター吉岡 貴史氏、大阪市立大学大学院公衆衛生学大藤 さとこ氏、聖路加国際病院松尾 貴公氏、大阪国際がん研究センター田淵 貴大氏らの合同研究チームが行ったもので、結果はVaccines誌2021年6月号に掲載された。  研究チームは、2021年2月8〜26日に日本全国から2万6,000人を対象にワクチン接種の意向に関するオンライン調査を実施した(有効回答数は2万3,142人)。

Novavax製コロナワクチンの有効率89.7%、第III相試験/NEJM

 健康成人への遺伝子組み換えナノ粒子ワクチンNVX-CoV2373(米国Novavax製)の2回接種はプラセボと比較して、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)の感染予防の有効率が89.7%と高率で、B.1.1.7変異株(α株)にも同程度の効果を有することが、英国・ロンドン大学セントジョージ校のPaul T. Heath氏ら研究グループが実施した「2019nCoV-302試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2021年6月30日号に掲載された。  本研究は、SARS-CoV-2感染の予防におけるNVX-CoV2373の安全性と有効性の評価を目的とする評価者盲検プラセボ対照無作為化第III相試験であり、2020年9月28日~11月28日の期間に、英国の33施設で参加者の登録が行われた(米国Novavaxの助成による)。  対象は、年齢18~84歳の男性または非妊娠女性で、健康または安定期慢性疾患(多剤併用療法[HAART]を受けているHIV感染、心疾患、呼吸器疾患の患者を含む)の集団であった。

2種類のコロナワクチン、副反応疑いの報告状況/厚労省

 厚生労働省は、7月7日に今までに報告された新型コロナワクチンの副反応疑い報告など、ワクチン接種後の副反応(副作用)に関する情報をまとめたレポートを「新型コロナワクチンの副反応疑い報告について」として公開した。  レポートは、ワクチンの接種後に生じうる副反応を疑う事例について、医療機関などに報告を求め、収集したものを同省の審議会に報告し、専門家による評価を行ったもの。  いずれのワクチンも、これまで通り安全性において重大な懸念は認められないと評価された。なお、ワクチンにより接種対象者の年齢や接種会場などの属性が大きく異なるため、両ワクチンの単純な比較は困難であり、注意が必要。

ファイザー/モデルナワクチンに心筋炎・心膜炎の注意喚起/使用上の注意改訂

 新型コロナウイルスに対するmRNAワクチン(一般名:コロナウイルス修飾ウリジンRNAワクチン(SARSCoV-2))であるコミナティ筋注(ファイザー)とCOVID-19ワクチンモデルナ筋注(武田薬品工業)について、使用上の注意の「重要な基本的注意」の項に心筋炎および心膜炎に関する注意喚起を追記するよう、7月7日付けで改訂指示が発出された。  今回の改訂指示は、国内ではこれらのワクチンとの因果関係が否定できない心筋炎および心膜炎の副反応疑い報告はないものの、以下の状況を考慮し、専門委員の意見も踏まえ、改訂することが適切と判断されたことによる。 ・海外において、因果関係は不明であるが、これらのワクチンの接種後に心筋炎および心膜炎が報告されていること ・海外において、心筋炎および心膜炎の注意喚起がなされていること ・国内においても、因果関係は不明であるが、症例集積が認められること ・心筋炎、心膜炎が疑われる症状が認められた場合には医師の診察を受ける旨をあらかじめ被接種者に指導することが、早期発見および重症化への対処の上で重要であると考えること ・接種対象者の拡大に伴うAYA世代への接種数増加が予想されること

中国製不活化ワクチン、3~17歳に良好な安全性と免疫応答

 新型コロナワクチンの成人に対する接種が世界的に広がっているが、小児に対する有用性を検証することを目的とした臨床試験も進んでいる。中国において3~17歳の小児および青年を対象とした研究の結果が発表された。The Lancet Infectious Diseases誌オンライン版6月28日号掲載の報告。  中国・河北省にある疾病対策センターで、3~17歳の健康な小児および青年を対象に、中国Sinovac Biotech社の不活化ワクチン「CoronaVac」(WHO緊急使用リストおよび33ヵ国で承認済み)の二重盲検無作為化比較第I/II相試験を行った。

COVID-19ワクチンの血栓性合併症にIgGは有効なのか?(解説:後藤信哉氏)

COVID-19 pandemicは持続している。ワクチンは切り札と理解されているが、ウイルスベクターのワクチンでは血栓イベントの合併がまれとはいえ発症する。血栓性合併症に対して抗凝固療法とIgGbの併用が推奨されている。カナダではウイルスベクターワクチンChAdOx1 nCoV-19を、ワクチンによる血栓症が少ないとされた55歳以上に使用した。それでも63~72歳の症例に血栓イベントが発症した。血栓イベントは2例が下肢動脈血栓症、1例が脳静脈洞血栓症であった。3例ともヘパリンと血小板第4因子に対する抗体(いわゆるHIT抗体)を認めた。IgG投与によりHIT抗体は減少した。