感染症内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:119

コロナワクチンで注目される有害事象、ワクチンなしでの発生率は?/BMJ

 新型コロナウイルス(COVID-19)ワクチン関連の、とくに注目される15種の有害事象(AESI)のバックグラウンド発生率を8ヵ国のデータベースを基に調べたところ、年齢や性別によりばらつきがあることが、英国・オックスフォード大学のXintong Li氏らによる検討で明らかにされた。データベース間でも差が認められたという。ワクチン有害事象のバックグラウンド率は、ワクチン接種者の間で観察された割合のベースラインコンパレータとして機能することで、ワクチンの安全性を監視するうえで歴史的に重要な役割を果たしているが、研究結果を踏まえて著者は、「バックグラウンド率をサーベイランス目的で用いる場合は、同一のデータベースを使い比較する必要性が示唆された。事前に年齢や性別による差を考慮し、階層化や標準化が必要だ」と述べている。BMJ誌2021年6月14日号掲載の報告。

小児で新型コロナが重症化する3つの因子~日本含む観察研究

 日本、中国、シンガポール、マレーシア、インドネシア、インド、パキスタンのアジア7ヵ国における小児の新型コロナウイルス感染例の観察研究から、小児における重症化の危険因子として、1歳未満、併存疾患の存在、診察時の咳症状が特定された。シンガポール・KK Women's and Children's HospitalのJudith Ju Ming Wong氏らが報告した。The American Journal of Tropical Medicine and Hygiene誌オンライン版2021年6月15日号に掲載。  7ヵ国の研究者グループは、小児のCOVID-19重症化の危険因子を特定するため、Pediatric Acute and Critical Care COVID-19 Registry of Asia(PACCOVRA)にデータ提供している病院の小児COVID-19の観察研究を実施した。主要アウトカムは、世界保健機関(WHO)の定義によるCOVID-19の重症度(軽症、中等症、重症、重篤)とした。単変量および多変量ロジスティック回帰モデルを使用し、重症/重篤なCOVID-19の危険因子を検討した。

新型コロナ抗体薬bamlanivimab、単剤投与で発症予防効果/JAMA

 介護付き有料老人ホームの入居者と職員を対象とした無作為化二重盲検プラセボ対照第III相試験「BLAZE-2試験」において、bamlanivimab単剤療法は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生を低下させることが認められた。米国・ノースカロライナ大学チャペルヒル校のMyron S. Cohen氏らが報告した。介護福祉施設でCOVID-19が発生した場合、入居者および職員をCOVID-19から守るために予防的介入が必要である。モノクローナル抗体薬のbamlanivimabは、SARS-CoV-2感染およびCOVID-19発症に対し速やかな予防効果を発揮することが期待されていた。JAMA誌オンライン版2021年6月3日号掲載の報告。

COVID-19診断後、3割が半年以内に精神・神経症状発症

 COVID-19の神経学・精神医学的後遺症が報告されているが、英国・オックスフォード大学のMaxime Taquet氏ら研究グループが23万例超のCOVID-19患者のデータを分析したところ、診断後6ヵ月以内に約34%が虚血性脳卒中や不安障害、気分障害などを発症していたことがわかった。集中治療を要する重症例では、推定発生率は約47%にまで上昇していた。Lancet Psychiatry誌2021年5月号掲載の報告。  本研究は、米国の62医療機関の患者8,100万人の電子カルテから匿名データを収集するTriNetX電子健康記録ネットワークを使用し、2020年1月20日~12月13日の期間、COVID-19診断後6ヵ月間における14種の神経学・精神医学的症状の発生率を推定した(頭蓋内出血、虚血性脳卒中、パーキンソン病、ギランバレー症候群、神経・神経根・神経叢障害、神経筋接合部・筋疾患、脳炎、認知症、気分・不安・精神病性障害、精神病性障害、気分障害、不安障害、物質使用障害、不眠症)。対照群として、インフルエンザや呼吸器感染症の患者コホートを設定し、傾向スコアマッチングを用いて発症率を比較した。

