感染症内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:195

ProACT試験-プロカルシトニン値を指標とした抗菌薬使用(解説:小金丸博氏)-877

抗菌薬の過剰な使用は、医療費の増加や薬剤耐性菌の出現に関連する公衆衛生上の問題である。プロカルシトニンは、ウイルス感染よりも細菌感染で上昇しやすいペプチドであり、上昇の程度は感染の重症度と相関し、感染の改善とともに経時的に低下する。いくつかの欧州の試験において、抗菌薬を投与するかどうかをプロカルシトニンの結果に基づいて決定することで抗菌薬の使用を抑制できることが示されており、2017年、米国食品医薬品局(FDA)は下気道感染症が疑われる場合に抗菌薬の開始または中止の指標としてプロカルシトニンを測定することを承認した。しかしながら、プロカルシトニン値を日常臨床へ適用できるかは明らかでなかった。

デング熱ワクチンの有効性・リスクが明らかに/NEJM

 四価デング熱ワクチン(CYD-TDV)の有効性について、ワクチン接種前のウイルス曝露者には5年の間、重症型デング熱の発症(virologically confirmed dengue:VCD)やデング熱での入院に対する保護効果が認められたが、非曝露者では、反対に重症型VCDやデング熱による入院のリスクをより高めるとのエビデンスが確認されたという。フランス・サノフィ社サノフィパスツール(ワクチン部門)のSaranya Sridhar氏らが、有効性に関する3試験のデータを再解析し報告した。CYD-TDVの有効性試験では、ワクチン接種を受けた2~5歳児においてデング熱による過剰な入院が観察されていた。NEJM誌オンライン版2018年6月13日号掲載の報告。

世界の健康・福祉はどこへ向かうのか?(解説:岡慎一氏)-875

健康や福祉を維持、向上させるためにはお金がかかる。当然経済の発展とともに、健康・福祉関連の予算も増え、世界の健康・福祉は改善されてきた。Sustainable Development Goal(SDG)とは、国連に加盟するすべての国が賛同し、2015年から2030年までに、貧困や飢餓、エネルギー、気候変動、平和的社会など、17項目の持続可能な開発の目指すべき達成目標を掲げたものである。その中で健康・福祉はSGD-3に掲げられている。

RSV感染症はインフルエンザよりも怖い?

 2018年6月7日、アッヴィ合同会社は、RSウイルス(RSV)感染症メディアセミナーを都内で開催した。RSV感染症は、2歳までにほぼ100%が初感染を経験するといわれており、乳幼児における呼吸器疾患の主な原因(肺炎の約50%、細気管支炎の50~90%)として報告されている。セミナーでは、「乳幼児の保護者は何を知らなければいけないか? 変動するRSウイルスの流行期とその課題と対策」をテーマに講演が行われた。

プロカルシトニン値は抗菌薬使用の指標となるか/NEJM

 下気道感染症が疑われる患者への、プロカルシトニン値を指標とする抗菌薬の開始/中止の決定は、抗菌薬曝露量を削減しないことが、米国・ピッツバーグ大学のDavid T. Huang氏らが行った「ProACT試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2018年5月20日号に掲載された。プロカルシトニンは、ウイルスに比べ細菌感染によって上昇するペプチドで、上昇の程度は感染の重症度と相関し、感染の改善に伴って経時的に低下する。欧州の試験では、プロカルシトニンに基づくガイダンスは、明確な有害性を呈することなく抗菌薬の使用を抑制することが報告されている。米国食品医薬品局(FDA)は、これらの試験を含むメタ解析の結果に基づき、2017年2月、下気道感染症疑い例における抗菌薬使用の指標としてプロカルシトニン測定を承認したが、日常診療への適用の可能性は不明だという。

急性単純性膀胱炎に対するガイドライン推奨治療の比較試験(解説:小金丸博氏)-860

膀胱炎に代表される尿路感染症はとてもありふれた感染症であり、とくに女性では一生涯で半数以上が経験すると言われている。膀胱炎に対して世界中で多くの抗菌薬が処方されることが薬剤耐性菌出現の一因になっていると考えられており、2010年に米国感染症学会(IDSA)と欧州臨床微生物感染症学会(ESCMID)は「女性の急性単純性膀胱炎および腎盂腎炎の治療ガイドライン」を改訂した。このガイドラインでは、急性単純性膀胱炎に対する第1選択薬としてnitrofurantoin monohydrateやfosfomycin trometamolなどを推奨しており、これらの薬剤の使用量が増加してきているが、治療効果を比較したランダム化試験はほとんど存在しなかった。

抗微生物薬適正使用の手引き改正へ向けて

 2018年5月14日、第4回の抗微生物薬適正使用(AMS)等に関する作業部会(座長:大曲 貴夫氏[国立国際医療研究センター病院国際感染症センター長])が、厚生労働省で開催され、「抗微生物薬適正使用の手引き」の改正の方向性の確認、改正内容の検討が行われた。今後、数度の部会での検討を経たうえで、薬剤耐性(AMR)に関する小委員会および厚生科学審議会感染症部会で審議、発表される。なお、発表時期は未定。

オセルタミビル10代への使用制限解除へ

 2018年5月16日、厚生労働省は「抗インフルエンザウイルス薬の安全対策」を議題に、薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会を開催した。主な論点は、抗インフルエンザ薬と異常行動に関する安全対策措置について、2007年からオセルタミビルリン酸塩(商品名:タミフル)のみに適用されている、10代への原則使用差し控え措置についてなど。

全国の麻疹患者は累積で100例超に

 国立感染症研究所(NIID)の「IDWR感染症発生動向調査速報(2018年第17週:4月23日~4月29日)」(5月9日付)によると、第17週までの全国での麻疹の累積報告数は102例となり、引き続き増加傾向であることが明らかになった。NIIDはまた、5月11日の「IDWR感染症発生動向調査週報(2018年第16週:4月16日~4月22日)」にて、「帰国後の海外渡航者に対しては、2週間程度は麻疹発症の可能性も考慮して健康状態に注意することが重要である」と注意喚起している。

単純性尿路感染症、nitrofurantoin vs.ホスホマイシン/JAMA

 単純性下部尿路感染症(UTI)の女性患者において、nitrofurantoin5日間投与はホスホマイシン単回投与と比較して、治療終了後28日時の臨床的および微生物学的改善が有意に大きいことが示された。スイス・ジュネーブ大学医学部のAngela Huttner氏らが、多施設共同無作為化比較試験の結果を報告した。nitrofurantoinとホスホマイシンは、米国およびヨーロッパの臨床微生物感染症学会による2010年のガイドライン改訂で、下部UTIの第一選択薬として推奨されるようになってから、その使用が増加してきたが、これまで両者を比較した無作為化試験はほとんどなかった。JAMA誌2018年4月22日号掲載の報告。