「COVID-19ワクチンに関する提言」、変異株や安全性の最新情報追加/日本感染症学会

 日本感染症学会(理事長:舘田一博氏[東邦大学医学部教授])は、6月16日に「COVID-19ワクチンに関する提言」(第3版)を同学会のホームぺージで発表、公開した。  第1版は2020年12月28日に、第2版は2021年2月26日に発表・公開され、ワクチンの有効性、安全性、国内での接種の状況、接種での注意点などが提言されていた。  今回は、第2版以降の新しい知見に加え、新しく承認されたワクチンの効果、安全性について加筆された。

AZ製ワクチン、毛細血管漏出症候群を副反応に追加/欧州医薬品庁

 欧州医薬品庁(EMA)の安全委員会・ファーマコビジランス・リスク評価委員会(PRAC)はアストラゼネカ製のCOVID-19ワクチン「Vaxzevria:開発名ChAdOx1 nCoV-19(AZ製ワクチン)」に関するレビューをサイト上で発表し、過去に毛細血管漏出症候群を発症した人はAZ製ワクチンを接種すべきではない、と結論付けた。  毛細血管漏出症候群(capillary leak syndrome)は、毛細血管から液体が漏出し、手足のむくみ、低血圧、アルブミン血中濃度の低下などが生じ、全身の浮腫や腎不全などの症状を引き起こす希少疾患。

男性の精子数、mRNAワクチン接種で減少なし/JAMA

 COVID-19感染後に男性の生殖機能に障害が生じるという複数の報告※1※2があるが、mRNAワクチン接種後に精子の状態を調べた研究では、精子濃度が高まり、精液量と精子運動性も高まったことが確認されたという。JAMA誌オンライン版2021年6月17日号Research Letterの報告。  米マイアミ大学で行われたこの単施設の前向き研究では、18~50歳までの健康な男性をボランティアとして募集。参加者は不妊症の基礎疾患がないことが確認され、COVID-19有症状者と90日以内の検査結果陽性者は除外された。参加者は2~7日間の禁欲後、1回目のワクチン接種前と2回目のワクチン接種から約70日後に精液サンプルを提出した。

1つであらゆるコロナ変異株防ぐ「スーパー中和抗体」作製/富山大

 富山大学などの研究グループは6月16日、新型コロナウイルスのさまざまなタイプの変異株の感染を防ぐことができる中和抗体を人工的に作製することに成功したと発表した。1つの抗体で多種の変異株の感染を防御できる現時点で最も理想的な抗体として、研究グループは「スーパー中和抗体」と命名。6月14日付で特許を出願し、製薬会社との共同事業化等により治療薬として実用化に向けた対応を急ぎたい考えだ。

ワクチン予診票、17ヵ国語対応版を公開/厚労省

 厚生労働省サイトでは、各国語に対応した新型コロナワクチン接種に使う「予診票」「ワクチン種類別の説明書」「接種に関するお知らせ」が公開されている。  対応言語は英語、中国語(簡体字・繁体字)、フランス語、アラビア語など計17ヵ国語。「予診票」はかかりつけ医の項目が削除された最新版に対応しており、ファイザー製とモデルナ製それぞれに対応した「説明書」は対象年齢や接種のスケジュール、接種が受けられないケースといった基本事項が説明されている。「接種のお知らせ」は接種当日の服装や持ちものについての説明が記載されている。

AZ製ワクチン接種後のVITT、免疫グロブリン療法による治療転帰/NEJM

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するアデノウイルスベクターワクチンの、まれな副作用であるワクチン誘発性免疫性血栓性血小板減少症(VITT)の治療として、高用量免疫グロブリン静注(IVIG)療法と抗凝固薬の併用療法が推奨されている。カナダ・マックマスター大学のAlex Bourguignon氏らは、ChAdOx1 nCoV-19(AstraZeneca製)の接種後にカナダで確認されたVITTの、最初の3例におけるIVIG療法について報告した。NEJM誌オンライン版2021年6月9日号掲載の報告。